【クリスマスローズの育て方】 実は丈夫で育てやすく初めての方にもおすすめ!クリスマスローズの種類や管理方法、増やし方は?
クリスマスローズは、独特な魅力を持つ冬の花です。適切な管理を行えば、何年にもわたって育てていくことができます。寒い時期のガーデンに、ぜひクリスマスローズを加えてみましょう。今回は、クリスマスローズの基本情報や育て方など、さまざまな知識をご紹介します。
- 目次
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- ☘35:クリスマスローズの育て方|鉢植えと地植えでおススメなのは?苗選びのコツや、肥料の与え方もご紹介|
- クリスマスローズはどんな花?
- 日本での呼び方
- 咲き方
- 花の模様
- 名前の由来
- 花言葉
- 有茎種と無茎種の違い
- クリスマスローズの種類はさまざま
- ヘレボルス・ニゲル
- ヘレボルス・チベタヌス
- ヘレボルス・アーグチフォリウス
- ヘレボルス・フェチダス
- ヘレボルス・ヴェシカリウス
- ヘレボルス・トルカータス
- ヘレボルス・アトロルーベンス
- ヘレボルス・オドルス
- クリスマスローズの基本的な育て方
- 土づくり
- 苗選び
- 植えつけ
- 水やり
- 日当たり
- 肥料
- 季節に合わせてクリスマスローズを管理しよう
- 季節ごとの管理方法
- 植え替え
- アブラムシ対策
- 花がら摘み
- 古葉取り
- クリスマスローズの増やし方は?
- 株分け
- 種の採取
- クリスマスローズの交配について
- おわりに
- 【間室みどりさんの植物のお手入れ術】
☘35:クリスマスローズの育て方|鉢植えと地植えでおススメなのは?苗選びのコツや、肥料の与え方もご紹介|
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
クリスマスローズはどんな花?
クリスマスローズはキンポウゲ科の多年草です。開花時期は12月~4月にかけてで、耐寒性が強く育てやすい品種がたくさんあります。原産地は東ヨーロッパや西アジアで、現地ではクリスマスの時期に開花を迎えます。品種によるものの、日本では1月以降に開花するものが多い点が特徴です。
花びらに見えている部分は大きな萼片です。花びらは退化して、中心部分にある小さな蜜腺になったといわれています。萼片は散りにくく長持ちするため、長期間にわたって華やかな姿を楽しめるのが魅力です。
日本での呼び方
クリスマスローズという名前は、もともと「ヘレボルス・ニゲル」という品種のみに使われる英名でした。それが日本では、ヘレボルス属全体を表すことばとして使われています。
ヘレボルス属にはほかにも「ヘレボルス・チベタヌス」や「ヘレボルス・アーグチフォリウス」など、多数の種類が存在します。
咲き方
クリスマスローズの咲き方には、「一重咲き(シングル咲き)」「半八重咲き(セミダブル咲き)」「八重咲き(ダブル咲き)」などの種類があります。また、萼片の先端が丸いものもあれば、剣のようにとがっているものもあります。萼片の形の違いにも注目してみましょう。
花の模様
クリスマスローズの萼片には、さまざまな模様が存在します。有名なものは、斑点状の「スポット」と呼ばれる模様です。
ほかには、萼片を縁取るような「ピコティー」や、線のような模様が入った「ベイン」などがあります。複数の模様の種類が組み合わさって、複雑なパターンを描いているものも。気に入ったものを探してみましょう。
名前の由来
クリスマスローズは、その名の通り、クリスマスの時期にバラに似た花を咲かせることから名付けられました。ほかにも、日本では「寒芍薬(カンシャクヤク)」や「初雪起こし(はつゆきおこし)」などの名前で親しまれています。
