目次
- 1ウニ (「海胆」「雲丹」「海栗」)を選ぶ
- 殻付き、箱ウニ、塩水ウニ
- ウニは北海道や東北だけではない
- 「海栗」「海胆」「海丹」「雲丹」どれがウニの漢字?
- 2ウニのおいしい食べ方
- ウニの品種と旬
- 3ウニの豆知識
- ミョウバン=悪ではない
- 4ウニの代表的なご当地料理、青森県編:いちご煮
- 5いちご煮ってどんな料理?
- イチゴ(苺)を使っている料理ではない
- いちご煮に必要な材料は?(4人分)
- いちご煮の作り方
- 6いちご煮、発祥の由来とは?
- もともとは漁師の浜料理
- いちご煮はご当地ではどんな時に食べられる?
- いちご煮の栄養価・効能は?
- 7ウニ漁の方法は?
- 8ウニの魅力
- 美味しい昆布やワカメを食べているウニはやっぱり美味しい
ウニ (「海胆」「雲丹」「海栗」)を選ぶ
殻付き、箱ウニ、塩水ウニ
生きたままの新鮮な殻付きウニが一番味も香りも良いですが、ウニは一個一個に相当の個体差がありますので、なかなか素人が目利きをするのは難しいです。殻付きのウニを購入する場合、トゲがまだしっかりと動き、口部分が閉じているものが良いです。大きければ身が詰まっているということではないので、ずっしりと身が重いものを選ぶようにしましょう。木箱に入った折ウニなど「生ウニ」は各水産メーカーで一定のレベルのウニを並べていますので、水産メーカー名で判断するのも1つの手です。ちなみに僕は『はだてのウニ』と『むらかみのウニ』が好きです。塩水ウニは、塩水の濁り具合をチェックし、塩水ウニの容器内ウニがバラバラに砕けていないかを確認します。
ウニは北海道や東北だけではない
ウニの主な餌は昆布ですので、昆布の特産地がウニの特産地です。根室、函館、利尻・礼文などが産地として知られている北海道は、漁場を変えつつほぼ通年で新鮮なウニを採取できます。北海道のなかでも礼文島は、北海道全体の20%近くの漁獲高があります。また、北海道や東北だけでなく、越前ウニと呼ばれる福井県産のバフンウニ、淡路島由良産のウニは「幻のウニ」と呼ばれ知る人ぞ知るアカウニです。長崎・平戸産のアカウニは長崎以外にあまり出回らない、とても美味しいウニです。沖縄にもウニの産地があります。古宇利島です。「シラヒゲウニ」という種類ですが、認知度が高まり乱獲されたため禁漁となり、沖縄本島の東側の宮城島産のものが使われています。
「海栗」「海胆」「海丹」「雲丹」どれがウニの漢字?
「海栗」の場合はウニのトゲがまるで栗のイガようであることから海の栗、海の栗として海(ウミ)と栗(クリ)が転じてウニと呼ばれるようになったという説があります。「海胆」の場合、昔はトゲのついている外の部分を体、食べている部分を内蔵と考えられていました。即ち肝臓のようであったことから、「海(ウ)胆(ニ)」と呼ぶようになったという説があります。「海丹」の場合は、丹とは赤い色という意味があり、身が赤いことから、「雲(ウ)丹(ニ)」と呼ばれたという説があります。「雲丹」はウニそのものではありません。ウニを加工した食品のことを指します。
ウニのおいしい食べ方
ウニの品種と旬
現在市場に出回っているもののほとんどはバフンウニ、ムラサキウニ、エゾバフンウニ、キタムラサキウニです。単純にウニの種類のみの旬の時期だけを言うと、バフンウニは3月から4月、ムラサキウニは6月から8月、エゾバフンウニは7月から8月、キタムラサキウニは9月から11月というのが一般的です。もちろん産地によって旬は異なります。同じ北海道内でも、太平洋に面した襟裳の辺りでは1月から3月、オホーツク海に面した地方の羅臼は2月から5月、雄武は4月から6月、枝幸なら5月から7月と旬の時期に違いがあります。礼文島や小樽、積丹古平といった日本海に面した地方では、概ね6月から8月が旬の時期となります。
