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ミョウガの代表的なご当地料理、宮崎県編:冷や汁
冷や汁ってどんな料理?
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「冷や汁」って宮崎だけのものじゃない?!
冷や汁(ひやしる、ひやじる)は宮崎を代表する郷土料理で、焼いたアジ、イワシなどの近海魚をほぐし、焼き味噌をのばした汁に、豆腐、きゅうり、青じそ、ミョウガなどの薬味を入れて食べる冷たい汁物料理です。県外の人は「ひやじる」と呼びますが、宮崎では正式には「ひやしる」と呼ぶそうです。
群馬や山形にも「冷や汁」が存在
群馬県や山形県にも同じ名前で「冷や汁」が存在し、岡山県や広島県、愛媛県、香川県などにも「さつま」という名前で宮崎の冷や汁のように、白身の魚を素焼きにして身をほぐし、焼き味噌と合わせ、冷たくした出し汁でのばしてご飯にかける料理があります。
埼玉は「ひやしる」
埼玉県の郷土料理にも冷や汁がありますが、「ひやしる」と呼びます。こちらは魚が入らないのが特徴で、ごはんにかけるのではなくうどんやそうめんのつけ汁として食べるのが定番です。サラダうどんのようなイメージですね。ちなみに地域によっては「すったて」「つったて」という呼び方もあり、「すりたて」が訛ってそう呼ばれているようです。
冷汁に必要な材料は?(4 人分)
キュウリ 3 本
塩小さじ 1
アジの干物 中 2 枚
木綿豆腐 1 丁(300g) 大 葉 1 束 (10 枚 ) ショウガ 1 片
すりゴマ 大さじ 4
味噌 大さじ 2~3
だし汁 4 カップ
ゴマ 適量
冷汁の作り方
① アジの干物を焼き、身をほぐします。スグにほぐすと身が取れ易いです。
② あじの頭と骨と出し昆布を入れてダシを作ります。
③ きゅうり、ミョウガは薄い輪切りに、大葉とショウガは千切りに刻んでおきます。
④ ゴマはよく煎っておき、豆腐は軽く水切りしておきます。
⑤ すり鉢で煎ったごまをすり、味噌を混ぜ合わせてさらによくすります。
⑥ その後すり鉢に広げて、すり鉢を逆さにして味噌とゴマを直接火にあてます。
焦げ目がついたら、火からおろしてほぐしたアジの身を加えて混ぜ、先程作ったダシ汁を少量ずつ加えてのばしていきます。
⑦ ダシ汁でのばしながら、適当な大きさに手でちぎった豆腐を入れます。きゅうり、大葉、ショウガ、みょうがを冷や汁に入れます。
⑧ 麦飯を器に盛り、冷や汁をかけてできあがりです。
冷汁、発祥の由来とは?
JR九州の豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」の車内食にも採用
鎌倉時代の「鎌倉管領家記録」には「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷汁をかけ参らせ候」と書かれているようです。冷や汁は鎌倉時代以降、僧侶によって全国に広まりましたが、やがて廃れていき、食文化、風土、気候などにマッチした宮崎が食文化として残ったようです。
夏の暑い時期でも農作業の合間に手軽においしく食べることが出来る料理として、農民の間で「冷や汁」が好まれました。また漁師の家では忙しい漁の仕事の合間に獲れた魚の身を潰して「冷や汁」にして食べたのではないかいわれています。元々は簡単に調理でき早く食する目的の料理でしたが、第二次世界大戦以降に各家庭で工夫し手間のかかる料理へと変化していきました。
冷汁はご当地ではどんな時に食べられる?
梅雨時から夏にかけての食欲が減退する時期、宮崎では夏バテ対策として食べられています。
「冷や汁」の最大の魅力は、簡単に調理でき、しっかりと栄養も摂れる点です。暑くて食欲が落ちがちな時期でも、サラリと食べることができるのです。
現在では飲食店や家庭によって様々にアレンジされており、同じ宮崎県内でも場所によって様々な味があります。椎葉村では「山椒」と「ひえ」が使われており、西米良村では「夏野菜」をたっぷり使い、北郷村では「カツオ節」を、日向市細島港では「生魚の切り身」を入れ、そこに氷を浮かべて食べます。宮崎県限定ですが、大手コンビニに「冷や汁」が売っています。宮崎県民にとって冷や汁は身近な食べ物なのです。
冷汁の栄養価・効能は?
「冷や汁」は、アジの干物でタンパク質、ビタミンD、EPAなどを補い、味噌や豆腐などの大豆、ゴマは、代謝に必要なビタミン B 群や、ミネラルなども含んでいます。血行促進が期待できるミョウガや大葉、塩分を排泄するのに役立つカリウムが豊富に含まれているキュウリやナスで味噌や干物の塩分はクリアになります。また、エネルギー源となる糖質のごはんにかけて食べますので、暑い夏を乗り切る体力がつきます。体から失われる水分と塩分の摂取も出来、それと同時に適度な糖分をとることで体への水分吸収などがよくなります。
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みなとの注目ポイント!!
■徳川家康の好んだ冷や汁は、麦飯と八丁味噌で作る冷や汁
冷や汁といえば宮崎ですが、江戸時代、一般的な庶民も冷や汁を食べていました。せっかちな江戸っ子は「ぶっかけ飯」が大好きで、深川めしもその影響だといわれています。
江戸幕府を開いた徳川家康も冷や汁が好きで、麦飯と八丁味噌、アジの干物を使った冷や汁を食べていたそうです。わざわざ岡崎城から西へ八丁(約 870 メートル)にある八丁村で作られる豆味噌の「八丁味噌」を江戸に取り寄せて食べていたそうです。江戸時代の文献によると、江戸時代の冷や汁には一般的にモズクを好んで使われていたそうです。
また家康はゴマを日常的に食していましたので、冷や汁にもゴマはたっぷりと使用されています。ゴマは古くから、神秘的な力を持つ食材とされてきました。目先をつくろうことを「ごまかす」といいますが、この言葉は、どんな料理でもゴマを加えればおいしくなることから生まれました