目次
マスカットを選ぶ
「ムスクのような良い香り」→「マスカット」
エメラルドグリーンのマスカットは、北アフリカを原産地とする大粒のぶどうです。マスカットという名前は「ムスク」が由来で「MUSK(ムスク)の香りがする」という意味です。ムスクのような良い香りがすることからマスカットと名付けられました。「マスクスクメロン」の名前の由来と同じですね。
主なマスカットには、手ごろな値段で食べられる「シャインマスカット」や、ぶどうの女王と言われる「マスカット・オブ・アレキサンドリア」などがあります。「マスカット・オブ・アレキサンドリア」はエジプトのアレキサンドリア港から輸出され、世界各国に広まったことからそう名付けられました。
マスカットには赤や黒の種類がある
軸が茶色く枯れておらず青々としているもの、粒が大きくて表面に張りがあり、キズが無いものを選びましょう。完熟すると皮がやや黄みがかりますが、シャインマスカットの場合、果皮が黄色っぽくなくても熟していることがあります。
マスカット=白ぶどうのイメージがありますが、「甲斐路」のように赤いマスカットや、「ブラジル」のように黒いマスカットもあります。原産地の地中海沿岸と瀬戸内の気候が似ているようで、良質の美味しいマスカットの産地として、倉敷は有名です。
房の上の方が甘いぶどう
ぶどうは同じ房の中でも、栄養がよく行きわたる順番があります。下の粒よりも、上の粒の方に栄養が行きわたりやすいので、上の粒のほうが甘くなります。ぶどうを買う時、味見をする機会があれば、下の粒を食べて甘ければ、その房は甘いと言えます。ただいくら糖度が高くても酸度も高いと、美味しく感じません。バランスが大事です。またぶどう狩りに行かれる場合、暑い日中に収穫すると、ぶどうの温度も上昇しているので果実や軸も柔らかくなっています。
柔らかくなった時に収穫されたぶどうは鮮度が落ちるのが早いですので、ぶどう狩りに行かれる場合は、夜の温度で適度に冷やされていてシャキッとしている朝の時間帯に行きましょう。
マスカットを保存する
常温保存は2日、冷蔵保存は3~5日が限度
品種によっても違いはありますが、マスカットの旬はハウス栽培のものは7月~8月、露地栽培のものは8月~9月と暑い時期です。マスカットは常温で販売されていますので一時的に常温での保存は可能ですが、温度が高いほど傷みやすいので、常温保存だと日持ちは2日程度が限度です。常温保存する際には、新聞紙やポリ袋などで一房ずつ包んで、直射日光を避けて冷暗所で保存するようにしましょう。
マスカットは湿気に弱いので、湿度が高い時は冷蔵庫での保存をおススメします。その場合、乾燥しないようにラップに包む、またはポリ袋に入れるなどして、冷蔵庫の野菜室で保存します。また一般的にぶどう類は食べる前には水洗いをしますが、食べる前でなく、保存する時に洗ってしまうと鮮度が落ちてしまいます。それはぶどうの皮にはブルームと呼ばれる白い粉がついていて、その白い粉が鮮度を保つ作用を持っているので、その粉を洗ってしまうことになるからです。水洗いは食べる直前にしましょう。
長期保存には冷凍をおススメします。1粒ずつ切り離し、水洗い後、水気をしっかりと拭いて保存袋で冷凍します。お尻の部分に流水をあて、爪で切れ目を入れるとつるんと皮が剥がれます。半解凍のぶどうはシャリシャリでこれはこれで美味しく食べることが出来ます。ただしマスカットはマスカット特有の張りや香りがあるので冷凍はあまりおススメしません。
シャインマスカットは1988年(昭和63年)に日本で誕生し2006年に品種登録された新しい品種のぶどうです。
ルーベルマスカット。ルーベルとはルビー色という意味です。18~21度と糖度は高く、酸味も、種もないぶどうです。
他の果物に比べ皮が薄く、水分量が多いので、非常に傷みやすい特徴があります。取り扱いは丁寧にしましょう。
