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カツオ(鰹)を選ぶ
丸ごと買う場合
1尾丸ごとを選ぶ場合は、魚体にツヤがあり、背中の黒色と銀色の縞模様のコントラストが鮮明であるものを選びます。カツオを選ぶときは触ってみて硬く締りがある物が新鮮です。また、体にぶつけた時にできるあざなどが無いか確認します。縦縞は死後すぐにくっきりと出て、時間の経過とともにぼやけていきます。目が澄んでいて、エラの中側がきれいな赤色であること、鮮度が落ちるにしたがって赤みが抜け濁ったピンクになってきます。また、全体がぷっくりと丸く、頭と尾が小さく見えるものは脂の乗りもいいです。
スーパーなどで買う場合(半身、サク、刺し身)
カツオに限らず多くの魚は、空気に触れる表面積が多いと鮮度の落ちが早くなります。すぐ食べるのでなければ刺し身よりサク、自分でさばけるのであれば半身の物を選ぶのがベターです。カツオは当たり外れが多い魚ですので、一匹丸ごとよりも、下ろして身の状態が確認出来るものの方が良いです。その場合、血合いが黒くなく、赤というより朱色で鮮明な色合いで、皮と身の間に脂肪が多くあるものを選びましょう。ただし、脂肪の多いものは鮮度の落ちが早く、生臭さが増します。血合いが付いていない場合は、身の色が深い赤色で身が透き通るようなものを選びましょう。切り口が虹色のように光っているものは鮮度がよくないので避けるようにします。
鰹節の質感が松材に似ているから「松魚」とも
カツオの語源は身が堅いという意味で、「カタシ(堅し)」の「カタ」に「ウヲ(魚)」で「カタウヲ」となり、転じて「カツヲ(カツオ)」になったと言われています。「鰹」の字も身が堅い魚の意味です。「鰹」のほか、「堅魚」、「堅木魚」、「松魚」などとも表記されます。戦国時代には武士の縁起かつぎとして、鰹節を「勝男武士」と当て字を使用したようです。織田信長などは産地より遠く離れた清洲城や岐阜城に生の鰹を取り寄せて家臣に振る舞ったという記録もあります。また北条早雲の子、氏綱が小田原沖でカツオ釣りを見物しているところに、一匹のカツオが船に飛び込み、その船で戦いに勝利を収めたことから、以降出陣の祝宴に欠かさず出されたとも言われています。
カツオのおいしい食べ方
カツオはさばいてみないと身質が分からない
カツオは遠洋回遊魚ですので、ずっと泳いでいます。常に泳いでいるため、その身は血液が多く脂肪分も多い魚で、旨味が強いのが特徴です。カツオのように赤身魚は、熱を通すと著しくパサついた食感となってしまう特徴がありますので、たたきなどのように、軽く火を通して食べるとカツオの良さを活かして食べることができます。もちろん刺身は美味しいですが、傷みが早いことでも有名です。血抜きなどの締め方により、鮮度や味、臭いの差が大きく変わってきます。醤油を中心としたタレに漬け込んだ後、寿司飯と合わせて食べるちらし寿司の一種である「手こね寿司」は志摩地方の名物です。カツオはさばいてみないと身質が分からない魚ですので、たとえば刺身用に5回買っても、そのうち2回は刺身には使えない身質だった、ということもあります。
刺身で食べるなら戻りカツオ。戻りカツオの脂身は、初カツオに比べ10倍以上も多いといわれます。その身はまさに「トロ(かつお)」と表現されるほどです。
土佐の山内一豊公は鰹を生で食べて食中毒になる者が多かった為に、鰹の生食を禁止に。領民は鰹の表面だけを炙って焼き魚と称して食べていたというのが「カツオのたたき」のはじまりという説があります。
「かつお削り節」と「かつおぶし削り節」の2種類あるのをご存知ですか?荒節を削ったものが「かつお削り節」。荒節にカビを付けて日に干す「枯れ節」を削ったものが「かつおぶし削り節」。
初カツオはタタキに、戻りカツオは刺身にするのがおススメ。捌きたての新鮮なものは刺身で、カツオは独特のタンパク臭がありますので、ワサビよりもショウガ醤油で食べるのが一般的です。
カツオの豆知識
「目には青葉 山ほととぎす 初かつお」山口素堂
この俳句は有名ですね。江戸時代には人々は「粋」の観念によって初カツオを特に珍重し、食べると寿命が75日延びるとも言われていたため、縁起物として「ニ、三両の大金(現在の約7~11万円)を払っても惜しくない」と、先を競って食べたようです。また「女房子供を質に出してでも食え」と言われたぐらい加熱したようです。カツオは日本では古くから食べられていたようで、大和朝廷はカツオの干物(堅魚)を献納させていた記録があるようです。カツオは良質なタンパク質に富み、ビタミンやミネラルも豊富で、特に血合いの部分に栄養素がたっぷり含まれています。初カツオはモチっとした食感と、じんわり広がる旨味が特徴です、戻りカツオはマグロのトロのような味が楽しめます。