目次
カボチャを選ぶ
皮を見よう
底の皮の一部が緑ではなく、黄色くなっているような色むらは地面と接していた部分で、日焼けしていない部分になりますが、そんなに問題はありません。中身の色がそのまま見えているので、その色むらのオレンジ色が濃い物を選びます。成熟して甘みが強くなると皮は黒くなっていきます。皮全体の色がより濃いもの、皮がかたく、 肉厚でツヤ、ハリがあるものがおススメです。ミネラル分が豊富な土壌で育っているカボチャにはツヤ、ハリがあります。
ヘタの周りを見よう
熟成してくるとこのヘタ周りがへこみ、ひび割れるような状態になります。ヘタが太く、切り口がよく乾燥してコルク状になっている物(10円玉ぐらいの大きさのヘタ)、カボチャが綺麗に左右対称に丸くなっているものを選び、形がいびつな物は受粉不良の物なので避けます。左右対称だとより栄養が行き渡っています。手に持った時にずっしりと重みを感じるものは、中身の実の詰まり具合を判断する分かりやすいポイントです。
カットしているカボチャは?
カットされている物は、果肉の色が濃いオレンジ色をしていて、肉厚な物、また、種がしっかりと熟して膨らんでいるかを確認します。種がペッタンコのものは未熟なうちに収穫された物で、甘味やホクホク感が足りない可能性が高いです。色が濃い物の方がより甘く濃厚で栄養価も高いです。
カボチャを保存する
カボチャは収穫後追熟させて美味しくなります
カボチャは鮮度が良い物が美味しいという訳ではありません。逆に、しっかりと熟成され、でんぷんが分解されて糖分に変わり、ホクホクとした食感と甘みを感じられるようになったもの選びます。冬至にカボチャを食べるという習慣があるように、たいへん貯蔵性のよい野菜です。冬至にカボチャを食べる理由は、栄養が高いカボチャを食べて「風邪の予防」や、現代のように食料が豊富ではなかった時代では、夏に収穫したカボチャを保存して食べていたことも理由のひとつといわれています。
かぼちゃ(丸ごと)の保存は16度前後が最適な保存環境。高温が大敵です。
まるごと置いておく場合は非常に保存性が高いので、新聞紙でくるんでなるべく涼しい風通しの良いところに置いておくだけで2カ月くらいは大丈夫です。カットした物は、種と中のワタの部分から傷み始めるので、スプーンなどでワタと種を掻きだし、ラップでピッタリと包んで冷蔵庫に入れておきます。1週間くらいで使い切りましょう。また、冷凍保存するときは、カットしてゆで、よく冷ましてからくっつかないように少し離すか、または、粗く潰してから保存袋にいれて冷凍しましょう。
切ったものは種とワタをとり除きます。
ラップでピタっと包んでから冷蔵庫へ。
ハロウィンかぼちゃはハロウィンに使用される代表的なかぼちゃ。
種も食べてみよう。
果肉の5倍のカロテンの他、リノール酸も含み栄養価が高いです。
カボチャの豆知識
カボチャには色々な種類がありますが、大きく分けると「日本カボチャ」、「西洋カボチャ」、「ペポカボチャ」の三つに分けることが出来ます。
「日本カボチャ」は西洋カボチャより水分は多いですが、煮崩れがしにくいのが特徴です。
食感はねっとりしており、でんぷん質も少ないので、甘み控えめでさっぱりした味わいです。
「西洋カボチャ」は甘みが強く、店頭などでよくみかけるカボチャのほとんどが西洋カボチャです。ほくほくしていて、栄養価の高いカボチャです。日本カボチャの約5.5倍β―カロテンがあります。「ペポカボチャ」は主に観賞用のカボチャです。ひょうたんのような形をしており、ハロウィンでよくみかけることが出来るカボチャです。
カボチャの名の由来
日本カボチャの原産は中央アメリカです。16世紀(日本は戦国時代)ポルトガル船によって九州(大分)に渡来したといわれていますが、カンボジア経由で伝えられたことから「カボチャ」という名前がついたといわれています。この時、ポルトガル人にカボチャを献上されたのがキリシタン大名の大友宗麟という説が有力です。ポルトガルから豊後国(大分)を経て、現在の福岡県豊前(ぶぜん)市三毛門で(みけかど)に伝わり、栽培されたのが「三毛門かぼちゃ」です。日本最古のカボチャといわれています。⇔西洋カボチャは幕末に日本に伝わりました。
