青空に映える春の花ハクモクレン。家庭での育て方は?
一株に大ぶりな花をたくさん咲かせるハクモクレンは、庭のシンボルツリーとしても人気の木です。春の訪れとともにハクモクレンの花が開くと、あたりが一気に華やぎます。
今回は、ハクモクレンの基本的な知識やご家庭での育て方、増やし方などをご紹介します。
春の訪れを感じるハクモクレン
ハクモクレンは、3月~4月にかけて白い花を咲かせます。花弁は大ぶりかつ肉厚で、完全には開きません。よく似た花にコブシがありますが、そちらは花弁が薄く、全開するのが特徴です。また、ハクモクレンの花はすべて同じ方向に向かって開きますが、コブシの花はバラバラの向きで咲きます。香りは豊かで、甘く上品な芳香が楽しめるのも人気の一因です。
・ハクモクレンの花は短い
ハクモクレンの開花時期は短く、3日ほどで散りはじめます。満開の時期は一瞬ですが、真っ白なハクモクレンが枝をにぎわせる様子は格別です。ただ、花弁は変色しやすく、傷がついたり霜が降りたりするとすぐに茶色くなります。
・モクレンは古くから存在する植物
ハクモクレンはモクレン属の植物です。モクレンは一億年ほど前の化石がみつかっており、人類が出現するずっと前から同じような姿で地球上に存在していたと考えられています。ハクモクレンの原産は中国大陸といわれており、つぼみは漢方薬の材料としても使われてきました。現在は北米・ヨーロッパ諸国などでも栽培されています。欧米ではツバキやツツジと合わせ、三大花木と称されることもあるようです。
・大きさに注意!
ハクモクレンは庭木の中でも大きく育つ植物です。10m~15m近くなる可能性もあります。ご家庭で育てる際は、十分なスペースがあるか確認しましょう。また、こまめに剪定して大きさを調整すれば、小さいまま育てるのも可能です。お庭のスペースに不安のある方は、「スノーホワイト」のように、そこまで大きくならない園芸品種を選ぶのがおすすめです。
ハクモクレンの育て方
ハクモクレンは日光を好む植物です。日当たりがよく風通しのよい場所に植えましょう。庭植えの場合、水やりはほとんど必要ありません。鉢植えのものは土が乾いたらその都度水を与えます。
・土づくり
ハクモクレンは水はけがよく、少し湿った土を好みます。庭に植えるときは土に腐葉土やピートモスなどを混ぜ、栄養のある土づくりをしましょう。
ハクモクレンは大きく生長するため、鉢植えよりも庭植えが主流ですが中には、工夫しながら鉢で育てている方もいらっしゃいます。鉢植えにする際は、赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使うのがおすすめです。水はけが良くなるよう、鉢の底に敷く石は多めに入れましょう。
・植えつけ
植えつけは、暖かい地域では11月~12月、寒い地域では1月~3月の間に行います。深く植えすぎないように注意してください。植えつけの際には元肥が必要です。元肥には約2年間肥料効果が持続する『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みましょう。幹が細いうちは支柱を立てて倒れないように補助しましょう。植えつけ後、根付くまでは土が乾燥しないよう定期的に水を与えます。根の活着促進には植物用活力液『リキダス』を水で1,000倍に希釈してあたえると効果的です。
鉢植えの場合も同じ時期に植えます。ハクモクレンは根がよく育つのが特徴です。鉢を土の上に直接置いておくと、根がはみ出して土に張ってしまうことがあります。鉢の下にレンガやブロックなどを置いて防ぎましょう。
・剪定
ハクモクレンは生長がはやいため、毎年剪定を行う方が多くみられます。特に、鉢植えの場合はこまめに剪定するのが基本です。たいていは花の時期が終わってから冬の間までに剪定します。花芽は短い枝の先にできるため、剪定は長く伸びすぎた枝を選びましょう。
ハクモクレンは花が終わったあとに葉をつけます。葉が生い茂る時期に剪定しようとすると、間違って花芽のついた枝を落としてしまう可能性もあります。そのため、葉が落ちた11月~2月に剪定を行うのが基本です。ただ、花芽と葉芽を見分ける自信がない場合は、花の終わった直後から6月ごろまでに剪定してもかまいません。
生長が盛んな8月から10月にかけては、太い枝を切り落としてしまうと枯れてしまうこともあるため注意が必要です。太い枝も含めて剪定したいなら、11月~2月に行いましょう。
ハクモクレンを増やすには?
ハクモクレンを増やすには、接ぎ木やさし木、種まきなどの方法があります。しかし、どれも簡単というわけではありません。特にさし木では新しい芽が育ちにくいため、ご家庭で挑戦する方は少ないようです。
ここでは、接ぎ木と種まきの方法についてご紹介します。
・接ぎ木
接ぎ木とは、ふたつの木を接着させて植物を増やす方法です。植物によって適した組み合わせはさまざまですが、ハクモクレンの場合は類似種のコブシの木を台木にすることが多くなります。
接ぎ木を行うのは2月~3月ごろが適しています。穂木にするハクモクレンは、枝先から5cm程度に切り落とします。このとき、枝に芽がつくように調整しましょう。
台木のコブシは、株元の近くに切り込みを入れておきます。斜めに切ったハクモクレンの穂木をさしこみ、接ぎ木テープを巻きます。活着するまではテープを取らずにおきましょう。
・種まき
ハクモクレンは赤いこぶがいくつも連なったような、細長い実をつけます。受粉率が低いため、一株につく実の数は多くありません。花が咲き終わったあと、受粉できなかった花芯は地面に落ちていきます。ハクモクレンの花芯は大きいため、これを種と間違えてしまうことも少なくありません。
ハクモクレンの実は、10月ごろになると熟して裂けていきます。その時期になったら、まだ裂けていない実を選んで採取しておきましょう。保管する際は陰干しします。何日か置いて自然と実が裂けるのを待ち、種を取り出してください。
種を出したら、水洗いして果肉を落とします。洗ったら種が乾かないうちに急いで土にまきましょう。鉢植えの場合、土は赤玉土がおすすめです。種は深く埋めず、軽く土をかぶせる程度にとどめます。土を乾かさないよう、水やりを行いましょう。発芽して生長してきたら、大きさに合わせた鉢に入れ替えます。
ハクモクレンは枝いっぱいに大ぶりな花を咲かせるため、花の時期は大変見ごたえがあります。
耐寒性にも耐暑性にもすぐれているため、日本各地で育てられるのもうれしいところです。丁寧に育てて華やかな庭をつくりましょう。
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