シラウオ(白魚)

2024.02.27

旬:2月~4月
主産地:青森県、茨城県、北海道

シラウオ(白魚)を選ぶ

シラウオ(白魚)とシロウオ(素魚)は似ているが別の魚

シラウオ(白魚)はシラウオ科の小魚で、河口付近や汽水域に生息しています。体長5~10cmで、新鮮であればあるほど透き通っていますが、死後時間の経過と共に白っぽくなります。その白い様子から「白魚(しらうお)」と名前がつきました。似たような小魚のシロウオ(素魚)と混同されやすいですが、シロウオ(素魚)はハゼ科で頭が丸いです。

シラウオは身の透明度が一番大事

シラウオ(白魚)を選ぶ時は、身が溶けていないもので、目がハッキリと黒々とした点をしているものを選びましょう。生で白く濁っているシラウオは鮮度が落ちていますので気を付けてください。生シラウオを選ぶ場合は、身の透明度を第一に見てください。生のシラウオは傷みやすいので、産地で釜揚げにしたものを選ぶのもよいですよ。

シラウオ(白魚)は何の稚魚なの?

シラスはイワシ、小女子はイカナゴへ成長します。稚魚のように見えるシラウオですが、シラウオは大きくなってもシラウオです。一年で一生を終える年魚であり、“冬一寸、春二寸”と呼ばれている通り、冬は3~5㎝ほどの稚魚として育ち、春になると6~10㎝くらいになります。春を迎えるとその短い一生を終えます。

シラウオ(白魚)のおいしい食べ方

繊細な味付け、ひと手間をかけるとさらに美味しく

新鮮なシラウオの場合は、生のままショウガ醤油やワサビ醤油で食べたり、酢味噌和えなどで食べます。シラウオには背びれや尾びれがあり、食べる時に気になる場合は、ハサミで切ると食感がよくなりますよ。生のシラウオは手にくっつきやすく、蒸したシラウオはスグに身が崩れてしまうので、笹の葉を利用した“手のひらづけ”という方法で寿司を握る場合もあります。上品な味と細く白い形を活かした吸い物はひな祭りの時にお馴染みの椀物です。またシラウオ料理の定番として、親子丼の様な感じでシラウオを出汁で軽く煮たところに溶き卵をまわしかけ、ネギを散らして卵とじにしたり、卵焼きに巻き込んだりしても美味しいです。

江戸前寿司ではお馴染みのネタ。かつては握りネタでしたが、今は軍艦巻きも多いです

鮮度がよければ刺身で食べるのが美味しいです。甘みがあり旨味がよく分かります

シラウオ漁。島根県宍道湖、茨城県霞ケ浦、青森県小川原湖が産地として有名です

博多の「踊り食い」で使われるのは「シロウオ(素魚)」です。生きたままのシロウオを二杯酢や黄身醤油でそのまま食べます

シラウオ(白魚)の豆知識

徳川家康とシラウオ

シラウオは春を告げる魚であり、春の季語でもあります。江戸時代には、舟を浮かべてかがり火をたくシラウオ漁が隅田川で始まると春が来たといわれていました。
江戸時代初期に隅田川で漁師がこれまでに見たことのない魚が網にかかっているのを見て、家康公の生まれ故郷である三河で獲れるシラウオじゃないかとシラウオの頭を見たところ、シラウオの特徴である徳川家の紋である“葵”があったことから、家康公に献上したところ大いに喜ばれて、以来12月20日頃から翌年3月のひな祭りの頃まで将軍家の食膳用にシラウオが毎年献上されるようになったとのことです。

家康公はシラウオが好物で、シラウオを御止魚(おとめうお)とし、自分の存命中は献上魚だけは獲っていいが、それ以外の漁は禁止となったようです。
徳川家康が領地替えの際に、大阪の佃村から江戸へ連れてきた二人の漁師たちのみにシラウオ漁を許しました。この漁師には屋敷と、当時干潟だった土地を与えられました。この佃村からやってきた漁師たちが住む土地ということで、佃島という名称になりました。それが現在、東京の佃島です。
佃島に住む漁師たちが、日本橋へ魚を売りに行くようになり、それが魚河岸のはじまりで、のちに、築地市場が開場しました。ちなみに小さすぎて商品として売ることが出来ない魚を醤油で煮て、保存食としていました、それが佃煮のはじまりと言われています。

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