目次
ワサビを選ぶ
ワサビは大きく分けると2種類、真妻系か実生系か
ワサビにも品種があります。大きく分けて赤茎系の和歌山県原産の真妻(マヅマ)という品種と、青茎系の正緑(マサミドリ)、丸一(マルイチ)などの種類です。真妻は生育が遅く、植え付けてから1年半~2年と収穫まで日数がかかります。青茎系は「実生(みしょう)系」ともいい、生育が早く植え付けてから1年~1年3ヵ月ほどで収穫できる品種です。茎の部分が紫色をしているほうが真妻で、緑色だけのものが実生です。また品種ではないですが、栽培方法により「沢ワサビ」と「畑ワサビ」に分けられます。沢ワサビは清流の流れるワサビ田で栽培されるワサビのことを指し、畑ワサビは野菜のように畑(涼しい山林中)で栽培されるものを指します。
大きい=良いワサビ ではありません
ワサビを選ぶ時は、みずみずしく鮮やかな緑色のもの、大きくなくても、手にした時にずっしりとした「重み」があるものを選ぶようにしましょう。重いものは水分もしっかりと含み、肉質も緻密なものが多いです。成長するにつれ葉を落として伸びていきますので、時間をかけてゆっくり成長した良いワサビは、ワサビの表面の凸凹の目が詰まった感じになり、肉質が緻密で美味しいワサビになります。まばらなものは早く育ってしまったワサビです。ワサビは茎に近いほうが辛味や香りが強いので、すりおろす場合は茎のほうから使います。すりおろす時は、いかに細かく細胞を破壊し、香り・辛みを出すかです。香りを最大限に引き出すため、ゆっくりと力を入れずに「の」の字を書くようにすりおろしましょう。
ワサビの旬は?
ワサビは多年草で、1年を通して、いつでも収穫することができます。独特の辛みを楽しむなら、晩秋から冬にかけて葉や茎の成長が止まる時期がおススメです。ワサビは6月~8月の間に市場に多く出回ります。それは、ワサビのイソチオシアネートと呼ばれる辛味成分には、大腸菌や黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌などの食中毒のもととなる菌の増殖を抑える働きがあり、サバなどの魚介類の寄生虫を抑える効果もあるからです。ワサビが現在のように寿司の薬味として使われだしたのは江戸時代後期です。握り寿司が考案され、江戸では広く庶民の間に広まりました。当時は現代のように冷蔵の設備がない時代ですが、ワサビが食中毒予防に効くことを知っていたのでしょう。
ワサビを保存する
乾燥は大敵 温度にも注意
数日で使い切る場合は、キッチンペーパーをしっかりと濡らして軽くしぼり包みます。さらにラップでまくかビニールやポリの袋に入れて冷蔵庫に入れます。長期間保存したい場合は、グラスなどにワサビを立てて入れ、頭が出る位に水を張って冷蔵庫に入れておきます。保存期間は1ヶ月位です。
広大な土地に広がるワサビ田は、圧巻です。伊豆のワサビは畳石式、安曇野のワサビは平地式の栽培方法です。
ワサビはとてもデリケート。涼しい場所とたくさんのきれいな水がないと元気に育つことができません。
「ワサビは笑いながらすれ」というのは、なるべく力を入れずに、きめ細かくすりおろすべき、ということです。
これは「ワサビ菜」で、「葉ワサビ」とは別物です。「ワサビ菜」は、九州の在来種「カラシ菜」の中から選抜育成した品種です。
ワサビの豆知識
ワサビの歴史
ワサビは日本原産野菜の1つで、飛鳥時代の遺跡から栽培されていたとされる木簡が発見され、平安時代には薬草としても使われていた記録があります。ワサビ栽培が始まったのは前述の通り江戸時代で、江戸時代後期には、握り寿司ブームに乗り庶民の間にワサビが広まりました。
ワサビの辛み
ワサビをそのまま食べても、辛くはありません。細かくすりおろすことで、酵素反応が起こり辛く感じられます。おろし金の目が細かいほど、多くの細胞が空気に触れ、香りや辛みが強くなり、殺菌効果を高めます。すってから3分~5分で香りと辛みがマックスになり、それ以降は香りも辛みも落ちていきます。ワサビの辛みは高い抗菌力だけでなく、脳血栓や心筋梗塞を防ぐ働きなども注目されています。
辛みを出す場合
きめ細かくなるように、円を描くようにすりおろします。
また、おろし器の上にほんの少しの砂糖をのせてすりおろすと、ワサビのアク(苦味)が砂糖で消え、わさびの香りと辛味が引き立ちます。これは浸透圧の関係でワサビの水分が減ることで辛さが強調されます
ワサビをすりおろす時、先端からすりおろす?
ワサビは、一般的には茎がついている方からすりおろすのがおススメと云われています。ワサビは、上へ上へと育つので、先端の方は細胞が古く、茎や葉のついている上の方が若く新鮮です。
茎がついている側は柔らかく、香り、粘りも強く緑色もきれい!
「ワサビ」と「本ワサビ」の違いは?
駿府に隠居していた徳川家康公に、安倍郡大河内村有東木(現在の静岡市葵区有東木)の庄屋がワサビを献上したところ、家康公がその風味を大変気に入り、またワサビの葉が徳川家の葵の家紋に似ていることから、有東木のワサビは門外不出の御法度品になり、有東木でワサビ栽培が始まったといわれています。その後、ワサビ栽培は伊豆の天城、信州の安曇野へと、気候、風土の適した土地に伝えられました。
刺身やソバなどご家庭でワサビを食べる時、毎回ワサビをすりおろすよりも、多くの人がスーパーなどで売られているチューブ入りのワサビを使っていることが多いのではないかと思います。そのチューブ入りのワサビには「本ワサビ」と「生ワサビ」という表記の違うものがあることをご存じでしょうか?この「生ワサビ」というのは、「本ワサビ」と「西洋ワサビ」のミックスで作られています。「本ワサビ」は日本原産のワサビですが、「西洋ワサビ」というのは、ヨーロッパ原産のワサビで、ホースラディッシュ、山ワサビとも言われます。「本ワサビ入り」と書かれているものは、本ワサビの使用率が50%未満、「本ワサビ使用」と書かれているものは、本ワサビの使用率が50%以上のことです。
肉料理には、ワサビの辛さを辛くし過ぎないようにするため、細かくすりおろさないようにします。そうすると、ワサビをたくさん食べることが出来、肉の脂がワサビで中和されます。
ワサビは葉や茎、花も食べることができます。葉ワサビや花ワサビは辛みが少ないので、揉みこみ刺激を与えることで、辛さを引き出します。醤油漬けがおススメです。
産地視察
2018年6月25日
日本のワサビ栽培の発祥とされています静岡市葵区有東木(うとうぎ)に行きました。
江戸時代初期にこのワサビ山付近に自生していたワサビを移植し栽培がはじまったとされています。わさび田は、畳石式と呼ばれる棚田状のわさび田で、湧水の養分のみで栽培されています。
すりおろしてから時間が経ってしまった場合、包丁の背でたたくと辛さが戻るよ!