また、学名である「ヘレボルス」は、根にある毒を使って狩りをしていたことから、ギリシャ語の“Helenin(殺す)”と“bora(食べ物)”を組み合わせて名付けられたといわれています。
このようにクリスマスローズは株全体に毒があり、人によっては触れるとかぶれてしまうことがあります。お手入れするときは手袋をつけておきましょう。
花言葉
クリスマスローズには、さまざまな花言葉があります。どの色の花でも、同じ花言葉が使われることが基本です。主なものは「追憶」や「いたわり」、「私を忘れないで」などで、切ない気持ちを表したものが多く見られます。
有茎種と無茎種の違い
クリスマスローズは、長い茎を持つ「有茎種」と茎の短い「無茎種」に分けられます。中間種とも呼ばれる品種もありますが、多く見られるのは有茎種と無茎種です。有茎種は茎の先端に花をつけます。草丈は1mを超える品種もあれば、10cmほどのコンパクトな品種もあります。
無茎種は根茎と呼ばれる部分から直接花を咲かせます。根が太くしっかりとしているのが特徴です。有茎種は根茎にあたる部分が未発達で、繊細な根が生えてきます。
クリスマスローズの種類はさまざま
クリスマスローズには多数の種類が存在します。こちらでは、原種のなかから8種類をピックアップしてご紹介します。
ヘレボルス・ニゲル
「ニゲル」とは、ラテン語で「黒」を意味する単語です。根が黒いことからこの名がついたとされています。有茎種、もしくは中間種として扱われており、真っ白な花を咲かせます。
ヘレボルス・チベタヌス
ヘレボルス・チベタヌスは、中国原産のクリスマスローズです。花の色はピンクや白で、可愛らしい姿をしています。こちらの品種を育てたいときは、原産地から輸入された苗を入手することになります。長い時間をかけて海を渡ってきたチベタヌスは、優しく育ててあげることが大切です。
ヘレボルス・アーグチフォリウス
ヘレボルス・アーグチフォリウスは、ひとつの花茎に大量の小さな花をつけるクリスマスローズです。草丈は1mを越すこともある有茎種で、黄緑色の花を咲かせます。地植えにして大きく育てていくのがおすすめです。
ヘレボルス・フェチダス
独特の香りがすることで有名なヘレボルス・フェチダス。こちらも草丈が大きくなる有茎種のため、地植えに向いています。ただし、関東以西では気温が高すぎて、そこまで大きくならないようです。暑さに弱いため、夏場の管理が重要になってきます。
ヘレボルス・ヴェシカリウス
ヘレボルス・ヴェシカリウスは砂漠に自生しているクリスマスローズです。紫と緑の入り混じった萼片を持ち、葉には厚みがあります。花が終わると袋状のさやをつくり、種を成熟させるのが特徴です。
ヘレボルス・トルカータス
ヨーロッパを自生地とするヘレボルス・トルカータス。緑ベースの小さな花を咲かせます。草丈は30cm程度となります。
ヘレボルス・アトロルーベンス
ヘレボルス・アトロルーベンスは、小さな花をつけるクリスマスローズです。草丈は30cm~40cmで、萼片は内側が緑、外側は紫がかったものが多く見られます。自生地はスロベニア近辺です。
ヘレボルス・オドルス
ヘレボルス・オドルスは、緑~黄色の花をつけるクリスマスローズです。ヨーロッパが自生地で、スロベニアやブルガリアなどに咲いているのが見られます。草丈50cm程度になり、個体によっては香りがすることでも知られています。
クリスマスローズの基本的な育て方
クリスマスローズは、生長に時間のかかる植物です。開花までじっくり育てたいときは種から、すぐに花を楽しみたい場合は開花株を購入して栽培しましょう。こちらでは、クリスマスローズの基本的な育て方をご紹介します。
土づくり
