目次
タチウオ(太刀魚)を選ぶ
身が透き通って弾力のあるものを選びましょう
表面の銀色(グアニン)に光沢があって、身を押さえて硬いものは鮮度がよい証拠です。底びき網等、網で獲れたタチウオは体に傷が付きやすく、表面の銀色(グアニン)も剥がれ落ちているものが多いです。そういうものは身質にも強いストレスがかかった影響が出ていますので、出来る限り表面に銀色(グアニン)が残っているものを選びましょう。タチウオは小さいと小骨が多く、身が薄いのである程度大きく成長したものの方が美味しいです。1.5mを超えるものは大味になる傾向があるようです。1m前後の大きさのものが美味しいと言われています。
銀色(グアニン)って何?
太刀魚には尾鰭や腹鰭がありません。そして鱗がありません。その代わりに、体の表面はグアニン質という銀粉の層で覆われています。無味無臭です。生存時は常時新しい層が生成され体表を保護しています。このグアニン質は簡単に取れてしまうのですが、このグアニンから採取した銀粉は、かつて模造真珠などで使用されるグアニン箔という塗装材料で使われていました。
タチウオにまつわる話を
鎌倉幕府を倒した武将の新田義貞は、鎌倉攻めにあたり、引き潮を祈願して稲村ケ崎の海に太刀を投じ、勝利への突破口を開いたと言われています。タチウオはその太刀の生まれ変わりとする故事があります。タチウオが出てくる有名な小噺があります。ある夜、物音に気付いて目を覚ますと、人影が・・・・目を凝らすと銀色に輝く抜き身を携えています。「金を出せ!」強盗の声に主人は震え上がりました。するとその時、何と飼い猫が握られた刀に飛びついたではありませんか!危ない、切られる!思わず目を閉じました。そして目を開けると、すでに強盗はいません。ネコはと見ると、うずくまって刀をうまそうに食っているではありませんか!?側に寄ってよくよく見ると、刀と見えたのは実は太刀魚(タチウオ)だったのです。
タチウオのおいしい食べ方
新鮮であれば刺身がおススメ
身は白身で身離れがいいです。繊維質が少ないので、鮮度が落ちると少しボロボロとします。熱を通すと適度に締まるので、焼き物などに向いています。煮ると崩れやすくなります。焼き物などにする際は、小骨の処理をした方が食べやすいです。肉厚の物はポアレやムニエルなどに。天ぷらやから揚げにしても美味しいです。身が柔らかいので、周りはサクッと揚がり中はふわっと仕上がります。皮と身の間に旨みが詰まっていますので、刺身にする時は皮を引かずに、皮付きのまま刺身にします。新鮮な場合、銀箔を取らずに三枚に下ろしてイカの糸造りのように細く切って、ポン酢で食べるのも美味しいです。
タチウオは貝類を捕食するため、貝殻を噛み砕く強い歯を持っています。
炙り刺身は皮付きのほうが見た目がよく美味しいので、必ず皮をつけた状態で。
タチウオの塩焼きはシンプルでも極上の味わいです。
切り身を買う場合は、身が分厚いものを選びましょう。
タチウオの豆知識
美味しいだけではなく、栄養価も高い魚です
体が細く銀白色に輝き、太刀(たち)を思わせる外見から「太刀魚」と呼ばれています。異説では、頭を上にして上にいる獲物を探しながら泳ぐためで「立ち魚」と呼ばれたとするものもあります。夏に旬を迎え、脂肪は多いですがあっさりした上品な味の白身魚です。体内では生成できないDHAを豊富に含有するほか、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEを多く含みます。DHAは脳の発達、老化予防に重要で、血液をサラサラにし、動脈硬化などの成人病を予防します。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨粗鬆症を防ぐ働きがあります。多価不飽和脂肪酸のイコサペンタエン酸(EPA)は血小板のかたまる物質を作り出さないようにし、血液をサラサラにします。血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やします。動脈硬化、脳梗塞、高血圧、高血圧を予防します。