【家庭菜園】難易度は高め、でも挑戦しがいあり!パプリカの育て方のポイントと注意点
ピーマンよりも甘みがあり、苦味が少ないパプリカ。カラーピーマンとも呼ばれており、料理に加えると彩りがぐんとアップします。パプリカの栽培はピーマンよりも難しいといわれていますが、ポイントを押さえれば家庭菜園でも十分に育てられます。ぜひご自宅にパプリカを植えて、カラフルな実の収穫を楽しみましょう。今回は、パプリカの育て方やポイント、注意点などをご紹介します。
パプリカの特長
パプリカは、中南米を原産とするナス科トウガラシ属の野菜です。ピーマンよりも実が肉厚で、苦味や辛味が少ないのが特長。ピーマンが苦手でも、パプリカなら食べられるという方もいます。実には赤や黄色・オレンジ色などがあり、色によって多少風味が異なります。いろいろな品種を揃えて育て、食べ比べてみるのもおすすめです。
音楽ファンや子供たちには、大ヒットとなった「Lemon」をリリースされた米津玄師さんプロデュースユニットの楽曲タイトルを思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか?楽曲の「パプリカ」は「〈NHK〉2020応援ソング プロジェクト」として2020年とその先の未来に向かって頑張っているすべての人を応援する新しい歌として製作されているそうです。さまざまな場面で話題となっているパプリカを家庭菜園で育ててみてはいかがでしょうか。
パプリカ栽培の難易度
パプリカ栽培は、ピーマン栽培に比べると難しいといわれています。植えつけから収穫までに時間がかかるためです。栽培方法自体はピーマンとほとんど変わらず、栽培スケジュールを守って管理すればご家庭でも収穫することは可能です。また、難易度が高い分、収穫したときの喜びはひとしお。
初めて家庭菜園をする方にとってはおすすめの野菜とはいえないかもしれませんが、過去にピーマンを育てたことがある方や、植物の栽培に慣れている方にはぜひ挑戦していただきたい品種です。
パプリカの歴史
パプリカが本格的に日本にわたってきたのは1990年代とされています。当初は輸入品が中心でしたが、徐々に日本国内でも栽培されるようになっていきます。
現在も輸入されたパプリカの流通がほとんどで、主に韓国産が出回っています。日本では宮城県の生産量がもっとも多いことで知られています。
パプリカの育て方
家庭菜園に慣れてきたら、ぜひお好きな品種のパプリカを育ててみましょう。こちらでは、基本的なパプリカの育て方をご紹介します。
苗の選び方
パプリカを種から育てるのは難易度が高めです。種まきから苗が育つ時点までに80日前後もかかります。特に家庭菜園を始めたばかりという方は、苗を購入して植えつけをするのがおすすめです。
また、苗はできるだけ元気なものを選びましょう。丈夫なものを選ぶことで、その後の管理の手間が軽減できます。葉がピンと張っており、色が濃いものがおすすめです。茎は間延びしておらず、全体的にがっちりとしたもののほうが良いでしょう。葉の裏までしっかりと見て、虫がついてないないか、病害虫被害の痕がないかを調べるのも大切です。ポットの底穴から根が少し見えており、一番花がついているものや開花しているものなど、持ち帰ったらすぐに植えつけできるものが良いでしょう。
苗の植えつけ
苗の植えつけに適しているのは、5月上旬から6月上旬ごろ。気温が22℃から30℃になったら植えつけをしましょう。
植えつけ時のコツは、浅めに植えることです。土と苗の両方に水をたくさんあげてから、乾燥する前に植えつけ作業を済ませましょう。ポットから苗を取り出すときは、根を傷つけないように慎重に扱います。
株と株との間隔が狭いと日光が十分に当たらず実がつきづらくなります。株間は十分にあけましょう。プランターで育てる場合は、60cmプランターに2株が目安です。地植えの場合は、畝をつくって排水性を高めます。
植えつけ後はたっぷりと水を与えます。根が張るまで1カ月ほどかかることもありますが、その間は水切れしないように管理しましょう。植えつけ時に1000倍に薄めてた活力剤「リキダス」を与えると、根の張りを促進し、後述する尻ぐされ症の予防にもなります。
用土
パプリカは湿度が高い環境を苦手とします。用土には、排水性の高い「ハイポネックス 野菜の培養土」が最適です。通常より土が重く、苗が倒れづらくなるように設計されております。
なお、ナス科の植物であるパプリカは連作障害が出やすい品種です。過去3~5年にナス科の植物を植えた土には植えないようにしてください。