クリスマスローズは水はけと水もちの両方が良い土を好みます。ただし根腐れをおこしやすいため、どちらかというと水はけを重視した土づくりを心がけましょう。
初心者の場合は、市販されているクリスマスローズ専用土を使うと手軽です。自分で土をつくる場合は、赤玉土と腐葉土、軽石を4:3:3で混ぜたものや、赤玉土と腐葉土、鹿沼土を5:4:1で混ぜたものなどがおすすめです。植えつけの1週間前に元肥として緩効性肥料を加えておきましょう。
苗選び
クリスマスローズは、苗を入手して育てるのが基本です。10月になると苗が流通しはじめるため、好きな品種を購入しましょう。
・実生苗とメリクロン苗
苗には「実生苗」と「メリクロン苗(バイオ苗、クローン苗)」などの種類があります。実生苗は種から育てたものを指します。種から育てたクリスマスローズは、親と異なる形の花をつけるのが特徴です。開花するまでどういった姿の花になるかわかりません。あえてそれを楽しむため、実生苗を購入するのもおすすめです。反対に、メリクロン苗のクリスマスローズは親と同じ花を咲かせます。ポットについているラベルを見たら、どういった花の姿になるのかわかります。
どちらの苗を選ぶときも、葉の色が濃くみずみずしいものがおすすめです。色褪せたものや黒ずんでいるものなどはできるだけ避けましょう。茎ががっしりとしていて太く、花や葉が茂りすぎていないもののほうが元気よく育ちます。
・開花株と開花見込み株
クリスマスローズは、植えつけから開花まで長い時間がかかります。二年生のポット苗を購入した場合、花を楽しめるようになるまで、最低でも1年ほどかかると考えておきましょう。すぐに花を観賞したい場合は、開花株を購入するのもひとつの手です。開花株は12月ごろから出回ります。好きな姿形の花を買って植えつけしましょう。もうひとつ、開花見込み株と呼ばれる苗もおすすめです。販売時点では開花していませんが、植えつけて育てていけばシーズン内に開花する見込みがあります。開花見込み株として売られているものの多くは三年生苗です。
植えつけ
クリスマスローズの植えつけ適期は10月~12月です。はやめの時期に植えつけを済ませておけば、冬が来るまでにしっかりと根を張らせることができます。鉢植えの場合、深さのある鉢を用意しましょう。クリスマスローズは、下方向へどんどん根を伸ばすためです。鉢底穴は大きめのほうが排水性が良くなります。素材は軽くて持ち運びやすいプラスチックや、通気性・保水性の良い駄温鉢などがおすすめです。
地植えの場合は、真夏に直射日光を避けられる場所を選んで植えつけします。落葉樹の下であれば、真夏の時期は半日陰となるためおすすめです。植えつけ時、基本的には根鉢を崩さないように優しく取り扱いましょう。土が固まっているときには、軽く根鉢を崩します。芽が埋まってしまわないよう、浅植えにしましょう。
水やり
クリスマスローズは、生育期にたくさん水を必要とします。鉢植えの場合、土の表面が乾いたら水をあげましょう。ただし冬場は凍結に、夏場は根腐れに注意します。時期によって水の量を変えるのが大切です。地植えの場合は、ほとんど水やりする必要はありません。基本は降雨に任せましょう。晴天続きで乾燥したときには水を与えます。
日当たり
クリスマスローズは日当たりの良い場所を好むものの、強い直射日光に当たりすぎると株が弱ってしまいます。葉がしおれたり株全体が乾燥したりするため、半日陰の場所で管理しましょう。とくに夏は日差しを避ける必要があります。春や秋、冬は日なたで管理するのがおすすめです。
肥料
鉢植えも地植えも、元肥として緩効性肥料マグァンプK中粒を混ぜ込みます。鉢植えの場合は、10月と12月、2月に緩効性肥料プロミッククリスマスローズ用を追肥しましょう。もしくは、1週間から10日に1回の頻度で液体肥料ハイポネックス原液を施します。