漢字で「南瓜」と書くのは、「南蛮渡来の瓜」や輸入されるときの寄港地となっていた中国の南京(ナンキン)に由来するといわれています。唐茄子(トウナス)とも呼ばれています。
パンプキン
カボチャを英語で言うと、「パンプキン(pumpkin)」というのが一般的ですが、パンプキンとはハロウィンで使う皮がオレンジ色のカボチャのことになるので、僕たちが普段食べる皮が緑色のカボチャは「スクワッシュ(Squash)」という表現が正しいです。
ちなみに「スクワッシュ(Squash)」は動詞だと「押しつぶす」という意味です。レモンスカッシュは、レモンを押しつぶしたものなので、“レモンスカッシュ”です。
栄養
βカロテンが豊富で、ビタミンC、Eが抗酸化作用を高めてくれます。通常ビタミンCは熱に弱いのですが、カボチャはデンプンに守られているので加熱しても大丈夫です。中身よりも皮にβカロテンが含まれているので、皮をよく洗って食べるのが良いです。また、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンB1、B2、食物繊維も含まれています。種にも動脈硬化を予防するリノール酸やビタミンEが豊富です。
カボチャは煮崩れしやすいので、弱火でじっくり煮ると表面のデンプン質が固まって煮崩れしにくくなり、さらに旨み成分がゆっくり生成されるので、美味しさアップです。砂糖は柔らかくする効果があるので、みりんで煮るのがおススメです。みりんは実を締めて崩れにくくする効果があります。
いろいろなカボチャ
エビス南瓜
一般的にカボチャというこの「エビス南瓜」を指すことが多いです。1kg程度の大きさで、果肉は濃黄色でやや粘質がかった粉質です。
小菊南瓜
小ぶりのカボチャで、真上から見ると菊花に似ていることから、名前が付いたといわれています。ネットリとした粘質で甘さは少ないですが、煮崩れしにくいので、煮物などの日本料理に最適です。
坊ちゃん南瓜
手のひらにのる500g位のミニ西洋カボチャなので、電子レンジで丸ごと加熱調理も出来ます。ホクホクとした粉質の果肉です。
勝間南瓜(こつまなんきん)
「なにわの伝統野菜」の復活の発端になったカボチャです。日本カボチャなので粘質であっさりとした味わいです。
打木赤皮甘栗カボチャ
鮮やかなオレンジ色の表皮で、皮が薄く、西洋カボチャなのに食感はしっとりして、名前の通り、栗のような甘さが特徴です。
鹿ケ谷南瓜
中央がくびれた形と凸凹した表皮が特徴で、完熟すると表面に白い粉がふき、ベージュっぽい色になる。肉質が粘質で煮ても崩れないカボチャです。
バターナッツ
ひょうたんのような形で滑らかなクリーム色の表皮。皮は薄く果肉は粘質であっさりとした甘さのペポカボチャです。
コリンキー
皮も柔らかく、歯触りが良い果肉の西洋カボチャです。クセがないので、生でスライスしてサラダで食べることが出来ます。加熱調理して食べてもホクホク感はありません。
黄色のコリンキーは、未熟の状態のコリンキーです。
若取りすることで生食できるのですが、右のオレンジ色のコリンキーは完熟させています。
完熟したものはホクホクした食感はありませんが、柔らかな食感です。
スクナ南瓜
ヘチマのような形の西洋カボチャ。皮は柔らかく、肉質は黄色で甘みが強いです。完熟したものは糖度も非常に高く、ほくほくとして美味しい、岐阜県飛騨高山のカボチャです。
金糸瓜
そうめんかぼちゃ、なます瓜とも呼ばれています。茹でると果肉がそうめん状にほぐれます。
プッチーニ
坊ちゃん南瓜よりもさらに小さく、200~300g前後の極小型カボチャ。表皮が黄色く肉質は粉質性が強く独特の甘みがあります。坊ちゃん南瓜よりさっぱりした味です。
ズッキーニ
キュウリのような形ですが、ペポカボチャの一種です。本来は「イタリアン・ベジタブル・マロー」という呼び名ですが、イタリア人が名付けた「ズッキーニ」という名で世界中に広まりました。
イエローズッキーニ
