サクラの花が終わる頃、さわやかな花をつけ始めるハナミズキ。夏の終わりから秋にかけては果実を、秋には紅葉を観賞できます。お庭に植えておくと、季節の移ろいを感じられるでしょう。今回は、ハナミズキの特徴や育て方、剪定方法、増やし方などをご紹介します。
ハナミズキの育て方|特徴やヤマボウシとの違い
ハナミズキはミズキ科サンシュユ属(ヤマボウシ属)の高木です。原産地は北米東部からメキシコ北東部で、日本には大正時代に入ってきたとされています。和名は「アメリカヤマボウシ」です。丈夫で管理しやすいため、街路樹として植えられていることも多くなります。
開花時期は4月中旬から5月中旬にかけてです。白や赤、ピンクの花を咲かせます。花びらに見える部分は総苞片と呼ばれるもので、散りにくいことが特徴です。長く観賞を楽しめるのもハナミズキの魅力といえます。
ハナミズキとヤマボウシの違い
ハナミズキとよく似た植物に「ヤマボウシ」があります。ヤマボウシもミズキ科サンシュユ属(ヤマボウシ属)の高木で、白やピンクの総苞片をつけます。見分けたいときは、総苞片の先端を見てみましょう。先端がくぼんでいるのがハナミズキ、とがっているのがヤマボウシです。
また、ヤマボウシの開花時期は6月から7月です。ハナミズキのほうが開花が早い点も見分けるポイントとなります。
加えて、花後につける実の形も異なります。ハナミズキは楕円形の真っ赤な実をつけます。ヤマボウシの実は集合果と呼ばれるもので、ボコボコとした形をしていることが特徴です。ハナミズキの実は人間が食べても美味しくはありませんが、ヤマボウシの実は甘く、食用されることがある点も違います。
ハナミズキの育て方|基本の栽培方法
ハナミズキはお手入れしやすく、初心者にもおすすめの樹木です。こちらでは、ハナミズキの基本の育て方をご紹介します。
ハナミズキの好む栽培環境
ハナミズキは日光を好むため、日当たりの良い場所へ植えることがおすすめです。ただ、夏場に強い直射日光が1日を通して当たる場所や、幹に強い西日が当たる場所などは乾燥しすぎることがあるため、避けたほうが無難です。
また、ハナミズキは高木(こうぼく)ですが、鉢植えに適した矮性品種もあります。小さめのスペースで育てたい場合はコンパクトに栽培できる品種を選びましょう。
土づくり
ハナミズキは、水はけと通気性が良く、肥沃な土で元気に育ちます。鉢植えにする場合は小粒の赤玉土と腐葉土を7:3で混ぜたものや、花木用の培養土などがおすすめです。
地植えにする場合は植えつけ2~3週間前に土づくりしておきます。
深さ・直径が50cmの植え穴を掘り、土に腐葉土や堆肥、元肥として緩効性肥料マグァンプK大粒を土に混ぜ込みます。
水はけが良くない場合は腐葉土を多めに入れたり、赤玉土やもみ殻などを加えたりすることで改善できるケースがあります。
植えつけ
ハナミズキの苗木は休眠期にあたる12月~3月に植えつけます。落葉している間に作業を済ませましょう。
鉢植えの場合は鉢底ネットを敷いた上に鉢底石を入れ、培養土を鉢の半分程度まで入れます。苗木を鉢の中へ置いたら残りの土を入れていきましょう。土を棒でつついて、根の間まで土が入るように調整します。終わったらたっぷりと水をあげましょう。
地植えする場合は根鉢よりも一回り~二回り大きな植え穴を掘り、苗木を置いて土をかぶせていきます。土をなじませたら植え穴の縁を盛って、水が逃げないようなスペースをつくりましょう。最後に水をたくさん与えて、倒れないように支柱を立てておきます。
水やり
ハナミズキは極度の乾燥を嫌います。水切れしないように気をつけて管理しましょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたタイミングで水やりしましょう。夏は乾燥しやすいため、朝と夕方の2回にわたって水を与えることもあります。
地植えの場合、根づいた後は基本的に水やりをしなくても問題ありません。ただ、雨が降らない日が続いたときは水が不足する可能性があります。葉や茎が元気なく垂れてしまっている場合は水を必要としていることがあるため、適宜水やりしましょう。
肥料
ハナミズキの植えつけの際は、元肥として肥効期間が約2年間持続するマグァンプK大粒を土に混ぜ込みます。
その後は、花が終わった頃にお礼肥として緩効性肥料を施します。肥料を与えておくことで、次のシーズンに向けての栄養を蓄えることができます。追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続するプランティア花と野菜と果実の肥料がおすすめです。
また、冬の落葉期には寒肥を与えます。12月頃を目安に施しましょう。寒肥にBrilliantGardenバラの有機肥料を施すことで「肥料」「土壌改良」の二つのすぐれた効果を発揮します。
ハナミズキの育て方|お手入れのポイント
ハナミズキを庭木として育てる際は、どういった部分に気をつけて管理すれば良いのでしょうか。こちらでは、ハナミズキ栽培で気をつけたいお手入れのポイントをご紹介します。
病害虫対策をする
ハナミズキ栽培で注意したい病害虫のひとつがうどんこ病です。とくに、梅雨の時期に発生することが多くなります。
