目次
イワシ(鰯)を選ぶ
目がきれいで太っているもの、ウロコをチェック
目が黒々と、きれいに澄んでいるものが新鮮です。目が赤くなっているイワシは鮮度が落ちているので避けましょう。目が白っぽいのは、塩水に浸けたからです。鮮度とは無関係です。
頭が小さいイワシを見つけましょう。頭が大きなイワシは脂ののりが良くなく、身がパサパサしていることが多いです。胴体に張りがあり、体全体に丸みと厚みがあるものが良いです。身体の斑点(黒い斑点)の模様がはっきりしていているイワシは新鮮な証拠ですが、体側の斑紋はあるものと、ないタイプがあります。また、ウロコがついているイワシがあればベストです。イワシのウロコは剥がれやすいので、ウロコがあるイワシは水揚げされる際の身のこすれが少なく時間があまり経っていない可能性が高いです。イワシのエラをめくってみて、裏側が鮮やかな赤色をしていれば新鮮です。茶色っぽかったり、黒ずんでいるもの、くすんだ黄色っぽいのは避けましょう。
イワシの種類
日本のイワシには、「マイワシ」「ウルメイワシ」「カタクチイワシ」の主に3種類があり、一般的に見かけるものはほとんどがマイワシです。マイワシは、かつて日本の総漁獲量の3割を占めていました。体に黒い斑点が並んでいるのが特徴です。一般的にイワシといえばマイワシを指し、料理の幅が広く、干物や缶詰などの加工品にもよく利用されます。稚魚は「ちりめんじゃこ」として売られています。
ウルメイワシはマイワシよりも体長が大きいですが、脂肪が少ないため干物などで売られることが多いです。傷みが早いので生のものはあまり市場に出ません。カタクチイワシは小型のイワシで、ウルメイワシと同様に、生のものはあまり出回らず、若魚は煮干しやつくだ煮として、稚魚はしらす干しやたたみいわしなどに使われていることが多いです。欧米では塩蔵アンチョビ、オイルサーディンとして食べられています。
イワシの栄養
イワシが栄養価の高い魚であることはすでに知られていますが、特にDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富であるということが注目されています。DHAは脳細胞を活性化させ視力回復にも役立ち、EPAは中性脂肪を分解し排泄させる働きがあります。DHAやEPAが豊富なのは魚介類、イワシ、サバ、アジ、サンマなどの青魚とウナギが特に豊富です。 同じイワシでも、一般的な身の部分と血合(赤褐色の部分)の身とを比較すると、血合の身の方がDHAやEPAを数倍も多く含んでいます。 また、旬の時期にいちばん脂質が多くなり、DHAやEPAの含有量も多くなります。関東では銚子で水揚げされるイワシが有名で、「入梅イワシ」「梅雨イワシ」と呼ばれ、脂がのります。イワシは「泳ぐカルシウム」といわれるほどカルシウムが多いですが、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富ですので、効率よく骨を丈夫にしてくれます。
イワシのおいしい食べ方
「開き」「切り身」は洗わない
イワシは7度洗えば鯛の味と言われるほど、生臭さが取れ美味しくなると言われますが、開いたり切り身にしたら、そこからは洗わないのもおススメです。身からおいしさが流れ出てしまうと同時に、イワシらしさも無くなります。また、マイワシは小骨が多く包丁を使うと身に残るので、手開きが基本になります。誤解がないように申し上げますが、魚を全く洗わないという訳ではありませんので、ご注意下さい。魚の表面には雑菌が付いていますので、最初に洗います。この雑菌は真水に弱いので、真水で洗い流すと安全です。刺身以外の料理法では臭みを取るのが料理のポイントになります。梅干しの酸味を効かせた梅干し煮、煮魚ならばしょうがやネギなどの香味野菜を加えるのもよいです。
イワシは包丁を使わず、手だけで下処理して開きます。それを“手開き”といいます。
身を開いて尾の付け根で中骨を折り、ゆっくりはがし取ります。
イワシの稚魚を蒸して乾燥させたもの。シラス干しをさらに乾燥させるとチリメンジャコに。
煮干しは牛乳よりも多くのカルシウムを含みます。
イワシの豆知識
「しらす」と「ちりめんじゃこ」は全く同じ、どちらもイワシの稚魚
「生しらす」は、漁で獲れた稚魚のこと。「釜揚げしらす」は、窯で「塩ゆで」したものです。「しらす」とは、乾燥させて水分が70%以下のものを指し、「ちりめんじゃこ」とは乾燥させて水分が50%以下のもののことを言います。
「しらす」は、江戸時代の奉行所の庭に敷かれていた白い敷石、「お白洲(おしらす)」に似ていたため、「しらす」と呼ばれるようになったようです。また、「ちりめんじゃこ」は、乾燥した魚の色が京都丹後地方の織物、「ちりめん」の模様に似ていたので「ちりめん」、さらに小さい魚を意味する「雑魚」が加わり、「ちりめんざこ→ちりめんじゃこ」と呼ばれるようになったようです。