栽培場所
パプリカは日光を好みます。日光不足だと実が生育しづらくなりますので、しっかりと日光が当たる場所で栽培しましょう。また、パプリカは乾燥に弱い性質をしていますので、エアコンの室外機の近くなど風が当たる場所には置かないようにしてください。
水やり
パプリカは水分をたくさん必要とします。水が足りなくなると株の勢いが弱まり、実つきが悪くなってしまうことも。土の表面が乾いたら、プランターの底や株の周りから流れ出るくらいたっぷりと水を与えましょう。
夏場は特に乾燥しやすいので、こまめなチェックが必要です。朝もしくは夕方の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。土の温度が上がる昼間に水やりすると、根腐れを引き起こしてしまう可能性があるためです。
肥料
次々と実をつけるパプリカは、肥料をたくさん必要とします。開花から20日程度で収穫するピーマン(未熟果)に対し、開花から60日程度たってから収穫するのがパプリカ(完熟果)です。そのため、1個のパプリカを作るのに、3~4個分のピーマンの肥料が必要になります。1株あたりの収穫量も10個程度と少なめです。そのため、元肥のみならず、特に実をつけ始めてからも肥料切れを起こさないようにしっかり追肥をすることが必要です。
そのため、元肥には、約2~3カ月、肥料効果が持続する「Plantia 花と野菜と果実の肥料」か「マグァンプK 中粒」を、追肥には、「ハイポネックス原液」を与えるのがおすすめです。
パプリカを育てるときのポイントや注意点
パプリカを栽培するときは、支柱を立てて倒壊に気をつける配慮が必要です。また、枝が混み合いやすいため、必要のない部分をこまめにカットするお手入れも大切です。ここでは、パプリカ栽培において気をつけておきたいものをご紹介します。
支柱立て
パプリカはある程度成長するまでは茎が細く、風で倒れやすいのが難点です。植えつけしたら、必ず支柱を立てるようにしましょう。支柱の立て方はいくつかあるため、お好みの方法を選びましょう。
例えば、2本の支柱を交差させて、真ん中にもう1本の支柱を立てる方法があります。1本だけでは安定しないため、交差させた2本の支柱でバランスを取るのがポイントです。真ん中の1本に主茎を結びつけてあげましょう。あまりきつく結ぶと傷んでしまうため、ほどけない程度にゆるく締めておきます。
摘花、脇芽かき
苗の植えつけから40~50日経つと、花が咲きます。この一番花は実が4~5cmくらいになったら、すぐに摘み取るようにしましょう。まだ株が十分に生育しきらないうちに実がついてしまうと、実に栄養が取られて株の生育が止まってしまい、結果的にたくさんの実がつかなくなってしまうためです。
このとき、一番花のすぐ下にある2つの脇芽は残したままにしておきます。それ以外にも脇芽が出てきますが、すべて摘み取りましょう。脇芽をすべて残しておくと、枝が増えすぎて実つきが悪くなってしまいます。葉っぱが混み合うと病害虫の被害に遭いやすくなることもあるため気をつけましょう。
仕立て方
パプリカは、3本仕立てもしくは4本仕立てにするのが基本です。主枝と側枝2~3本のみが残るように、脇芽を間引いていきましょう。伸びた茎は、それぞれ支柱へ誘引してくくりつけます。どんどん伸びて広がっていくため、こまめに様子を見て、必要があれば結ぶ場所を変えましょう。また、脇芽は主枝だけでなく側枝にもついていきます。そちらも放置していると伸び放題になってしまうため、脇芽かきをしましょう。
整枝
パプリカをすっきりと仕立てるためには、適宜カットして整枝することが大切です。必要のない葉や茎が伸びてきたら、小さいうちに手で摘み取っておきましょう。
摘果
栽培期間が長くなるパプリカは、一株にたくさんの実がなります。すべてを実らせたままだと株のエネルギーが足りなくなってしまうため、途中で枯れてしまうかもしれません。特に、最初のころにできた実は摘果しましょう。株が十分に大きくなるまで待ってから実を太らせることが大切です。株が大きくなった後も、実がたくさんなりすぎているようであれば適宜摘み取ります。ひとつの節につきひとつの実をならせるのが目安です。
うどんこ病対策