光が直接当たると、茶色く変色してしまいますので、日焼けしないようにぶどうに袋掛けをします。
マスカットの豆知識
シャインマスカット
「シャインマスカット」はヨーロッパぶどうのジューシーさと、アメリカぶどうの育てやすさの合わさったぶどう品種で約30年という年月をかけて育成し、2006年に品種登録されました。シャインマスカットは皮が非常に薄く、ぶどう独特のえぐみが少ないので、「皮ごと食べることができる」品種です。皮にはポリフェノールがあるので、皮ごと食べるのがおススメです。
最近では、皮ごと食べられるタネなしぶどうもあり人気です。元々、天然のタネなし品種もありますが、シャインマスカットは「ジベレリン処理」という方法で、人工的にタネなしぶどうを作っています。ジベレリンとは植物ホルモンの一つで、受粉しなくても実が作れたり、実を大きくしたり、枝から房が落ちにくくしたりする働きがあります。ジベレリン処理をしなくても、ブドウの中には天然でタネができない品種もあり「○○シードレス(Seedless=タネなし)」という名前が付いています。チリ産やカルフォルニア産などによく見られますが、「安芸シードレス」「ハニーシードレス」など日本産もあります。
「シャインマスカット」や「ロザリオビアンコ」などのマスカット系のぶどうはシャキッとした食感が、美味しさを感じますが、緑色のものより、黄色くなったシャインマスカットの方が甘いことをご存じですか?黄色く完熟したシャインマスカットは、一般的には古くなっていると思われるようで、消費者から敬遠されぎみなので、お店にはめったに並びません。
そもそも完熟したものはスーパーやデパートなどの流通にはのりにくいので、道の駅などの直売所で売っていることがあります。
マスカットは2~3時間ほど冷蔵庫で冷やし、食べる20~30分ほど前に冷蔵庫から出し常温に戻しておくと、シャインマスカット独特の甘みをより感じやすくなりますよ。
選ぶポイント
皮にハリがある
皮にハリのあるものは、たくさんの果汁があります。逆に少し柔らかくなっているものは、鮮度が落ちている可能性が高いです。
皮にブルームがある
ブルームとは、「果粉」といわれ果物や野菜の果実の皮につている白っぽい粉のようなものです。新鮮な果実によく見られ、実に含まれる水分が無くならないように保護しています。果実から自然に分泌されている天然物質で食べても問題ありません。
軸がしっかりしていて、緑色のもの
軸は栄養の通り道です。軸がしっかりしているものは栄養もたくさん運ばれているものです。
また軸が緑色をしているものほど鮮度が良いです。収穫後、時間の経ったものは、軸が枯れて茶色になっていますので、緑色の軸のものを選びましょう。シャインマスカットに関しては、軸の一部が茶色くなることがあるので、枯れてこげ茶色になっていなければ問題ありません。
ぶどう狩りへは午前中に
暑い日中に収穫すると、ぶどうの温度も上昇し、果実や軸も柔らかくなっています。柔らかい状態で収穫すると、そのまま柔らかいぶどうになってしまい、鮮度劣化も早いです。朝の涼しい時間帯にぶどう狩りへ行きましょう。
いろいろな品種
マスカット オブ アレキサンドリア
ぶどうの女王の名にふさわしい、気品のある豊かな味と香りがあります。高級ぶどうで多くの品種の親となっています。個人的な感想ですが、岡山のものは特に皮が薄く、気にならないです。
瀬戸ジャイアンツ
「大粒」「種なし」「高糖度」「皮ごと食べることが出来る」赤いシミが浮き出たら食べ頃です。傷んでいるのではないです。「桃のような割れた形」をしているので「桃太郎ぶどう」という商標名もあります。
甲斐路
まったりとしたコクのある甘さで、香りはマスカットに似ています。皮ごと食べられるぶどうです。
