カリン(花梨)

2020.09.25

時期:10 月~12 月
主な産地:長野県、香川県、愛媛県、山形県

カリン(花梨)を選ぶ

生では食べられません

カリンは果物ですが、非常に硬い上、渋くて生では食べることができません。香りを楽しむ、また、“咳止めに効く”薬用成分をのど飴に利用するような使い方になります。食材としては、カリン酒、砂糖漬け、ジャムなどに使います。

熟したカリンからはかぐわしい匂いが漂ってきます

カリンは、全体が明るい黄色に色付いている物を選びましょう。色付いていないものは追熟させます。表面に艶があり、傷が無くずっしりと重みを感じるものを選びましょう。カリンの香りが強いものを選ぶようにしましょう。

産毛があればマルメロ、無ければカリン

カリンによく似た果実に「マルメロ」があります。マルメロは、ギリシャ・ローマ時代から栽培されていたようです。見た目も同じ、香りも同じ、使われ方も同じ、薬効まで同じですが、表面   を触り、ツルツルしているのがカリン、産毛があるのがマルメロです。

「マーマレード」の語源はマルメロ

「マーマレード」というと、オレンジなどの柑橘類を使用したジャムのイメージが強いですが、もともとはマルメロの皮から作ったことからその名前がついたそうです。ポルトガルで最初に作られたときの原料がマルメロで、マルメラーダ、マーマレードとなったと云われています。

カリン(花梨)を保存する

果皮が黄色く、芳香が漂うと完熟です

新聞紙などに包んで冷暗所で保存します。果皮に緑色が残っている場合は、涼しい場所で全体がムラなく綺麗な黄色に染まり、香りがしっかりとたってくるまで追熟させましょう。芳香が漂い、果皮全体が黄色く染まり、表面が少しベタベタしてきたら完熟しています。完熟したものはなるべく早く使い切りましょう。

果肉は渋く石細胞が多いうえ、堅いため、砂糖漬け、コンポート等に加工されます。

喉に良いと言われています、これはアミグダリンと言う成分によるものです。

「クワズナシ(喰わず梨)」とも呼ばれ、寺社の境内に植えられている場合は、「安蘭樹(アンランジュ)」とも呼ばれます。

カリンの樹は、比較的固い事から、家具などの材木として利用されます。

カリン(花梨)の豆知識

カリンを日本に伝えたのは弘法大師

カリンは中国原産。中国では約 2000 年も前から薬用として用いられ、約 1100 年前に弘法大師が唐から初めて苗を持ち帰ったのが日本に伝わった最初と言われています。全国各地で庭木として植えられており、「貸し(樫)はしても、借りん(かりん)」で、借金をしないですむという意味で、樫の木は家の表の敷地に、カリンは裏庭に植える習慣のある地方もあります。カリンの果実は「和木瓜(わもっか)」あるいは「木瓜(もっか)」という生薬名があるように、風邪や喘息などによる咳や痰などの喉の炎症を鎮めてくれる作用があるとされ、民間療法での咳止め薬としても利用されてきました。はちみつ漬けにする場合など、カリンの栄養成分は種にたくさん含まれているので、茶葉用ネットなどに入れて種も加えると良いですよ。

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