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春が旬なのに「夏みかん」
名前に「夏」という文字があるので夏が旬のイメージがありますが、春が旬のみかんです。英語での表記は「summer oranges(学名:Citrus natsudaidai)」ですが、和名の正式名称は「ナツダイダイ(夏橙、夏代々)」です。これは実った果実を収穫せずにそのままにしておくと、冬を越して翌年に、前年と今年の実が同じ木になることから、「実りが代々続く」という意味で名づけられました。「夏代々」は大阪方面へ出荷する際、大阪の仲買商人から、名前を「夏代々」ではなく「夏みかん」にするよう求められたことから、それ以降「夏みかん」の名で広まりました。
夏みかんを選ぶ
果皮の表面
果皮に傷や変色が少ないものを選びましょう。
ずっしりと重みを感じるもの
同じ大きさ位の夏みかんであれば、よりずっしりと重いものの方が水分がたっぷりあるのでおススメです。(皮に張りがあるものは水分が抜けていないものが多いです)
酸っぱすぎて酢として使われていた
香りはいいが酸が強い
秋に実はなりますが、酸味が強すぎるためそのまま食べることが出来ず、昔は酢の代用品や観賞用として使用されていました。その後、実を収穫せずそのまま翌年まで持ち越し、春先まで木の上で熟成させてから収穫したりたり、冬まで待って収穫し貯蔵することで酸味を抜き食べやすくするなど工夫をしてきました。
春先に収穫でき美味しく食べられるように
現在の夏みかんは品種改良により酸味がおさえられ、春先に収穫して食べることが出来るようになりました。
山口県では夏みかんの花が県の花に指定されています。
夏みかんの枝変わりである「甘夏(正式名称 : 川野ナツダイダイ)」は、夏みかんより酸味が少ないので“甘夏”と呼ばれるようになりました。
甘夏の枝変わりである、濃いオレンジ色の「紅甘夏」。
夏みかんの保存方法
柑橘類は湿気、乾燥、高温に注意します。直射日光の当たらない風通しの良い冷暗所での常温保存がおススメです。(購入する時期が3月と6月では気温や湿度が違うので、店頭購入の際、よくチェックしてから購入しましょう) 気温が高くなってきた場合、ヘタの部分を下にして新聞紙やキッチンペーパーで夏みかんを包み、ポリ袋に入れてから冷蔵庫の野菜室に入れ保存します。乾燥すると夏みかんの苦みが強くなります。
夏みかんの歴史
江戸時代の中頃、青海島(山口県長門市仙崎)にある大日比海岸に漂着した文旦系の果実の種子を地元に住む西本チョウさんが撒いて育てたのが夏みかんの始まりとされています。酸味が強いため栽培がなかなか浸透しませんでしたが、明治時代、幕府滅亡により職を失った萩藩の武士に、新たな収入源として夏みかんの栽培を奨励したことが始まりで、当時植えられた木が今でも多く山口県萩市に残っています。吉田松陰が夏みかんを植えた記録も残っており、萩の夏みかんで最初にマーマレードを作った人物は福沢諭吉という記録もあります。
山口県萩市
山口県萩市、長州藩毛利家が築いた城下町です。萩といえば、吉田松陰、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋など、明治維新の原動力となった志士で有名な街です。
萩市では今も冬から春の間、土塀越しに夏みかんが顔をのぞかせています。
萩市のマンホールの蓋にも夏みかん。
夏みかんスライスが入った萩名物「松陰うどん」
萩市といえば、光國本店の「夏蜜柑丸漬」と「萩乃薫」。特に9月~11月限定の青切が入った「萩乃薫」の大ファンです。
柑橘類