ピオーネ
食味が良く、大粒の食べごたえがあるぶどうです。「黒い真珠」ともいわれ、シャインマスカットようなの香りがあります。従来ピオーネは「巨峰」と「カノンホールマスカット」の交配とされていますが、ピオーネの親である説は1994年に九州大学農学の研究によって否定されています。
マニキュアフィンガー
皮は柔らかく、そのまま食べることが出来ます。シャクシャクとした食感です。粒の形が長く、先端部分が、マニキュアを塗った女性の指のように見える事から名付けられました。
レディースフィンガー
「ピッテロビアンコ」というぶどうで、「淑女(貴婦人)の指」ともいわれています。果肉はシャキッとしていて、酸味は少なく、さわやかな甘みがあるぶどうです。
その他
【マスカットジパング】(岡山県)
このぶどうは林ぶどう研究所が10年の歳月をかけて開発し、2014年に品種登録された、種無しで皮ごと食べれる新しい品種です。 肉厚な果肉とマスカットのさわやかな香り、それとちょうどいい甘さです。一粒一粒が大きいので食べごたえがあります。
【ルビー・オクヤマ】
これは赤いですが、マスカットです。 高級白ブドウの「マスカット・オブ・イタリア」の突然変異です。 ブラジル日系人の奥山孝太郎さんのぶどう園で発見され、奥山さんの名前と、ルビー色の果皮から「ルビー・オクヤマ」と命名されました。
【マスカットビオレ】
皮が薄く、種がなく、皮ごとそのまま食べることができるブドウです。 口の中に入れた瞬間、皮が破け、「パリっ」と音がします! マスカットの香りがしてとってもジューシーなブドウです。 冬でも食べることが出来るブドウですが、まだ生産者さんの数が少ないブドウです。
【ハニーシードレス】
名前からもあるように、蜂蜜のような甘さのぶどうです。 そしてシードレス、シードが無いので種なしぶどうです。 色が緑なのでマスカットみたいな味なのかなぁと思ったら、なんとデラウェアのような味でした。 実は硬いので皮が簡単にはがれます。 これはお気に入りに追加です。
【彩雲】
「瀬戸ジャイアンツ」の赤実種です。皮ごと食べることが出来ます。瀬戸ジャイアンツに味も香りも似ていますが、瀬戸ジャイアンツに比べると肉質は少しやわらかいです。
【グローコールマン】岡山
冬にぶどう?って思いますが、このグローコールマンはロシア生まれの晩生ぶどうです。 といっても、ちゃんと温室で栽培されています。 糖度も酸度も少なくさっぱりですが、多汁なぶどうです。 冬の時期に食べることが出来るぶどうは同じく岡山の紫苑(しえん)も有名ですね。
【ジュエルマスカット】 山梨
「ジュエルマスカット」はジュエル(宝石)マスカットという意味で、ブドウ山梨 47号とシャインマスカット の交配で山梨県で開発育成された品種 です。
バリッとした歯触りで、糖度は19度もありました。皮に若干渋みがありますが、強い甘みがあるので気になりません。
【バイオレットキング】 山梨
ウインク×シャインマスカットの掛け合わせで生まれた品種で、粒が大きく種なしで皮ごと食べられます。
房の上の部分の糖度は23度で、強烈な甘さと、酸味、そしてシャキシャキとした皮の食感。皮付近に甘さを感じるところもあり、濃厚という言葉がピッタリのぶどうです。
【ベビーフィンガー】 山梨産
果実の先が尖った珍しい形のぶどう。皮ごと食べられ、果肉はやや軟らかく緻密で、甘みが強く、酸味も少ないです。
名前の通り、手の中に収まる可愛らしいぶどうです。
【雄宝(ゆうほう)】 長野産
沢山の品種を生み出している山梨県の志村葡萄研究所において「シャインマスカット」と「天山」を交配し育成された品種です。
極大粒品種で、種なし、皮ごと食べられます。中に空洞ができる特徴があります。皮が薄く、スッキリとした甘さで水分が多いです。
