サヨリ(針魚・細魚)

2024.02.26

旬:11~5月 三陸は初夏6~7月
主産地:千葉県、石川県、茨城県

サヨリ(針魚・細魚)を選ぶ

長い下あごの下部が赤いものを選ぼう

鮮度が良いサヨリは下顎の赤色が鮮やかで、赤みが薄いものや消えているものは鮮度が落ちていることが多いです。腹部が銀白色に輝いているものが良く、触ってみて腹にしっかりとした固さがあるサヨリは鮮度が良いです。ウロコは薄く、とてもはがれやすいので、店頭に並ぶときにはウロコはほとんど無くなっている場合が多いです。触った時に、ヌルッとしているものは脂が乗っている証拠です。

秋冬から春にかけて旬を迎える「春を告げる美しい魚」

細くしなやかな姿で、クセのない上品な味わいで、特に春には旨みや脂が適度に乗って美味しいサヨリ。ニシンやメバル同様、春告げ魚として関東で有名です。兵庫県のイカナゴ、伊豆諸島のハマトビウオ、富山のホタルイカなど日本各地で春告げ魚はいます。いずれの魚も冬の時期に不足しがちなビタミンやミネラル等、食を通じて補ってくれる魚です。

サヨリの名の由来

俗説はいくつかあるようですが、一つはサヨリの習性から名前がついた説です。サヨリは海面を群れで素早く泳ぐことからサワ(沢山/たくさん)とヨリ(寄り集まる)と呼んだところから「サワヨリ→ サヨリ」になったという説。もう一つはサヨリの姿から、細くて長いという意味でサ(狭い)、まっすぐでよろしき魚という意味で「ヨリド ウヲ」、「サ ヨリド ウヲ→サヨリ」になったという説などがあります。

サヨリ(針魚・細魚)のおいしい食べ方

刺身、てんぷら、唐揚げ、椀物、何で食べても美味しいサヨリ

サヨリは半透明の身を活かして、細造りや糸造りにすると見た目にも美しいです。内臓に生臭さがあるため、腹わたを取り、黒い腹膜を取り除くことが必要です。その際身を水洗いする時は、真水より塩水で洗うと、身の中に含まれている旨味が流れ出しにくくなります。塩分で身が締まり、ぬめりや臭みを取る効果もあります。結びサヨリと呼ばれる、三枚におろしたサヨリの身を軽く結び、ゆがいて椀種にしてもサヨリの美味しさを味わうことができます。中骨を乾燥させてからっと揚げればカルシウムたっぷりの「骨せんべい」として食べることも出来ますよ。

脂肪が多い腹の部位は、もっちりとした濃厚な食感、脂肪が少ない尾に近い部位は、コリコリした食感です

以前は酢で締めて寿司にしていましたが、現在は酢締めせずに提供されることが増えています。個人的には昆布締めが好きです

焼く前、サンマのように振り塩ではなく、甘みやうまみが引き立つように濃度3%程度の塩水につけておく「立て塩」をしましょう

丸干しのサヨリを焼くと皮が芳ばしく美味しいです。淡白な白身に柑橘類を絞るととても合います

サヨリ(針魚・細魚)の豆知識

「サヨリのような人」

サヨリは美しい姿や下顎の先端が紅をさしたように紅いことから“海の貴婦人”とも呼ばれています。しかし、お腹を開くと腹膜が真っ黒であることから「外見と違い、実は腹黒いやつ」という例えに使われるようになり、昔は腹黒い人のことを“サヨリのような人“と表現したようです。
サヨリは海面付近を群れて泳ぎ、動物プランクトンを下あごですくい取って食べます。水面近くを泳ぐので、太陽の紫外線から内臓を守る役割で腹が黒くなったということらしいです。サヨリを調理するときに「腹黒い」と言えば、逆に新鮮な証です。この腹膜の黒さは鮮度が落ちると「わた焼け」して褐色になり、鮮度を見分けるポイントになります。

サヨリは秋から春にかけて旬を迎えますが、15cm以下の小さいものは「エンピツ」、大きなものは「カンヌキ」と呼ばれ、40cmになることもあります。カンヌキ=門や戸をしめるための横木で、お寺などでよく見ますね。大型のサヨリは脂が乗り非常に美味とされますが、貴重なのでスーパーなどの店頭で見ることはほとんどなく、高級料亭や寿司屋に出荷されます。もし、店頭で大型のサヨリを見つけたら、ぜひ買ってみて下さい。

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