生で食べると緑色のズッキーニは青臭さが少しありますが、黄色は青臭さが無く食べやすいです。加熱した場合、黄色より緑の方が味が濃く、旨みがあります。
右 白皮栗かぼちゃ
中央 鹿ケ谷かぼちゃ
左 島かぼちゃ
【江戸崎かぼちゃ】茨城県稲敷市
ホクホクの美味しさが自慢のかぼちゃです。一般的なかぼちゃは収穫後、貯蔵庫で追熟させますが、江戸崎かぼちゃが美味しい理由は、畑で完熟するのを待って収穫する『とれたて完熟』だからです。 煮物の場合、水をほぼ入れずに調理すると、美味しさが堪能できます。
【勝間南瓜】 なにわ伝統野菜
大阪市西成区玉出町(旧勝間村)で生まれた小型の日本カボチャです。果肉はねっとりとして水分が多いので煮物や蒸しものに向きます。果皮がオレンジになっているものは完熟の証です。
【宇津沢かぼちゃ】 山形伝統野菜
約100年前から飯豊町宇津沢地区の「八郎」さんという屋号のお宅で種を守り続けられているかぼちゃです。宇津沢地区以外で栽培しても宇津沢かぼちゃの味にはならないかぼちゃだそうです。
【島かぼちゃ】沖縄
沖縄の在来種のかぼちゃです。日本かぼちゃなので、甘味は少なく水分が多くて煮物に向いてます。形も様々で、丸いかぼちゃ、ひょうたんのような形のかぼちゃ、長い形のかぼちゃなどあり、色も緑やオレンジなど様々です。
【奥会津金山赤カボチャ】 福島
強い甘味とホクホクした食感です。出荷前検査で、1つ1つのカボチャに含まれる糖分などを調べ、基準をクリアした物のみ、品質を保証するシールを貼っています。
まずは水のみで煮てみましたが、カボチャ自体がとても甘く美味しいです。
【栗マロンかぼちゃ】
メロンの栽培と同じように、花が咲いても(花が咲くと実が出来る)間引くことにより、残った1つの実に栄養が集中するように育てているかぼちゃです。
一般的なかぼちゃに比べ、「栗マロンかぼちゃ」のデンプン含有量はとても多いです。
通常カボチャは追熟させることで、デンプンを糖化させるので甘く感じます。この「栗マロンかぼちゃ」はデンプン含有量が多く、すべてのデンプンが糖化出来ないので、甘いのにホクホクのかぼちゃになります。
かぼちゃの豆知識
皮の一部がオレンジ色をした カボチャは、買い頃のカボチャです。この部分は「グランドマーク」といい、地面に接していた部分なので太陽の光が当たらず緑色に色づいていない部分です。でもこの色は中身の色と同じなので、追熟すればオレンジが濃くなり、熟し具合を確認できる部分です。
カットされたかぼちゃ
かぼちゃの皮(緑)と実(黄)の間、ふちの部分を見て下さい。
①はふちが少しにじんでいます。 →まだ水分が多く、糖が少なくあっさりしているので、天ぷらに向いています。
②は緑と黄の境界がハッキリしています。 →デンプンが糖に変化しているので甘く、煮物に向いています。
調理法
カボチャの煮崩れを防ぐ
カボチャは煮崩れしやすいので、弱火でじっくり煮ると表面のデンプン質が固まって煮崩れしにくくなり、さらに旨み成分がゆっくり生成されるので、美味しさアップです。
砂糖は柔らかくする効果があり、カボチャが煮崩れしやすくなるので、実を締めて崩れにくくする効果がある「みりん」で煮るのがおススメです。
煮崩れの原因はカボチャのカットされた表面のデンプンが熱せられることで、柔らかくなるからです。
あらかじめ水に30分程度つけておくと、デンプンが流れるので、煮崩れしにくくなります。
栄養分が流れますが、つけておいた水をそのまま使えば大丈夫です。
秋のカボチャは上下で切って食べ比べ
カボチャは一般的には縦に切り、半分にしますが、横に切り、半分にしてみて下さい。
秋のカボチャは、まだそこまで完熟していないから、カボチャの上下で味が微妙に異なります。
下半分のカボチャはまだ水分が抜けきれていないので、さっぱりとした味で歯切れが良いので「天ぷら」がおすすめです。
上半分は完熟しつつあるので、甘いのが特徴です。この時期ならではの味を活かした「煮物」がおすすめです。
家庭菜園2023 かぼちゃ編
カボチャの皮に一部オレンジ色になっている部分は、カボチャがどれくらい熟しているのかを示す目安になります。オレンジ色の濃い方が熟成が進んでいて食べごろの印です。