うどんこ病にかかった植物は、葉や茎などが白い粉をまぶしたようになります。放置しているとどんどん広がり、葉の縮れや変色などが起こってしまうことも。見た目が悪くなるだけではなく、株が弱ってしまうこともあるため、しっかりと予防・対策することがおすすめです。
原因とされるのは糸状菌と呼ばれるカビの一種で、風通しの悪い場所で繁殖しやすいことが特徴です。予防のためには蒸れやすい環境を避け、風通しの良い状態を保つことが重要です。
うどんこ病にかかった葉はすぐに切り取ったり、または、殺菌剤を散布することも大切です。
蕾が多すぎるときは摘蕾する
ハナミズキは、たくさんの花が咲きすぎると、翌年の花つきが悪くなってしまうことがあります。場合によっては花が咲かなくなってしまうことも。毎年、安定した数の花を咲かせるためには摘蕾することがおすすめです。
鉢植えは植え替えをする
鉢植えの植物は、ずっと同じ状態で植え続けていると根が伸びすぎ、根詰まりしてしまうことがあります。根詰まりすると生育が悪くなり、葉が落ちたり変色したりといったトラブルが生じます。花が咲かなくなってしまうこともあるため、定期的に植え替えることが大切です。
ハナミズキの場合は、2~3年に1回の頻度で植え替えてあげましょう。適期は植えつけと同じく12月~3月です。一回り大きな鉢や新しい用土などを準備して作業を始めましょう。植え替えの際も元肥としてマグァンプK大粒を土に混ぜ込みます。
古い鉢から根鉢を取り出したら、半分ほど土を落として根鉢を少々くずします。できるだけ根は傷めないように気をつけましょう。ただし、長すぎる部分はカットしてかまいません。植えつけ後は根の活着促進のため、植物用活力液リキダスを1000倍に希釈した水をたっぷり与えます。
ハナミズキの育て方|剪定のコツ
ハナミズキは自然と樹形が整うため、頻繁に剪定する必要はありません。ただ、育てているうちに不要な枝が伸びて混雑してくることがあります。風通しを良くするためにも、適したタイミングで選定することがおすすめです。こちらでは、ハナミズキの剪定に必要な道具や時期、方法などをご紹介します。
道具
剪定に必要なのは剪定バサミや植木バサミなどです。ハサミによって切断できる枝の直径は異なるため、調べた上で購入しましょう。手への負担が大きくならないよう、自分に合ったサイズを選ぶことがおすすめです。太い枝を切りたい場合は剪定ノコギリを活用します。また、ケガをしないようにガーデニング用の手袋も着用しましょう。
時期・タイミング
基本的に、ハナミズキの剪定は12月~3月の休眠期に行います。休眠期に剪定することで、ハナミズキへのダメージを軽減することができます。また、枝葉が混雑してきたのが気になるようであれば、花後の時期に剪定することも可能です。
方法
ハナミズキの剪定では、できるだけ強剪定を避けます。強剪定とは、かなりの数の枝葉を切り落としたり、太い枝を短く切り詰めたりする剪定のことです。
剪定の際は、理想の樹高に合わせて主幹を切ります。このとき、仕立てたい高さよりも少し低めに切ることがコツです。枝分かれしている箇所の下部分をカットしましょう。
その後は、不要な枝や伸びすぎた枝などを剪定していきます。枝の途中で切ってしまうと新芽がつかなくなってしまうため、枝元からカットしていきましょう。花芽がついている枝は残しておくことも大切です。
ハナミズキの育て方|株の増やし方
ハナミズキの木は、種を採取してまいたり、接ぎ木をしたりといった方法で増やすことができます。最後に、ハナミズキの増やし方をご紹介します。
種まき
ハナミズキを増やす方法のひとつが、種を採取してまくことです。花が咲き終わったら実ができ、晩秋頃に熟します。熟した実を摘み取って、中にある種を採取しましょう。果肉を落として水洗いしたら、すぐに土へまきます。管理しやすいよう、培養土を入れた鉢へまくと良いでしょう。
保管して翌年の3月頃に種まきすることも可能ですが、その場合は乾燥させずに保管することが重要です。水を含ませたキッチンペーパーなどに包んで冷蔵庫に入れておきます。
種まき後は、発芽するまで土を乾かしすぎないように注意しましょう。発芽した後は株の生長に合わせて鉢増ししながら育てます。
接ぎ木
接ぎ木とは、台木に接ぎ穂を合わせることでひとつの株にする方法です。ハナミズキの場合は種から2~3年程度育てた株を台木として用い、増やしたい品種の枝を接ぎ穂として使います。接ぎ穂は新芽が伸びてから1~2年程度の枝を使いましょう。
台木を根元から切り落としたら、切り口の端に切り込みを入れて接ぎ穂を差し入れます。しっかりと固定したら、接ぎ穂から芽が出るまでは日差しや雨を避けて管理しましょう。
ハナミズキを増やす際の注意点
種まきでも接ぎ木でも、ハナミズキの花が咲くまでには数年かかります。じっくりと気長に育てていきましょう。
おわりに
新緑の季節にたくさんの花を咲かせるハナミズキ。お庭のシンボルツリーとして植えている方も多く見られます。ハナミズキの花がお好きなら、ぜひお庭で育てて、美しい花や実の観賞を楽しみましょう。
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