地植えの場合も10月と12月、2月にプロミッククリスマスローズ用を追肥しましょう。どちらの場合も、生育期の初期にあたる10月に施肥をするのは変わりません。また、開花が終わった4月ごろには、お礼肥として再びプロミッククリスマスローズ用を追肥しましょう。5月以降は気温が上がり休眠期に入っていくため、施肥は控えます。
また、葉の色が黄色くなっていると肥料不足の可能性があります。様子を見て、少しずつ肥料を与えてみましょう。施肥のしすぎは、かえって株を弱らせてしまうため注意が必要です。
季節に合わせてクリスマスローズを管理しよう
クリスマスローズは多年草で、適切に管理することで長く楽しむことができます。季節に合わせた管理方法を知り、一年を通してお世話していきましょう。こちらでは、クリスマスローズの管理方法をご紹介します。
季節ごとの管理方法
・春
クリスマスローズは、春のはじめに開花を迎えるものも少なくありません。花の盛りを満喫しましょう。花後には種をつけるものもあるため、採取して種まきにチャレンジしてみるのもおすすめです。開花が終了したらお礼肥として液体肥料ハイポネックス原液を施し、次シーズンへ備えましょう。なるべく4月までにお礼肥を済ませなければ、土に肥料が残ったまま梅雨を迎えてしまいます。そうなると根腐れの原因となるため注意が必要です。
花を長く楽しみたいときは、咲き終わったものを花茎ごと切り取っていきましょう。花がら摘みをすることで種をつくらず、次の開花へエネルギーを回せます。また、植えつけ適期は秋ですが、開花株を購入した場合は花後に移植を行ったほうが良いかもしれません。この時期の植えつけは根鉢が固くなっていることが多いため、根を切らないように気をつけながら軽くほぐしてあげましょう。
この時期は日なたに置いて管理します。よく日に当てることで株が生長し、しっかりとした葉がつくはずです。水やりはこまめに行います。とくに5月が近づくと気温が高くなり、乾燥しやすくなるため、多くの水を必要とします。新しく出てきた葉がしおれてしまわないように、水やりを行いましょう。
・夏
夏はクリスマスローズが休眠期を迎えます。しっかりと対策して夏越しを行うことが大切です。施肥はストップし、日差しや雨などを避けて管理しましょう。鉢植えの場合は、直射日光を避けるために日陰へ移動させます。遮光ネットやよしずを用いて日よけをつくるのもひとつの方法です。周辺に草丈の高い植物を植えて、影をつくっても楽しそうです。
根腐れを防ぐため、水やりは朝や夕方に行いましょう。地温の高い昼に水やりすると、根が熱くなりすぎてしまいます。梅雨のように大雨が降るときは、鉢を移動させて雨が当たらないようにします。すのこやブロックなどの上に置いて、鉢底穴からちゃんと水が流れるようにしてあげましょう。
地植えの場合は、最初から水はけの良い場所を選んで植えつけしておくのが大切です。敷き藁などを活用して地温の上昇を防ぎましょう。
また、夏は株が弱りやすいため、茎を剪定したり葉をカットしたりといった作業は控えましょう。
・秋
秋になると、クリスマスローズの生育が再び活発になります。地上部に変化がなくても根は生長しているため、水やりや施肥をしてあげましょう。日陰で管理していたものは日なたへ移し、たくさん日光を当てていきます。ただし、急に強い日光に当てると葉が焼けてしまうため、曇りの続く日に日なたへ移動させると良いでしょう。この時期も春と同様、水をたくさん与えます。鉢植えの場合は土が乾いているのを見つけたら、たくさん水やりしましょう。
肥料は10月ごろから与えます。プロミッククリスマスローズ用を置くか、液体肥料ハイポネックス原液を1週間から10日に1回の頻度で施しましょう。