主な産地とされるのが北海道で、特に漁が盛んである日本海側では、6月から8月にかけて漁の最盛期を迎えることから、一般的にこの時期が旬であるとされています。美味しいウニの食べ方は、そのまま食べたり、ウニ丼ですね。一番ウニの味が分かり、贅沢な食べ方です。また、「塩ウニ」という青森地方の食べ方をご存知ですか?塩ウニとは、ウニに塩を振るだけです。塩ウニにすると、余分な水分や臭みが取れ、コクと甘みがアップします。バットにキッチンペーパーを敷き、魚に塩を振るようにウニに塩を振り、2-3時間置きます。程よくウニの水分が抜けたら完成です。ウニから出てくる水分は臭みの原因ですので、キッチンペーパーを替え、余分な水分を取ってください。
味的には雌の卵巣の方が美味しいのですが、剥いて折に並べられているものはほとんど見分けが付きません。
ウニは生のままワサビ醤油で食べるのが一番美味しい食べ方です。
ウニとパスタの相性はバッチリ。クリーミーな味わいが人を虜にします。
ムラサキウニ系は白ウニ、バフンウニ系は赤ウニと呼ばれます。
ウニの豆知識
ミョウバン=悪ではない
ウニは鮮度が落ちるのが非常に早く、そのままにしておくと時間の経過とともに身が溶けていってしまいます。この液状化を遅らせるために「ミョウバン」を使い、箱ウニは、剝き身のまま綺麗な形を保ち、身を固めている場合が多いです。ミョウバンを使わなくても良いほど鮮度の良いウニでも、品質劣化防止のためミョウバンを使っているウニもあります。「ミョウバン」を使っているウニがマズいウニという事ではありません。ごく少量のミョウバンの使用は、味や風味を劣化させるような事は無く、より美味しいウニを造る為には必要な作業なのです。一般的にミョウバンを使っているウニは苦い、ミョウバンを使っていないウニは美味しいと考えられていますが、ミョウバン使用が問題なのではなく、過剰にミョウバンを使ったウニが苦味や臭みを出し、ウニの甘みを損なっていると考えてください。
ウニの代表的なご当地料理、青森県編:いちご煮
いちご煮ってどんな料理?
イチゴ(苺)を使っている料理ではない
「いちご煮」とは、青森県八戸市とその周辺の三陸海岸の伝統的な料理で、ウニ(キタムラサキウニ、エゾバフンウニなど)とアワビ(ツブ貝等で代用されることもある)を贅沢に使用した風味豊かな潮汁です。湯または出汁でウニとアワビの薄切りを煮立て、塩とわずかな醤油だけで味付けをしただけのシンプルな料理ですが、仕上げに、青じその千切りをのせるのが定番です。古くから上客への出し物として使われてきましたが、もともとは、漁師の浜料理でした。乳白色の潮汁に沈む赤みが強いウニの卵巣の塊が、朝もやのなかに霞む野いちごの果実のように見えることからその名がつけられたとされています。いちご煮は、2007年12月18日に農林水産省の主催で選定された農山漁村の郷土料理百選において、せんべい汁と共に青森県を代表する郷土料理として選出されています。
いちご煮に必要な材料は?(4人分)
だし汁 280g
うす口しょう油 6cc
酒 6cc
塩 2g
あわび 20g
生うに 30g
大葉 1枚
いちご煮の作り方
①だし汁、うす口しょう油、酒、塩をあわせ、吸い物のベースを作ります。
②鍋に薄切りにしたアワビとウニを入れ①のだし汁のベースを入れ弱火にかける。 沸騰させないように気をつける。
③アクをすくいながら、3分~4分炊いて火を止める。
いちご煮、発祥の由来とは?
もともとは漁師の浜料理
八戸近辺では海女のように素潜りでウニやアワビを採る「かづき」と呼ばれる人たちがいました。「かづく(潜く)」とは「潜水すること」「潜水して魚介類を採取すること」を意味する古語で、彼らは海に潜り、ウニやアワビなどを採っていました。漁の後は浜辺に戻り、海に潜って冷えた体を温める為にたき火をして鍋にお湯を沸かし、ウニやアワビを煮て食したといいます。これが「いちご煮」の発祥といわれています。大正時代、この豪快な料理を八戸市の老舗料亭旅館「石田家」の二代目主人、石田多吉氏によって「いちご煮」と名付けられ、お椀にきれいに盛りつけてお吸い物として出すようになりました。昆布だしと塩、わずかな醤油だけで味つけをしたシンプルな料理ですが、現在では晴れの席やお正月など、めでたいときには欠かせない”お吸い物”として代表的な郷土料理のひとつになっています。
いちご煮はご当地ではどんな時に食べられる?
