目次
メロンを選ぶ
甘い香りでチェック
ネット系メロンの場合、おいしいメロンを選ぶコツは第一に形が大きな目安になります。色ムラが無く均整が取れた左右対称のもので、網目がクッキリと細かく均等に広がり、網1本1本の盛り上がりが高いものがおススメです。網目が細かい方が香りが強く、果肉も濃厚で甘味が強い傾向にあります。手に持った時にずっしりと重みを感じるものの方が、果実が凝縮され、種の比率が低く肉厚で味も優れています。
お尻を押した時に少し弾力を感じるものを選んでください。また、下から熟すのでお尻からみずみずしいメロンの香りが出ているか確かめましょう。花落ちの部分が10円玉位の大きさのものがおススメです。
品種の分類
メロンは果肉の色によって赤肉種、青肉種、白肉種に分けられます。赤肉は夕張メロンやクインシーメロン、青肉はアールスメロンやアンデスメロン、白肉にはホームランメロンなどがあります。網の有無によってネット系、ノーネット系にも分けられます。
ネット系メロンは、マスクメロン、ノーネット系ではマクワウリ、プリンスメロンなどがあります。マスクメロンや夕張メロンなどはT字型のツルが付いた状態で出荷されますが、T字型のツルがあるものとないものの差はありません。メロンはツルから出来ますが、メロンの種類に応じてツルを切ったり残したりしているのです。
メロンは追熟します
販売されているメロンは食べ頃より少し早めに出荷されています。なので、家で追熟させた方がよりメロンをおいしく食べることができます。メロンを美味しく食べるには、風通しがよく直射日光の当たらない場所で常温保存してください。
メロンのおしりの周りを押してみて少し弾力を感じるようになり、メロンから甘い香りが立ってくれば食べ頃です。また、ツルの根元部分は黄緑色のままで、その他の部分がしおれている状態も完熟な証拠です。食べる2時間位前に冷蔵庫で冷やすのがポイントです。冷やし過ぎは香りと甘みが損なわれます。
メロンを保存する
カットしたら空気に触れないように
食べ頃を過ぎると、発酵してきて、やがて腐っていきます。完熟後は賞味期限が短くなりますので早めに食べるようにしましょう。食べ切れずに冷蔵庫で保存する場合は、種を取り除き、空気に触れないようしっかりとラップをし、冷蔵庫の野菜室で保存します。半分にカットしたメロンなども同様にラップをしっかりとして、空気に出来るだけ触れないようにします。
一口大に切ったメロンは、タッパーに入れるか、ジップロックに入れて冷蔵保存します。カットしたメロンは、空気に触れることにより味が急激に落ちやすいので、空気に触れないよう、しっかり密閉させるのがポイントです。
マクワウリの一種と西洋メロンの交配品種のタイガーメロン。追熟しないタイプのメロンです。
夕張メロン。果肉がオレンジ色の高級ネットメロンで赤いダイヤとも呼ばれます。
花落ち(お尻の部分)と種の周囲が甘いので、縦にくし切りすると甘さが均等になります。
メロンのツルは左右の太さが違います。 太い方のツルは幹に、細い方のツルは葉に繋がっており、栄養が入ってきて抜けますので、ツルの太さは左右非対称のメロンが甘いです。
メロンの豆知識
夏バテ回復に効果的
みずみずしさと贅沢な甘さで人気のあるメロンですが、ワタの部分はどうされていますか?種といっしょに捨ててしまう方も多いのではないかと思います。メロンは種の周りのワタ(種が付いている部分)が特に甘いです。種をスプーンで取りのぞく方も多いかと思いますが、スプーンで取りのぞく際においしい部分が種と一緒に削れてしまいますので、ザルで濾して種を取り、メロンジュースにしても美味しいですよ。
