フキ(蕗)

2021.01.05

時期:3 月~5 月
産地:愛媛県、群馬県、大阪府

フキ(蕗)を選ぶ

「筋の通ったフキ~♪」

葉の緑色が鮮やかで、茎の太さが均一なものを選びましょう。新鮮なフキは、茎を持ったときにしならずにピンとしています。ピンとしていても太すぎると、中に空洞があって筋が硬い可能性があります。茎の太さは、親指位までであれば柔らかいです。フキノトウは葉が開いておらず、しっかりとしたつぼみの状態のもので、皮にハリとツヤがあるものを選びましょう。小ぶりの物の方が苦味がマイルドです。

冬に黄色い花→冬黄→フキ

地上には花芽と葉が出ていますが、茎の部分は地中に伸びています。フキとは、その地下茎からでてきた葉の柄の部分にあたります。フキノトウはその名の通り、地下茎から生えてくる花のつぼみです。フキという名前は、つぼみが冬に黄色い花を咲かせることから「冬黄」となり、それが縮まりフキとなったといわれています。フキの香りとほろ苦さには、民間療法で痰を切り咳を鎮める効果があると言われています。

フキは愛知の伝統野菜

市場で出回るものはハウス栽培のフキが多く、10 月から翌 5 月頃まで出荷しています。栽培種は、自生のものに比べて香りは弱いのですが、アクが少なく苦みも弱いので食べやすいです。自生している野生種は全国の山野や河川の土手などで見られます。現在各地で栽培されている物の多くは愛知早生という品種で、尾張フキとも呼ばれ愛知県が全国シェア一位、全体の約 40% を占めています。尾張フキの他、水フキ(京都)や、秋田フキが有名です。

フキ(蕗)を保存する

ひと手間、板ずりをするとキレイに茹であがりますよ

フキは鮮度が大切です。収穫後時間と共にアクが強くなってきます。なるべく早く下処理をしましょう。まず茎から葉を切り離し、茎は鍋に入れやすい長さに切ります。まな板の上に切ったフキを並べ、塩をかけて手で押しながら転がし、板ずりします。茎を熱湯で茹でて冷水でさらしてから、皮をむきます。その後再び冷水に浸けて、2 時間程度浸け置いたらアク抜きができます。茹でてアク抜きした物は、水に浸してタッパーなどに入れて冷蔵庫に入れておきます。水を時々交換すれば1週間ほどは美味しく食べることができます。

出汁につけたまま冷蔵庫で保存すれば 2~3 日持ちます。日が経つほど味が染み入り美味。

伽羅蕗(キャラブキ)はご飯の友に最高。昔は修行僧の保存食だったようです。

フキノトウの苦みは、冬の間に体にたまった老廃物を排出する作用があるといわれています。

フキは自生していた数少ない日本原産の野菜で、95%が水分の野菜です。

フキ(蕗)の豆知識

春は溜め込んだ毒素を自然に排出する季節。「春には苦味を盛れ」

フキは日本原産の野菜でゴボウとともに古来から栽培されていた野菜のひとつです。平安時代にはすでに栽培が始められたようで、豊臣秀吉が栽培を推進させ、盛んになったといわれています。フキの主成分は水分ですが、代謝機能を助けるカルシウム、カリウムなどのミネラル類を多く含みます。特有の苦みにはポリフェノールの一種、クロロゲンが含まれ、体内の抗酸化性を高める働きがあります。近年フキには花粉症を緩和する働きがあることも分かり、研究が進められています。フキノトウも栄養価が高く、冬眠から目覚めたばかりのお腹を空かせたクマが最初に食べるごちそうがフキノトウで、冬眠中に溜まった毒素を出しているともいわれています。

関連する記事