パプリカ栽培で気をつけておきたい病害がうどんこ病です。うどんこ病にかかった葉は、白い粉をまぶしたような見た目になります。原因は糸状菌と呼ばれるカビです。放置しているとどんどん広がってしまうため、見つけたらすぐに取り除きましょう。うどんこ病は、雨や水やりの際の泥はねが原因になることがあります。ビニールや藁などでマルチングして、泥はねを防ぐのもひとつの方法です。風通しが悪い環境でも発生しやすいため、密植を避けるのも重要です。専用の薬剤を使い、防除しても良いでしょう。
アブラムシ対策
パプリカの新芽やつぼみなどに発生しやすいのが、アブラムシです。あっという間に増えていき、パプリカの汁を吸って弱らせてしまいます。アブラムシが媒介する病気もあるため、見つけたらすぐに駆除しましょう。アブラムシも、うどんこ病と同じように風通しの悪い環境で発生しやすくなります。株が蒸れないように整枝していきましょう。また、専用薬剤を使っておくことで、アブラムシの防除も可能となります。大事なパプリカを守るため、ぜひ事前に対策しておきましょう。
尻腐れ症を防ぐために
パプリカやピーマンの栽培で起こりやすい生理障害が「尻腐れ症」です。パプリカを育てるときは、尻腐れ症対策をして、きれいな実を収穫できるようにしましょう。
尻腐れ症とは
尻腐れ症とは、実のお尻の部分が黒ずんで、腐ったように崩れてしまう生理障害のことです。パプリカやピーマンのほか、トマトやナスなどの野菜に生じることがあります。主な原因はカルシウムが欠乏することです。植えつけた土のカルシウムが足りない場合や、何らかの理由でカルシウムの吸収を阻害された場合、尻腐れ症になることがあります。一度尻腐れ症にかかった実は、元に戻ることはありません。見つけたら摘み取って廃棄しましょう。
尻腐れ症対策のコツ
尻腐れ症対策の基本は、ナス科植物の連作を避けることです。前シーズンにナス科の植物を育てた土は使わず、別の土へ植えるように気をつけましょう。
もう一つの対策方法が、活力剤「リキダス」を与えることです。リキダスは、カルシウムを含有しているのみならず、そのカルシウムを植物の先端まで行きわたらせる作用を有しており、カルシウム不足からおこる尻腐れ症の予防にとても効果的です。加えて、リキダスを与えることによって、尻ぐされ症の予防だけでなく、根の張りをよくし、苗を元気にします。
また、適した量の肥料を与えることにも心がけましょう。チッソ分が多すぎる肥料だと、カルシウムの吸収に影響を及ぼすことがあるためです。肥料の与えすぎには注意してください。
さらに、土づくりの段階で、カルシウムを与えておくことも大切です。土のカルシウムは、石灰を混ぜることで増やせます。
加えて、気をつけておきたいのが夏場の高温や直射日光です。気温が高すぎるときや、日光が強く当たっているときは、植物の蒸散がうまくいかないことがあります。蒸散できなければ新しい水分を根から吸えず、結果としてカルシウムのような栄養分も足りなくなります。土がカラカラに乾いているときも同様です。夏の間は、特に土の状態に注意して水やりを行いましょう。
パプリカの収穫
パプリカの実が無事に熟したら、収穫が行えます。食べごろを逃さないように収穫し、美味しい実を味わいましょう。
収穫時期
パプリカの実は、苗の植えつけから2カ月ほどで収穫時期を迎えます。気温が低い場合は熟すまで時間がかかるため、さらに時間を要することがあります。
最初はピーマンのように緑色をしていますが、だんだんと赤や黄色・オレンジ色に変わっていきます。品種によっては色が移り変わる途中で茶色っぽくなるため、腐ってしまったと勘違いしてしまうかもしれません。焦らずに観察して、すぐに摘み取らないように気をつけましょう。
実がしまって6〜7cm程度になったら収穫のタイミングです。実の全体がしっかりと色づいているか確認しましょう。
収穫のコツ
パプリカの収穫は、手でもぎ取るのではなく、清潔な刃物を使って柄をカットするのがおすすめです。収穫適期のパプリカの柄は太くなっているため、手ではうまくちぎれない可能性があります。また、無理にもいでしまうと切り口が汚くなり、病気の原因になることも。よく切れるハサミやナイフで切り取ってあげましょう。
おわりに
パプリカの実は熟すまでに長くかかるため、管理する手間がかかります。その分、収穫できたときの喜びも大きいのが魅力です。適切な管理方法を知り、お手入れを続けていけば、美味しいパプリカをたくさん収穫できるはず。家庭菜園の中上級者の方は、ぜひ、パプリカ栽培にチャレンジしてみてください。
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