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しらすを選ぶ
しらすとは何の魚?
「しらす」とは元々、鮎やウナギ、イワシ、ニシン、イカナゴなどの魚の稚魚の総称として使っていました。この種の稚魚は体に色素が少なく、白色や透明なのでこう呼ばれています。「しらす」という言葉は、時代劇に出てくる白い砂利の敷かれた裁きの場所「お白州」からきていると言われており、しらすを干していて一面真っ白な状態が、お白州に似ていたことから名づけられたといわれています。現在、一般的に「しらす」として売られ、食されているのはカタクチイワシやマイワシ、ウルメイワシなどの稚魚の総称ですが、そのほとんどがカタクチイワシの稚魚となります。
生しらす丼を目当てで江ノ島に行くなら1月1日~3月10日は避けましょう
神奈川県は、アユの稚魚を保護する為(漁をしていると一緒に捕れてしまうので)1月1日〜3月10日までを 生しらすの禁漁期間 としていますが、禁漁期間を除くとほぼ一年中しらすを獲ることが出来、特に春と秋がしらすのおいしい時期です。関東では、さっぱりとしていてプリプリした食感の小ぶりな春しらすが好まれますが、関西では関東とは違い、身が大きく白い秋しらすが好まれます。秋しらすは脂が程よくのっていますので、プリプリ太ったしらすです。
しらす=湘南?静岡?
しらすは比較的どこでも獲ることができますが、九州近海で生まれたシラスが、黒潮に乗って北上するので、兵庫、愛知、静岡が三大産地です。えっ、神奈川の湘南じゃないの?って思われるかも知れませんが、湘南(江の島・片瀬海岸は)首都圏から一番近いしらすの水揚げ地として知られていますので、有名なのです。兵庫県は淡路島の生しらす、愛知県の篠島のしらすは島を代表する名産品、静岡県の駿河湾のしらすは富士山の恩恵を受けた貴重なしらすです。中でも、鮮度が命の生しらすがいただけるのは、関東では静岡、沼津、鎌倉、江ノ島、関西方面では淡路島や和歌山近辺になります。
しらすのおいしい食べ方
生しらすは鮮度が命、ふわふわの釜揚げしらすは丼で
しらすはカタクチイワシの稚魚。イワシは魚へんに弱いと書き、鮮度が落ちやすいのは親ゆずり。買ったその日の内になるべくお早目に頂くというのが定石です。漁港の直売所で購入する際は、鮮度を逃さないようクーラーボックスを持参すると良いですよ。直売所でパック詰めされて売られている生しらすは一度水洗いされているので、洗わないで、そのまま食べましょう。洗うと、水っぽくなってしまいます。水揚げ直後に購入したものは、真水で洗ってから食べるようにします。やり方は、生しらすをザルに入れさっと洗います。その後、たっぷりの真水にくぐらせ、浮いてくるゴミを取り除いてからザルで軽くすすぎながら水を切ります。あまり長く時間をかけて行うと鮮度が逃げてしまうので、手早く洗うことがコツです。
釜揚げしらすの美味しい食べ方は、熱々のごはんの上に釜揚げしらすをたっぷり乗せて、大葉や白ごまなどの薬味を加え、仕上げにポン酢やお醤油を回しかけた「しらす丼」が一番です。塩味がありますので、ポン酢やお醤油は少なめにしましょう。
生しらす丼は産地で食べてこそ味わうことができます。キラキラと美しく透明なしらすは新鮮だからこそ、独特な甘みも楽しむことが出来ます
釜揚げしらすは、大抵、漁港の目の前の加工場で30分以内にゆであげるので鮮度が抜群です
しらすの水分含有量が25%〜35%のものを関東では「かちり」と呼び、関西では「ちりめん」や「ちりめんじゃこ」と呼んでいます
よく似ていますが、シラスは、カタクチイワシやマイワシなどの稚魚で、「踊り食い」で有名なシロウオ(素魚)は、スズキ目ハゼ科で、分類上まったく別の魚です
しらすの豆知識
酢や柑橘系の果汁など一緒に食べると、カルシウムの吸収率を高めます
生しらすも、しらす干しも、ちりめんじゃこも、全部しらすです。おじゃこは「お雑魚」と書き、メインになる魚ではありませんでした。しかし、しらすは骨や歯の材料になるカルシウムが豊富で、成魚よりもカルシウムが多く含まれていると言われています。カルシウム以外に、カリウム、タウリン、鉄、亜鉛、DHAやIPA なども豊富で免疫力を高め、老化防止の効果もあります。カルシウムと共に筋肉の収縮に関わっているマグネシウムも豊富です。しらすは塩分が多い食品のひとつです。塩分過多はむくみの原因にもなると言われていますので、食べ過ぎには注意してください。