目次
タラバガニ (鱈場蟹)を選ぶ
「カニ」と呼んでいますが、実はヤドカリの仲間
タラバガニはカニと言う名が付いているものの、実は生物学上はカニではなく、ヤドカリの仲間です。普通のカニの足は10本ですが、タラバガニは足の一対が凄く小さいので、カニより一対少ない8本になります。タラバガニと呼ばれるのは、生息域がタラの漁場(鱈場[たらば])と重なることから「鱈場蟹」(タラバガニ)となりました。英語ではKing crabと表記され、カニの王様です。
旬は年2回
タラバガニの旬はオホーツクから流氷が去った後の4月~5月です。この時期は海中のプランクトンが多くなり、栄養豊富でタラバガニもたくさん取れ、身が甘くなって美味しいです。また11月~2月は脱皮後完全に殻が硬くなり、最も身入りが良い時期も旬です。身の多さで選ぶならば冬、味の良さで選ぶならば春のタラバガニがおススメです。
日本で流通しているタラバガニの95%はロシア産とカナダ産
ロシアでは1年中、漁が行われておりますが、春から夏にかけて全水揚げ量の大半を占めています。タラバガニは季節により、味と身の入り方に違いがある点と捕獲後から出荷されるまでの保存の仕方で味が大きく変わります。北海道で獲れたタラバガニはすごく希少ですので、貴重です。北海道の最北端、稚内市の稚内港がタラバガニ水揚げで有名です。
タラバガニ (鱈場蟹)のおいしい食べ方
冷凍タラバガニの解凍は冷蔵庫でゆっくりと解凍
産地で茹でられ、急速冷凍されているものに関しては、解凍してそのまま食べるのが、一番美味しく食べることができます。解凍は冷蔵庫でゆっくり時間をかけるのがおススメです。室温などで急速に解凍をすると、カニの旨みのエキスが流れ出てしまって身がパサついてしまいます。電子レンジでの解凍は絶対NGです。一度産地で茹でられているものを、家でまた茹でる(二度茹で)すると身の締まりが損なわれますのでご注意ください。
生タラバガニの場合は、カニしゃぶ、焼きガニ、蒸しガニなど何でも美味しいです。
カニは基本的に横移動しかできませんが、タラバガニはヤドカリと同じ仲間で、縦方向にも移動することができます
タラバガニは甲羅の中央にトゲが6個あるのに対し、アブラガニは4個です。よく似ているので注意が必要です
大振りな身が魅力的で食べごたえ抜群のタラバガニ。カニ本来の旨味を堪能することができます
ふっくらとしてプリプリ感を楽しむことができるタラバガニの身肉。カニは移動をする際の運動量が多いため身が締まっているのが特徴です
タラバガニ (鱈場蟹)の豆知識
小林多喜二の「蟹工船」のカニはタラバガニ
北海道でカニといえば、タラバガニかケガニのことです。アブラガニなどと区別するため、「本タラバ」などともいわれています。北海道の釧路では、未成体を「アンコ」、さらに小さいものを「クラッカ」と呼びます。
日本では、乱獲により生体数が激減したため、タラバガニのメスの漁獲は法令により禁止されています。しかし、タラバガニのメスの販売は禁止されていないので、外国産のタラバガニのメスは市場で販売されています。が、味の点では段違いにオスの方が美味しいです。
また、カニと言えば「カニ味噌」となる方もいらっしゃると思いますが、基本的にタラバガニのカニ味噌は美味しくないので食べません。美味しくないだけでなく、加熱して固体状をキープできずに甲羅から流れてしまう為、加熱する前に流水などで取り除かれていることが多いです。流れたカニ味噌は緑がかった茶色となって足や肩肉の中へ入り込み、味はもとより、きれいな身を台無しにしますので、取り除いているのです。