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なばなを選ぶ
なばなはアブラナ科の花芽の総称で、「なばな」という植物は存在しません。
なばな(菜花)は「菜の花」や「花菜(はなな)」とも呼ばれ花、つぼみ、若い葉茎を食べるアブラナ属の総称です。小松菜やチンゲンサイ、ブロッコリーなどもそれぞれの品種の特性によっていろいろな風味を楽しむことが出来ますが、一般的に流通しているなばなの多くは、品種改良されたものです。
在来種か西洋種によって食べる部位が少し異なります
なばなには在来種と西洋種の 2 タイプに分けられ、在来種は花とつぼみと葉を利用し、西洋種はおもに花と葉を食べます。在来種では京都に「伏見寒咲き花菜」、「伏見ちりめん花菜」などの品種があり、福島や山形では「茎立ち菜」があります。「菜々みどり」、「はるの輝」、「三陸つぼみ菜」などは西洋種の代表的なばなです
つぼみが開いておらず小さく締まっているものを選びましょう
一般的に花が開いたものは苦味が強くなり食感も悪くなるので、つぼみはかたく、開く前のものを選ぶようにしましょう。葉と茎がやわらかくて張りがあり、切り口がみずみずしいかどうかもチェックします。鮮度が落ちて乾燥すると切り口が白っぽくなり空洞ができますのでそういうものは避けるようにしましょう。
なばなを保存する
キッチンペーパーに包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存
出来るだけ早く食べるのが鉄則
① なばなは袋から出し、束ねているテープやゴムなどははずします。
② 葉や茎を広げ空気に当てるようにし、30分程度おきます。
③ その後冷水に15分程度浸します。
④ 冷水に浸すことで葉脈に水が入り、葉にハリが出ます。
⑤ すぐに使わなければ、湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てた状態で保存します。2~3日は持ちますが、野菜は収穫したあとも呼吸をするので、時間の経過とともに味は落ちます。できるだけ早めに食べるようにしましょう。
おひたしには鉄分を含むかつお節を加えることを忘れずに。
江戸東京野菜のひとつ「ノラボウナ」は西洋アブラナの一種で、春先にとう立ち(花芽のついている茎が伸びた状態)した主茎を折り、脇芽を摘み取り収穫します。やわらかい花茎はえぐみも無く食べやすいなばなです。
オータムポエム。アスパラガスの風味があることから、アスパラ菜とも呼ばれます。定番のお浸しの他、さっと炒めたり、マリネにしたり、パスタに入れても美味しいです。春の野菜なのに「オータムポエム」という名前は、“秋に種を撒くとかわいい花まで食べることが出来るという”ことから名付けられたようです。
かき菜。
北関東の在来種で、旬は 3 月。栃木県佐野市では特産品として栽培されています。かき菜はなばなの変種で、つぼみは無く、わき芽を掻きとって食べるので「かき菜」と呼ばれます。
なばなの豆知識
スルフォラファンで美肌効果に期待できます
なばなやキャベツを茹でると表面に白い膜が張ることがありますが、農薬ではありません。植物が虫や病気から自分を守るために作る成分です。また下処理として、なばなは手でやさしく折るとアクを抑えることができます。葉・茎・つぼみに分けてから水にさらします。長く水に浸すとスジがかたくなるので、緑がイキイキとしてきたら水から上げるようにしま しょう。
おひたしにはカツオ節を
独特のほろ苦さをいかして、おひたしなどで食べますが、おひたしの時にはカツオ節を加えましょう。
なばなはビタミンCの含有量は野菜の中でトップクラスです。ビタミン C は鉄の吸収をよくしてくれるので、鉄分を含んでいるカツオ節との相性が良いのです。
カロテン、ビタミン B1、ビタミン B2、カルシウム、鉄分、食物繊維、カリウムなどを含むなばなですが、ファイトケミカルの一種であるスルフォラファンを含み、解毒作用や抗酸化作用の効果に期待ができます。また、葉酸は肌のターンオーバーを整え、貧血を防ぎ血行をよくしますので、冬の間に溜まっていた老廃物を排出してくれ肌バランスを整えます。
菜の花(アブラナ科アブラナ属すべての花の総称)の 花びらの枚数は4枚
菜の花(アブラナ科アブラナ属すべての花の総称)は十字状に黄色い4枚の花びらが咲くので、十字花植物とも呼ばれています。十字花植物はブロッコリー、白菜、キャベツなど日頃よく目にする野菜が多いです。
十字花植物は独特の苦味や辛味があり(からし油成分)、昆虫たちにとっては毒になるので、昆虫に食べられにくいのも特徴の1つです。
昆虫たちにとっては毒になる、その独特の苦味や辛味(からし油成分)を克服した昆虫もいます。アオムシ(モンシロチョウ)です。