また、この時期は葉が倒れてきます。葉がたくさんあたると花芽の生長に影響を与えることがあるため、カットしてかまいません。蒸れによる過湿を防ぐためにも、余分な葉は切り取りましょう。新しく購入した苗があれば、秋のうちに植えつけを済ませます。春に採取しておいた種があれば、この時期に種まきしましょう。植えつけ時は、根が乾燥しないように素早く作業するのがポイントです。
・冬
冬の終わりから春にかけてクリスマスローズは花開きます。手塩にかけて育てたクリスマスローズをゆっくりと観賞しましょう。花が咲き終わるまでに切り花にしたり、ドライフラワーをつくったりしてアレンジを楽しむのもおすすめです。冬の時期は水やりの時間帯に注意しましょう。夜に水やりすると、気温が下がって土が凍ってしまうことがあります。水やりは午前中のうちに済ませましょう。空気が乾燥しているときは土も乾きやすいため、水をたくさんあげることがポイントです。
クリスマスローズは一定の低温に当たらなければ茎が十分に伸びません。冬場も外で管理して、しっかりと株を生長させることが大切です。ただし、霜や寒風には対策が必要です。寒冷紗で覆う、軒下に移動させるなどを行い、クリスマスローズが傷まないようにしましょう。
開花株の購入はこの時期になります。買ったばかりの開花株は寒さに慣れておらず、いきなり外で栽培すると弱ってしまうことがあります。最初のうちは玄関などに置いて、少しずつ環境に慣れさせていくのがおすすめです。
傷んだ葉や古くなった葉があれば適宜摘み取ります。また、葉が多いせいで花が埋もれてしまう場合も、葉を切り取ってかまいません。
植え替え
クリスマスローズは、根が旺盛に伸びる植物です。鉢植えの場合は、3年に1回は植え替えして根詰まりを防止します。また、3年たっていなくても、葉が黄色くなったり鉢底から水が流れにくくなったり、根がはみ出したりしていたら植え替えてあげましょう。適期は10月~12月にかけてです。寒さが厳しくなる前に済ませてしまいましょう。適期以外に植え替えをする場合は、根を傷つけないように注意が必要です。植え替えに使う土は新しいものにしましょう。鉢は一回り、もしくは二回りは大きなものを用意します。植え替え直後は水やりをせず、翌朝に水を与えます。
地植えの場合は何年も植え替えしなくてかまいません。生育が停滞したり、新芽が出にくくなったりしたら株分けをして、ついでに植え替えましょう。
アブラムシ対策
春になるとアブラムシが発生することがあります。アブラムシをそのままにしておくと株が枯れてしまうこともあるため、はやめの発見と駆除が大切です。見つけたらすぐに取り除きましょう。
また、薬剤を使って、アブラムシが発生しないように予防しておくのもおすすめです。クリスマスローズを長く育てていくために、できる限りの害虫対策を行いましょう。おすすめは、肥料やりと害虫の予防・退治が同時にできる虫を予防するマグァンプです。
花がら摘み
クリスマスローズの花は見ごろが長いものの、ある程度の期間がたつと傷んできます。汚れているものや変色してしまったものなど、十分に観賞し終えたものは摘み取っていきましょう。花がら摘みをしていくことで一株に咲く花を長く楽しめます。
古葉取り
前のシーズンから育てているクリスマスローズは、古い葉がついていることがあります。そのままにしておくと株元に日光が当たりにくくなるため、古葉取りをしましょう。適期は11月~12月にかけてです。古くなった葉は、付け根部分から切り落とします。
ただし、あまり根元に近い場所で切ってしまうと、花芽まで切ってしまうこともあるため注意が必要です。古葉と新葉は、色合いがまったく異なります。枯れて変色しているものや、傷んでいるものなどを優先してカットしましょう。
クリスマスローズの増やし方は?
