ハタハタ(鱩・鰰)

2024.02.29

旬:11月~1月 山陰地方は3~5月
主産地:兵庫県、秋田県、鳥取県

ハタハタを選ぶ

ヌメリが残っているものは新鮮な証拠

ハタハタは鮮度が落ちやすい魚ですので、産地以外ではなかなか新鮮なものは入手しにくいですが、以下のポイントを覚えておくと良いです。体表にツヤがあり、ハタハタから分泌されたヌメリが残っているものを選びましょう。目が青く澄んでいる、体色が濃いハタハタを選ぶようにして下さい。

漢字で書くと「鱩」「鰰」

秋田県で海が荒れて雷鳴とどろく11月頃に獲れるのでカミナリウオの別名でも呼ばれ、漢字では魚編に「雷」で「鱩」と書きます。「ハタハタがないと正月が迎えられない」と言うほど、秋田県民の生活に密着してきた魚。魚編に「神」で、「鰰」。普段は全く姿を見せない魚が、正月前に突然、大群で押し寄せてくることから、神様の恵みの魚であるとした敬意の証です。

茨城から秋田へハタハタも移動した?

猛将として知られた佐竹義宣侯は、茨城(常陸)の国を統一しました。清和源氏の流れをくみ、江戸三百諸侯の中でも名門中の名門でしたが、関が原の戦いでは石田三成に加勢し、徳川家康に常陸五十四万石から秋田二十万石への国替えを命じられました。ハタハタはもともと茨城の大洗沖の海でも沢山獲れたようですが、佐竹義宣侯が常陸から秋田に転封された時にハタハタも佐竹義宣侯を追って秋田に行ってしまい,常陸では獲れなくなったといいます。

ハタハタのおいしい食べ方

塩焼き、干物、味醂干し、ハタハタ汁、飯寿司(なれずし)など

ハタハタは深海魚ですのでウロコがない魚です。また、小骨が少なく身離れもよい魚ですので、とても調理しやすい魚です。ハタハタは「馬の息がかかれば食べれる」と言われるほど、少し熱を通すだけで食べることが出来ます。あまり煮過ぎると身がボロボロと割れやすくなります。

ハタハタの漁獲量が多い秋田県を中心とした東北地方の郷土料理にしょっつる鍋というのがあり、ハタハタが使われます。「しょっつる」とは、能登の「いしり」や香川の「いかなご醤油」と並ぶ日本三大魚醤のひとつで、ハタハタを1~2年もの長期間、塩漬けにして作る調味料である魚醤の一種です。その「しょっつる」と、ハタハタ、豆腐、ネギを一緒に煮たのがしょっつる鍋です。

ハタハタの一夜干し。ハタハタを焼くと、尾びれの付け根で骨を折っておくと頭のほうから脊椎が全部きれいに抜け食べやすいですよ。

三五八(さごはち)漬。秋田県には三五八漬け(塩3、麹5、米8を合わせたもの)の漬床で漬け込んだものを焼く名物料理があります。

ハタハタと言えば、しょっつる(塩魚汁)鍋。「しょっつる」といえば八森。八森といえば秋田音頭。「秋田名物、八森、ハタハタ~、男鹿でオガブリコ~」。

ハタハタ子持ち寿司。ハタハタを地産の野菜や米麹などと一緒に、じっくり熟成させたものです。食べ方はハタハタ寿司を一口大に切って、わさび醤油をつけて食べるほか、サッと焼いてもおいしいそうです。

ハタハタの豆知識

秋田のハタハタと鳥取のハタハタを食べ比べてみよう

ハタハタは冬に産卵のために岸によって来たところを獲られたものと、餌を求めて海底を回遊しているところを獲られたものがあります。北海道産はかなり大きいですが脂の乗りは少ないものが多いです。秋田県沿岸では11~12月頃、産卵時期に漁獲されるので、雌の腹には卵が詰まっており、これが「ブリコ」と呼ばれ産地では人気があります。身を食べると言うより「ブリコ」と呼ばれる卵を楽しみます。身の脂は、秋から冬にかけてより少なく、あっさりしています。オスは大きな白子を抱えています。鳥取産は産卵前の脂が乗った3月から5月が旬とされ、身が白っぽく見えますが、これは鮮度が悪いのではなく、脂がのっている証拠で、地元では「シロハタ」と呼んで、珍重されています。

関連する記事