石川県の地野菜・伝統野菜

2023.02.08

源助だいこん

源助だいこんは、愛知県の井上源助氏が宮重系統の中から固定したものと、古くから栽培されてきた在来の練馬系打木大根との自然交雑によってできたものを選抜育成して、今日の源助だいこんになりました。肉質は緻密で柔らかく、シャキッとした歯触りで、煮崩れしにくいためおでんに最適な大根といわれています。源助だいこんは僕が一番好きな大根で、庭の菜園でも毎年栽培しています。

加賀太きゅうり

長さ20センチ以上、重さは1kgほど、瓜と見間違えそうなほどの大きくずんぐり太いきゅうりです。福島から導入した短太きゅうりと加賀の節なりきゅうりの自然交雑で生まれたものがルーツといわれています。肉厚の果肉は柔らかくジューシーで、さわやかな香りが特徴です。煮物やサラダ、酢の物、漬物の他、煮たり炒めたり加熱料理に向いています。

五郎島金時

五郎島金時は、金沢市粟崎町(一部五郎島町)や内灘砂丘で主に栽培されているさつまいもです。品種は高系14号の選抜品種になり、ホクホク感の強いさつまいもです。同じ系統の品種の、徳島の鳴門金時は五郎島金時に比べると少しねっとりしているので、このホクホク感は五郎島金時の大きな特徴です。

「めった汁」(めったじる) 具だくさんの豚汁のこと。従来の豚汁と異なるのは、じゃがいもではなくさつまいもを使う点にあります。 画像 : 農水省提供

二塚からしな (ふたつかからしな)

金沢市二塚地区を中心に大正時代から米作りの合間に自家用に栽培されていました。葉は緑と赤紫色が混ざっており、ワサビに似たピリリとした辛みと、ツンと鼻を突く香味が食欲をそそります。おひたしや漬け物として食べられることが多いですが、お湯が熱すぎると辛みが飛び苦みが残ってしまうので、加熱温度には注意が必要です。種はからしの原料として使われます。

加賀れんこん

加賀藩五代藩主の前田綱紀公が参勤交代の時に、美濃から持ち帰り金沢城内に植えたのがはじまりといわれています。加賀れんこんは、でんぷん質が多く粘り気があり、一般的なれんこんよりも小ぶりですが、ずっしりと太く重いのが特徴です。肉厚で穴も小さいものが多いです。粘りが強いので、すりおろしてモチモチ食感と深い風味を楽しむ「はす蒸し」や「すり流し汁」がおいしいです。

はす蒸し  画像提供 : 農水省

金時草 (きんじそう)

鮮やかな赤紫と緑が印象的な「金時草」は、赤紫色が「金時芋」や「金時豆」に似ていることから、「金時草(きんじそう)」と呼ばれるようになりました。熊本県で古くから栽培されており、江戸時代に金沢の農家が熊本から持ち帰り栽培したのが、石川県でのはじまりといわれています。標準和名では「水前寺菜(すいぜんじな)」、愛知では「式部草」、沖縄では「ハンダマ」と呼ばれています。葉は少し厚みがあり、茹でるとモロヘイヤのようなぬめりが出ます。お浸しや酢の物にするのが一般的ですが、天ぷらにしても美味しいです。

加賀つるまめ・千石豆

「つるまめ」や「千石豆」と呼ばれる豆で、正式名は「ふじまめ」です。千石船の形に似ていることから「千石豆」と呼ばれていますが、金沢では「だら豆」とも呼ばれます。1つの苗から「だらほど(ばかほど) 採れる」という意味です。関西ではインゲンマメ(隠元豆)と呼ばれます。サヤの中の豆が大きくなりすぎないうちに収穫して、若いサヤも一緒に食べます。

金沢春菊

「金沢春菊」は別名ツマジロとも呼ばれ、葉がやわらかく、アクが少ないので生食することができます。また、金沢春菊は「大葉種」と呼ばれる種類で、一般的な春菊(中葉種)に比べ、葉が大きく、葉の切れ込みは浅いです。クセがないので、サラダ、お浸しにも向いています。

ヘタ紫なす

「ヘタ紫なす」は、名前の通り、ヘタの下まで紫色に色づく、平均5センチくらいの(卵サイズ)の小さななすです。別名キュッキュッナスともいいます。皮が薄く、肉質は柔らかくて甘いので、漬け物や煮物に向いています。主な産地は崎浦地区や金城地区です。

打木赤皮甘栗かぼちゃ

「打木赤皮甘栗かぼちゃ」の“打木”は金沢市打木町のことで、打木町の篤農家 故・松本佐一郎さんが福島県から持ち込んだ「赤皮栗」を育成・選抜したかぼちゃです。皮が鮮やかな朱色で、果肉は厚く、水分が多くねっとり甘いのが特徴です。天ぷらが一番甘みを感じる食べ方かもしれません。

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