源覚寺のほおずき市
先般、このサイトで朝顔文化の話をしましたが、日常でも朝顔文化が東京にも残っています。7月21日(土)午前中の文京区を歩いてきました。
地下鉄春日駅を降りて向かったのは、別名、こんにゃくえんまとも言われる源覚寺。第33回文京朝顔・ほおずき市の会場で、ほおずき市が開催されています。夏の風物詩として都内各地で開催されるほおずき市、浅草寺が有名ですが、元々は、港区の愛宕神社の千日参りで売られたのが始まりと言われ、その後、浅草寺でも市が始まると、多くの人に知られるようになったといいます。
促成で色づいた実なりの鉢植えは夏の風物詩としても親しまれる光景ですが、ご利益を求めてみなさん買って行くようです。ここでは、食用ホオズキの株も売っていました。試食した実は、ちょっと酸っぱ味がありますが意外においしかったです。
善光寺の変化朝顔展示会
そこから徒歩で数分、善光寺で変化朝顔の展示会が同時に開催されていました。変わり咲きのアサガオは、マニアだけではなく、立ち寄るご近所の人や散歩の若いカップルなど、みな興味を持って見ていきます。珍しさもありながら、季節の風物詩的なものとして、普通の人たちに愛されていくことが、文化として続く秘訣かもしれません。
ここから傳通院に向う途中の善光寺坂に、文京区指定天然記念物ムクノキ(椋の木)があります。樹高約13メートル、幹周り約5メートル、樹齢約400年の古木です。戦災で上部が焼かれて昔より小さくなったみたいですが、それでも歴史をくぐりぬけ、地域に親しまれてきた巨樹としていまも元気に生きています。このムクノキの前には、明治の文豪・幸田露伴の旧居もあります。娘の幸田文さんや孫の青木玉さん、その娘の青木奈緒さんも文筆家で、今もどなたかが住まわれているようです。文化の香りがムクノキからも漂います。
傳通院の朝顔市
そして、傳通院。ここは名の由来である、徳川家康の生母、於大の方の墓や柴田錬三郎、佐藤春夫などのお墓があることでも知られますが、夏は朝顔市も開かれます。ここでは一般のあんどん仕立てのほかに、‘団十郎’という大輪朝顔の株がたくさん売られていました。団十郎は、大輪朝顔として最近注目が集まっていますが、まつわる話には諸説あるようで、確かな‘団十郎’でないものも団十郎といわれているようです。
調べた限りでは、黄色い蝉葉で栗皮色(海老茶とも言われる)、真ん中の筒の部分が白い花が本来の団十郎のようです。決して江戸時代の品種でもなく、元々マニアの間で愛培されていたので、あまり知られることもなく出回らなかったようです。それをここ数年、東京都農林総合研究センター江戸川分場でふやしたことから一般に出回るようになったのではないでしょうか。いずれにしても、育ててみたいと思える大輪のアサガオです。
菅原道真が祀られている牛天神
そして、最後に訪ねたのはパワースポットとしても知られる、牛天神こと北野神社。ここでも数は少ないですが朝顔の展示がありました。ここは、源頼朝公が当地にあった岩に腰かけて休んだ時、夢に牛に乗った菅原道真公が現れ「二つの喜びがある」とのお告げを受け、翌年その喜びが現実にあったためこの地に牛天神を創立したと、説明があります。境内にあるねがい牛と呼ばれる岩を撫でると願いが叶う神社です。そしてご神木は木斛(モッコク)。樹下はよい緑陰になっていました。
猛暑の中、朝顔に関連した文京区内を散歩してみましたが、植物はさまざまな形で文化や生活に深く関わっていることが垣間見えてきます。東京(近郊も含む)にはまだまだ植物を楽しめる、魅力的な場所があります。これから「TOKYO PLANTS WALK 東京植物歩き」でご紹介していきます。
(取材・撮影 by Deru)
記事カテゴリから探す
Garden Tourから探す
HYPONeXSmileから探す
タグから探す
記事カテゴリから探す
Garden Tourから探す
HYPONeXSmileから探す
- タグから探す