ウニやアワビといった高級な素材と、シンプルながらも旨味が深い出汁の味わいは多くの人に好まれ、現在では料亭で出されるだけでなく、八戸市や三陸海岸の伝統的料理として結婚式や祝い事、正月などの「ハレ」の日の食事には欠かせない料理となっています。青森県東南部の階上町(はしかみちょう)では毎年7月頃に「いちご煮祭り」が開催されており、贅沢な「いちご煮」を格安で食べることができます。
いちご煮の栄養価・効能は?
いちご煮は動脈硬化や心筋梗塞など生活習慣病から守る食べ物と言っても過言ではありません。
ウニにはビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンEは脂溶性ビタミンの一つで、強い抗酸化作用があり、悪玉コレステロールと呼ばれる血中のLDLコレステロールを抑制し、血液をサラサラに保つ効能もあります。また、ウニは動物ですが、カロテンも豊富に含んでいます。カロテンはビタミンEと同様に抗酸化作用が強く、生活習慣病の予防に有効な成分です。体内でビタミンAとなり活性酸素を抑え動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病から守ると共に、皮膚や粘膜の細胞を正常に保つ働きがあるとされています。それだけではありません。ウニには肌荒れ予防に役立つビタミンB群も豊富です。ビタミンB1やB2、そして植物からは得られないB12などが含まれています。アワビは様々な生鮮食材の中でもパントテン酸を沢山含んでいることが特徴です。このパントテン酸は免疫力を高める働きがあるとされ、更に善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす働きもあり、動脈硬化の予防にも一役買っています。
「いちご煮」の名は、お椀の中の乳白色のすまし汁に沈むウニの姿が 朝もやに霞む野いちごのように見えることから名づけられたといわれています。その乳白色のすまし汁は、貝の旨み成分「コハク酸」で白くなっているのです。ウニの旨み成分は「グルタミン酸」です。グルタミン酸は昆布、トマト、チーズに代表される旨み成分です。旨み成分は種類を増やし、同時に味わうことで、より旨みを強く感じることができます。1+1=2ではなく、1+1=3や4になるのです。
いちご煮という料理はもう既に完成された料理と言えます。しかし、ウニとアワビという高級素材を使うので、相当のお値段もしてしまいます。が、今はなんと、いちご煮の缶詰が売られていますので、安心していちご煮を食べることが出来ます。また、最近では、様々な料理にアレンジされています。いちご煮の缶詰で作られる定番料理としては、「いちご煮の炊き込みごはん」「いちご煮の茶椀蒸し」などがありますが、各家庭でオリジナルの料理もたくさん作られています。この機会にぜひオリジナル料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
ウニ漁の方法は?
ウニ漁は様々な漁法が行われていますが、よく見られるのが小さな磯舟から体を乗り出し、箱メガネで海底を覗き、タモと呼ばれる細長い棒の先に網がついている道具でウニを1つ1つ獲ります。ウニは、餌によって味が異なりますので、美味しい昆布の根元にいるウニは、美味しいウニに成長します。だから、昆布の生い茂った根元にいるウニを狙って漁をするのです。タモでは獲れない場所では、カギと呼ばれる2本の半円形の金属でできたもの(大きなフックのよう)で、引っかけるように獲ります。
ウニの魅力
美味しい昆布やワカメを食べているウニはやっぱり美味しい
「いちご煮」の他、北海道の郷土料理「うに・いくら丼」、いわきの郷土料理「ウニの貝焼き」、壱岐の郷土料理「うにめし」など、日本全国にウニを使った郷土料理・伝統料理があります。同じウニでも獲れる地域によって甘さや食感、舌触りが異なります。それは食べるエサが違うからです。ウニは雑食ですが、主に昆布を食べます。利尻や羅臼、函館の真昆布といった良質な昆布が有名な地域のウニは美味しいといわれています。そして食べた昆布の部位でもウニの味が変わるといいます。僕たちが普段食べているウニは、ウニの生殖巣の部分を食べています。ウニはエサとして摂取した栄養を生殖巣に蓄えるので、その味はエサに影響を受けやすいとのことです。
いちご煮のパスタや雑炊まで、アレンジ料理が拡大中