アオムシは、昆虫にとっては毒となるからし油成分を解毒できるようになりました。多くの昆虫が食べ物にできない植物を食べられるようになったため、ほかの昆虫に食べられることなく葉を独占できるようになりました。葉脈だけを残して食べ尽くすので、家庭菜園の際は、防虫ネットの利用が効果的です。
なたね油
なたね油はセイヨウアブラナから抽出される油です。日本で搾油が始まった年代は明確ではありませんが、少なくとも江戸時代には行灯の燃料用として使われていました。
ちなみに「菜の花」は英語ではcanola flower(キャノーラ フラワー)です。
なたね油は英語でcanola oil(キャノーラ オイル)ですので「キャノーラ油」を思い浮かべがちですが、厳密には“なたね油”と“キャノーラ油”の名称は使い分けられています。
なたね油がセイヨウアブラナから抽出されるのに対し、キャノーラ油は成分を変えるためにセイヨウアブラナを品種改良したキャノーラ種から抽出されます。
あすっこ
春の野菜によくある苦味やクセがなく、食感は菜ばなとスティックセニョールを足した感じでとっても美味しいです。ビタミンC(アスコルビン酸)が多いので「あす」、そして「明日をめざす野菜」ということで【あすっこ】と名前をつけたようです。島根県のオリジナル野菜で「ビタミン菜」と「ブロッコリー」を交配した野菜です。
ウィッキー
ケニア生まれの野菜で、ケニアでは「スクマウィキ」と呼ばれ、一番有名な野菜とのことです。実は、青汁でご存じの「ケール」の花芽ですので食物繊維、カルシウム、ミネラルともに豊富な野菜です。苦味はあまりなく、茎はほのかに甘みがある味でした。
ルッコラ
ピザやサラダのトッピングで食べることの多いルッコラですが、花も食べることが出来ます。葉と同じようにゴマ風味の辛味がしますが、ちょっと苦みもあります。苦味は加熱すると食べやすくなりますので、茹でてお浸しや肉巻きがおすすめです。
芥藍菜(かいらんさい・かいらんな)
日本では中華料理の野菜として使われることが多いですが、東南アジアでは一般的な野菜の 1 つです。キャベツとブロッコリーの中間のような食感で、葉の部分に若干の苦味がありますが、太い茎はサクッとしていて食べやすいです
宮内菜
群馬県の宮内さんが開発された「かき菜」の 1 つです。ビタミン C やカルシウムなどが多く含まれている栄養価の高い野菜です。葉は柔らかく、クセもなく甘味があります。加熱する際に火を通し過ぎないようにすると食感をより楽しめる野菜です。お浸し、ごま和え、炒め物何でも合います。
茎立菜
かき菜の一種で、春に茎が立った(伸びた)菜っ葉です。冬を越して収穫する菜っ葉は、ちぢみホウレンソウのように寒さに負けないよう糖分を蓄えているので甘いです。おひたしと、厚揚げと一緒に炒め物にしました。
ちりめん五月菜
茎立ち菜の一種で、葉がちりめん状の野菜です。太くて柔らかい茎や葉を食べますが、ほんのりキャベツのような味がします。苦さは抑え気味で、おひたしでも、ベーコン炒めでも何にでも合います。
川ながれ菜 新潟・聖籠産
新潟伝統野菜でとう菜のひとつです。明治初期に導入された外来種のセイヨウアブラナ系の改良野菜と言われています。お浸しや炒め物に合います。
折菜
菜の花が咲く前に、茎をポキンと折って収穫するので、「折り菜」と呼ばれています。クセはなく、食べやすいです。胡麻和えで食べました。
早池峰菜(はやちねな)
岩手県遠野の、早池峰山麓の農家さんに伝わる在来種です。絶滅寸前だったのですが、偶然発見された野菜です。濃い緑色の大きく平たい葉が特徴でシャキシャキとした歯ざわりです。早池峰菜は、茎立菜の一種なので、カブのようにふくらみがあるのが特徴です。
紅菜苔(こうさいたい)
紅菜花(べになばな)とも言われ、赤い茎はアントシアニンの色です。 ゆでると赤い色がお湯に溶け、緑になるので、サッと茹でます。 菜の花特有の苦味やエグみはほとんどなく、逆に少しの甘みがあります。 茎の部分はシャキシャキとして、アスパラガスのイメージです。
野沢菜の新芽 長野産
野沢菜収穫せず、越冬させ芽が出たものを「野沢菜の新芽」として食べます。イメージ的には野沢菜の菜の花です。苦みと辛みがあります。
しゃくし菜 秩父・埼玉産
葉はとても柔らかく生でサラダや浅漬けにすると美味しいナバナです。もちろん、炒め物に煮物などにも合います。香りが強くて美味しいです。
白菜なばな
僕は毎年、白菜を収穫せずにこの菜花を食べるために、トウ立ちさせています。白菜の菜花は甘く、クセもなく柔らかいです。秋田では白菜をトウ立ちさせたものを「ふくたち」と呼び食べています。大きな白菜 1 個分のすべての栄養をこの菜花に集中させているので見つけたら、是非ともお試しください。
会津茎たちな
やわらか菜花