クリスマスローズは、株分けや種の採取によって増やすことができます。クリスマスローズの栽培に慣れてきたら、株分けや種まきからの育成にも挑戦してみましょう。最後に、クリスマスローズの増やし方をご紹介します。
株分け
株分けとは、植物の株を分割して増やす方法のことです。同じ性質を持った株を増やすために行われることもあれば、大きく育った株を更新する目的でも行われます。加えて、育ちすぎた株のサイズを抑えたいときにも株分けすることがあります。
クリスマスローズを長く育てていると、株の中心部から芽が出にくくなってきます。そのままにしておくと生育が停滞し、花や葉の数も少なくなってしまいます。種まきから7年~8年育てた大株は、株分けをして更新することがおすすめです。株分けしてまた新しく育てることで、再び元気に花を咲かせてくれるようになるでしょう。
クリスマスローズの株分け適期は10月~12月ですが、翌年3月ごろまでであれば作業は行えます。植え替えと同時に作業すると効率的です。
株分けの際は根を掘り上げ、傷めないように土を取り除きます。腐っている根があった場合は切り落としておきましょう。
クリスマスローズの株分けでは、一株につき3つまでを取り分けることが目安です。分けた株には、ひとつにつき芽を3個~5個残します。小分けにしすぎると生育が悪くなり、回復するまでに時間がかかってしまうため注意が必要です。なるべく自然に分けられそうな部分を探して分割しましょう。手で割るのは難しいため、ナイフやマイナスドライバーなどを活用します。道具は消毒しておくことが大切です。複数個の株を分ける場合は、株を変えるたびに道具を消毒しなおしましょう。万が一、病気に感染していた場合の蔓延を防ぐためです。
株分け後は、好きな場所へ植えつけます。地植えしても問題ありませんが、厳寒期の場合はマルチングをして土の凍結を防ぎましょう。鉢植えにする場合は株のサイズに合った小さな鉢を用意しておきます。株分け直後から1カ月は肥料を施すのは控えましょう。
種の採取
花が終わったクリスマスローズは、中心に種をつくります。そのままにしておくとどんどん熟して、自然と種がこぼれていきます。種がこぼれる前に花茎ごと切り取って採取しましょう。もしくは、種に袋をかぶせておき、種が自然に落ちるのを待ちます。
採取した種は種まき適期の秋が来るまで保存しておきます。保管中は乾燥させすぎてもいけませんが、蒸れて腐ってしまうのも防がなければいけません。通気性の良い袋の中に、土と一緒に入れておくのがおすすめです。
・種まき後の栽培期間
種の採取自体は簡単ですが、種まきからクリスマスローズを大きく育てるには何年もかかります。根気強く栽培するつもりでチャレンジしましょう。種まきから発芽までの期間も長めです。品種によっては4カ月以上かかることがあります。育苗期間は冬の時期にあたります。
種まき用土を入れたトレーに種をまき、霜に注意しながら管理しましょう。最初は日陰に置いておき、発芽したら日なたへ移します。本葉1枚がついたら、育苗ポットへひとつずつ植えつけします。時期は2月~4月が目安です。
その後、大きなクリスマスローズと同じように肥料や水をあげながら春夏を過ごします。9月~10月になると再び生長してくるため、もう少し大きめのポットへ植え替えます。翌年の春に再び一回り大きなポットへ植え替えし、秋になったら鉢へ移しましょう。うまくいけば、冬~春にかけて開花します。品種や個体によっては、開花までさらに年数がかかる点に留意しましょう。
クリスマスローズの交配について
クリスマスローズを栽培している方のなかには、異なる特徴を持つ花を交配して自分の理想とする花の育成を目指す方もいます。咲き方や色、大きさ、茎の長さなど、組み合わせによってさまざまな部分が変わります。「暑さに強い品種をつくりたい」「病気にかかりにくい品種をつくりたい」と考え、丈夫な性質を持つ花を掛け合わせることも。育てやすい品種が市場に出回るまでには、プロの育種家や園芸家などが多くの苦労を重ねて品種改良に挑んでいます。
交配の際は、ひとつの花から雄しべを取って、もうひとつの花の雌しべに擦りつけます。こうしてつくられた種子を採り、種まきして育ていきます。どんな花がつくのかは、開花するまではわかりません。理想の花が誕生するまで、何年も何十年もかかることもあります。クリスマスローズを育てる際は、目の前の花がどのようにしてつくられてきたのかについても思いを馳せてみると、より深く楽しめるでしょう。
おわりに
クリスマスローズは冬に咲く花の代表的な存在です。季節ごとに異なる管理方法が求められますが、基本的には丈夫で育てやすいメリットがあります。花の色や形などが多彩で、お気に入りのものを探す楽しさもあります。初心者にもおすすめのため、ぜひ気に入った種類のクリスマスローズを見つけ、長く栽培していきましょう。
【間室みどりさんの植物のお手入れ術】
クリスマスローズの育て方 花後の管理と株のリフレッシュ
TV、雑誌で活躍されている間室みどりさん(ガーデンセンターさにべる)に動画で分かりやすく植物の育て方、長く楽しむお手入れ術をご紹介頂いています。
公開: 2020年11月27日
更新: 2021年11月24日
更新: 2023年2月22日
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