富田英明の春の寄せ植え 3つのポイントでステキな寄せ植えづくり
花の楽しみ方はいろいろありますが、器の中でいろんな花を集めて楽しめるのが『寄せ植え』です。季節ごとに花が並ぶ園芸店で、好みの花を選んで自分の寄せ植えをつくることが一番楽しいことだと思います。しかし、つくる前に悩んでしまうのが花選びと色合わせ、そこで悩んでしまってなかなかはじめることができない人が意外に多いのではないでしょうか。
花選びや色合わせが苦手な方は、まず店頭で、自分が植えてみたい花や緑、あるいは目に留まっていいなと思った花と緑を優先的に選んでみてください。そしてこれから提案する3つのポイントで、できあがりのフォルムを綺麗に出すことによって、花選びや色合わせを最初にしていなくても、ステキな寄せ植えに仕上がります。以下に3つのポイントを知っていただくための、寄せ植えづくりを紹介します。せひ、春の寄せ植えづくりに挑戦してみてください。
また、富田英明さんといっしょに寄せ植えづくりを楽しむワークショップを開催します。
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春の寄せ植えづくり(参考作品)
使用する寄せ植えの素材
1 〜2 月は、芽出し球根や早春の花が店頭に並び、一足先に春を感じることができますね。上写真は、今回の参考作品づくりに使用した花材です。色の数は、なるべく3〜4色程度からつくりはじめ、つくり慣れてきたら徐々にふやしていくとよいと思いますが、色の使いすぎには注意しましょう。
ヒヤシンスは、3球入りで販売しているもので、どの園芸店にもあると思います。ブラキカムは人気の小輪の花で寄せ植えにもよく使われます。プリムラも年末から店頭に並びはじめ、2 月までは販売している花で、最近ではたくさんの種類や品種がありとても魅力的です。ネメシアは、年明けから出はじめ夏手前まで並んでいると思います。個人的には、寄せ植え花材としてとても使いやすい花です。アネモネも期間限定でありますが、一年の中でもこの時期でしか使えない花で、季節感の出る寄せ植えになる素材です。ハゴロモジャスミンもこの時期から店頭に並び、寄せ植え用のリーフとしても人気の花です。
寄せ植えの器
寄せ植え用の器は、直径は23cm、高さも23cm のブリキを使用しました。テラコッタよりは土が乾きにくいので鉢底石を入れるようにしましょう。
さて、これからつくり方の手順に入ります。冒頭にも述べたように、意識してつくるのが寄せ植え全体の『フォルム』、そこが凸凹していたり、真ん中が凹んでいたりすると素敵な色合わせも台無しになってしまいます。そこでフォルムを綺麗に出す、3つのポイントを解説します。
ポイント1 なるべく高めに植える
一つ目のポイントは、なるべく高めに植える、です。多くの方がウォータースペースを意識しすぎて低く植えてしまいがちです。ポットが少し見えるくらいまで土を入れて高さを出しましょう。
ポイント2 上から見て器と同じ形にする
二つ目のポイントは、上から見て器と同じ形にする、です。器が丸なら丸に、オーバルならオーバルに、ぴったり正確にということではなく、おおよそでかまいませんので、器の開口部の形に合うよう、植物たちの向きを変えたりして調整していきます。
ポイント3 茎や枝の高い方を器の中心側へ向けて植える
三つ目のポイントは、茎や枝の高い方を器の中心側へ向けて植える、です。この三つ目のポイントがフォルムを綺麗に出す一番重要なポイントです。絶対というわけではありませんが、高い方があったらなるべく内側へ向けてみてください。必ずきれいなフォルムに仕上がります。
寄せ植えづくりの手順
1.苗をポットから取り出し配置します、根鉢をくずせばくずすほど植えやすくなりますが、種類によってはくずさない方がよいものもあります。どちらかわからない時は、写真のように根鉢の上半分だけくずして植えましょう。
2.苗を植える順番は、人それぞれですので植えやすい苗からはじめましょう。私の場合はメイン、あるいは背丈の高い苗から植えはじめます。そして寄せ植えづくりのポイントで説明したとおり、背丈の高い茎や枝を中心側へ向けて植えます。そして上半分の根鉢を取っているので、高く植えても問題ありません。
3.次にアネモネをネメシアの隣へ配置します。アネモネも花が出ている方を内側へ向けます。アネモネを入れて寄せるとネメシアが動いてしましますので、寄せて寄った花や茎は元の位置に戻す、これがポイントです。
4.押されていたネメシアの花を戻すとアネモネがネメシアの中にポンと入り込み、まるでネメシアの下からアネモネの花が出ているみたいになります。茎が高ければ高いほど、あるいは長ければ長いほど、写真のように、元から植わっていました感、が演出できます。
5.次にブラキカムをアネモネの前に配置します。やはり茎の長い方を内側へ。長い茎のブラキカムはアネモネの方へ行き、馴染んでいるかのように見せます。
6.背丈の高いプリムラの花を内側へ向けるとドーム型になりやすいです。
7.ヒヤシンスの3球入をバラします。根が長い場合は切ってしまっても問題ありませんがハサミよりは手で切った方がよいでしょう。
8.ヒヤシンスの配置は好きな場所でかまいません。まっすぐに植えるだけでなく、斜めに傾けて植えたりするとすると動きが出ます。
9.最後にハゴロモジャスミンです。こちらは、二本ざしになっているので二つに分けます。根鉢が残りすぎると隙間に入れづらいので、写真のような感じで、できるだけくずしてください。
10.二つに分けたら、写真のように不要な枝、葉を取り除きます。取り除く理由は、そのままですと葉が密集しごわごわ感が出てしまうので、他の葉や株にできるだけしないようにカットしましょう。
11.ハゴロモジャスミンも枝の長い方を中心側へ向けると、他の花と同様、一緒に植わっていました感、がでます。配置する場所は同じ場所とは決めずに、その都度イメージに合うようなところへ配置しましょう。
12.全部配置したら、最後にもう一度、葉や花を伸び伸びとさせて窮屈感を取り除きます。そして周りに土を足し入れたら出来上がりです。
寄せ植えの管理
水やりですが、花にかからないよう株元に、目安は植えた器の2倍の量を直接与えてください。多くの方が、容器の底から水が出たら終わりにしてしまいます、それだと容器の中の土が完全に濡れないままですぐに乾いてしまい、元気がなくなってしまいます。与える時は十二分に容器の土が完全に濡れるだけの量を与え、次に与えるタイミングは土の表面がしっかり乾いたときです。毎日少しずつ水を与える人がいますが、意外ですがそれが寄せ植えを枯らす一番の原因でもあります。
いかがでしょうか、富田流、春の寄せ植えづくりのコツ。寄せ植えの花選びや色合わせが苦手な人は、まず3つのポイント、なるべく高めに植える、上から見て器と同じ形にする、茎や枝の高い方を器の中心側へ向けて植える、を意識して、寄せ植え全体のフォルムをきれいに出すことからはじめましょう。フォルムがきれいに出せると、自分でつくった寄せ植えが、とてもきれいなものになります。そうなるとまた新しい寄せ植えをつくろうという気持ちになります。春、自分の寄せ植えづくりに挑戦してみませんか。
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富田英明(トミタ ヒデアキ)
1974年11月15日東京都生まれ。高校・大学時代にアルバイトで園芸店へ。
卒業後入社し2010年退社。2013年5月 jungleberry(ジャングルベリー)を屋号として活動を始める。
各地園芸店にて、講習会、教室等で寄せ植えの楽しさを伝える。個性を活かした、手軽に楽しめる寄せ植えづくりを目指し活動中。
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