「果物の女王」は「女王の果物」から。その女王とは、結婚式に白いウェディングドレスを着る風習を広めたあの女王。
2024.01.20
TBS「東大王」を観ていたら「絶対に遭遇したくない!キケン生物」というテーマで「コモドドラゴン」が出てきました。コモドドラゴンはオスが介入せずメスのみの「単為生殖」で赤ちゃんが生まれることもあるようです。植物にも「単為生殖」のものはあります。
マンゴスチン
果物の「マンゴスチン」も単為生殖が可能な植物で、雄株(おかぶ)が無く雌株(めかぶ)だけで結実します。マンゴスチンの花には花粉ができないので、受粉が行われることもなく、他の野菜や果物のように交配して品種が増えることもないため、マンゴスチンは基本的に世界で同一品種と言われています。(世界の地域差により偶発的に品種が異なる場合もあるらしいです)
世界三大美果(美味しい果実)の一つで、“果物の女王”とも呼ばれるマンゴスチン(ちなみに“果物の王様”は「ドリアン」です)ですが、かつては植物検疫法の関係で日本へは冷凍のものしか輸入できませんでした。その後、害虫駆除のため蒸気を使った熱処理をすれば冷凍でないものも輸入可能となり、昨年2023年、皮に傷がないものについては、熱処理しなくても輸入できるようになり、フレッシュなマンゴスチンがタイ王国より輸入できるようになりました。5月~7月に多く流通します。
<世界三大美果>
諸説ありますが、一般的には「マンゴー」「チェリモヤ」「マンゴスチン」と言われています。「マンゴスチン」ではなく「パイナップル」という説もあります。チェリモヤは“森のアイスクリーム”といわれ、白いアイスクリーム状の果肉が甘くて柔らかく、冷やして食べるとバニラアイスに似た風味があります。「バンレイシ(釈迦果)」とチェリモヤの交雑種に「アテモヤ」があります。アテモヤも“森のアイスクリーム”ともよばれますが、少し酸味のあるカスタードという感じもあるため別名では“カスタードアップル”ともよばれています。
<果物の女王と呼ばれる理由>
19世紀当時、マレー半島を統治していた大英帝国のヴィクトリア女王が、「我が領土に美味しいマンゴスチンがありながら、食べたい時に味わえないのはとても残念」と嘆いたエピソードから「女王の果実」が転じ「果実の女王」になったと言われています。当時は現在のような冷蔵技術がなかったため、イギリス本土に持って帰ることが出来なかったからです。
<ヴィクトリア女王(1837-1901年在位)>
63年間の在位期間は「ヴィクトリア朝」と呼ばれ、七つの海を支配し、「太陽の沈まぬ国」と讃えられた大英帝国最盛期の君主。結婚式で装った純白のドレスが評判となり、花嫁が白のウェディングドレスを着る習慣となったと言われています。1901年、81歳で崩御されたヴィクトリア女王の葬列を、ロンドンに留学中の夏目漱石が見たという記録があります。