【富士の輝】(ブラックシャインマスカット) 山梨県産
黒いシャインマスカットとも呼ばれ、志村葡萄研究所でシャインマスカットと紫色の葡萄ウィンクの掛け合わせで作られた新品種です。皮ごと食べられる種なし葡萄で、とにか甘みが強く、皮のパリッとした食感もありました。中はサクサクではちみつのような風味も感じました。
【ヴェラムレッド】 長野産
塩原農園さんのオリジナル品種。甘さは強くて皮が極薄。 サクサクしゃきしゃきのブドウです。
【オリエンタルスター】 山梨産
【スカーレット】 山梨産
【ブラジル】 山梨産
【クイーンルージュ】 長野産
シャインマスカットとユニコーンを両親に育成された長野県オリジナル品種。
【ハニービーナス】 山梨産
農研機構開発品種。「紅瑞宝」に「オリンピア」を交配し生まれたブドウです。果肉はしっかりとしていて、皮も分厚めです。甘みが強いですが、酸味もしっかり感じます。種無しですが稀に種があります。
【竜宝】 山梨産
種なしで粒が大きく、とにかくジューシーなブドウです。 デラウェアが大きくなったという感じですが、さっぱりとした甘さがあります。 柔らかめで、房から粒が取れやすいため、あまり流通はしないようですが、見つけたら買いのおススメ品種です。
【我が道】 長野産
志村葡萄研究所さんの開発品種
【天山】 長野産
志村葡萄研究所さんの開発品種
【天晴】 長野産
志村葡萄研究所さんの開発品種
【クイーンセブン】 長野産
志村葡萄研究所さんの開発品種
【紅伊豆】 群馬産
紅伊豆は「紅富士」の枝変わりとして発見された赤系ぶどう。ジューシーで果汁たっぷり、甘さが強く、酸味も強めのぶどうらしさ全開の味ジューシー過ぎて柔らかく、流通にはあまり向かないようで、出会うのはなかなか難しい品種のようです。
【シャインレッド】 山梨産
驚きのパリッパリ。聞いたことがなかったので、買ってみましたが、全く来歴のわからない謎のブドウです。驚くべき皮の張りに強い甘さとさっぱりとした酸味。一度食べると病みつきになるぶどうです。
【コトピー】 山梨
甲斐乙女とシャインマスカットを掛け合わせた、皮ごと食べられる種なしぶどう。
シャキッとして、酸味は強めで、爽やかな甘みのあるぶどうでした。
【サニードルチェ】 山梨
「バラディ」と「ルビーオクヤマ」の交配品種です。果皮の色が鮮やかな赤色で、皮ごと食べられシャキシャキとした食感のぶどうです。青リンゴのような風味のぶどうとあったのですが、香りがするかどうかは微妙ですが、爽やかな酸味があり青りんごと言うのも納得でした。
【ベニバラオー (紅バラ王) 】 長野
りんごの風味がするぶどうと書いてありましたが、言われてみればなんとなくシャリシャリっとした食感がりんごの様な…。
甘みが強く、渋みや酸味もなく美味しいのですが、食感はおもしろいぶどうです。
【ティアーズレッド】 長野県産
長野県生坂村のブドウ農家、関口さんが育成した「ティアーズレッド」。 なんと糖度は20度以上、1粒が50gはある超大粒品種。 皮はパリッとして全く気になりません! 弾力があり、ジューシーでキリッとした酸味につよ〜い甘さを感じる衝撃のブドウです。
【ゴールドナイト】 長野県産
黄金に輝く西洋の騎士を彷彿させる独特の形から命名された、長野県の飯塚果樹園オリジナル品種。皮に若干の渋みがあるものの、経験したことのない強烈な甘さ!! 糖度を測ってみると25度ありました!果肉は柔らかめで甘さが強いのですが、しつこさはありませんでした。
【マスカサーティン】 長野県産
「シャインマスカット」と「ロザリオロッソ」を交配した品種で、山梨県の植原葡萄研究所で開発されました。さっぱりとしたぶどうですが、皮の近くには、甘さもしっかりとあります。また、爽やかなマスカットの香りが口いっぱいに広がり、手が止まりません。
ブドウ(葡萄)