ワタの部分には特にビタミンCとβカロテン(赤肉種)が多く含まれていますので、美肌効果もあります。果肉にはカリウムも多く、体内の余分なナトリウムを排出しますので、体内の水分バランスを整えてくれます。メロンの甘味は果糖、ショ糖、ブドウ糖などで構成されており、体に吸収されやすい上に、すぐにエネルギーに変わりますので、夏バテ回復に効果的です。
メロンの網目
メロンの果実は最初、縦方向に大きくなり、次に横方向に急激に大きくなります。この時、内側にある果肉部分の成長が早く、内側から圧力がかかり、表皮の成長がその圧力に耐えられず、表皮が裂け始めひび割れができます。ひび割れが出来るので、それを修復しようと皮に「かさぶた」ができます。それが網目なのです。
ネット系メロンを網目に注目して選ぶ
網目の間隔が狭く、網目の細かさが均一なメロンは、栽培時の品質管理がしっかり行われ、順調に生育したメロンです。
また網目ひとつひとつの盛り上がりがくっきりしているものは、肉厚なメロンであることが多いです。
ランク
一般的に果物の格付けは「秀」「優」「良」が一般的ですが、メロンの産地、静岡県でのマスクメロン(アールスメロン)の等級は、「富士」「山」「白」「雪」です。富士は、その品質基準が非常に厳しい為、1000個に1個あるかないかの大変希少なものです。
品種
アールスメロン(マスクメロン)
マスクメロンとは温室で隔離ベッド栽培された「アールスフェボリット」のことです。静岡の温室アールスフェボリットは「クラウンメロン」というブランド名で流通しています。
肥後グリーン
糖度が16度前後とマスクメロンに引けをとらないメロンです。糖度が高いが日持ちの良いメロンです。
アンデスメロン
小ぶりで手ごろなネットメロンです。果肉は緑色。「安心ですメロン」から「アンデスメロン」に。
プリンスメロン
昭和40年代頃まではもっとも多く流通していた品種です。果肉は緑色とオレンジ色で肉質はマスクメロンに近く、香りも強いメロンです。
ホームランメロン
果皮も果肉も白色で、果肉はみずみずしくあっさりとしています。ホームランメロンの名前の由来は、王貞治氏がホームランを量産していた事にあやかってつけたという説、ホームラン級のおいしさという説があります。
アムスメロン
凸凹のある縦じまが特徴です。ジューシーで皮が薄いメロンです。「アムス」は父方の品種「オーゲン」の生まれ故郷オランダの首都、アムステルダムにちなんでつけられました。
らいでんメロン
北海道・積丹(しゃこたん)半島の共和町のメロン。「雷電海岸」から名付けられました。4種類の赤肉種があり、メロン畑にネギを一緒に植える栽培方法。日本初の光センサーを使ったメロンの撰果システムを導入したことで有名。
クインシーメロン
「クインシー」は赤肉でメロンの女王を意味する「クイーン」と、カロテンたっぷりで健康に良い「ヘルシー」の2語をあわせて「クインシーメロン」。赤肉メロンの代表的品種。甘みが強くジューシーなメロン。
キンショーメロン
果皮は濃い黄色で、外見はマクワウリに似ています。ほんのり甘い香りで、果肉は白く少し硬めなので、歯切れの良い食感のメロンです。
お寺のつり鐘にちなんで「金鐘(キンショウ)」と名付けられたそうです。
パパイヤメロン
果皮がパパイヤに似ていることからパパイヤメロンと名付けられました。九州ではよく食べられているそうです。果肉は白く、香りも甘みも強いメロンです。瓜のようなシャキシャキとした食感で歯ざわりが良く、とてもジューシーです。
エリザベスメロン
果皮はツルっとして鮮やかな黄色です。果肉は白色で厚く、シャクシャクとした食感です。上品な食味と香りです。
イエローキング
果皮は艶やかで鮮やかな黄色、果肉は白く、柔らかい食感です。糖度は14~15度あり、さっぱりとした甘さです。
【むつみレッド】(左)
茨城県鉾田市の方波見農園さんオリジナル品種『むつみレッド』。赤肉系メロンで果皮に細かい網が入っています。
果肉はしっかりめですが、ジューシーです。くどくない甘さでいくらでも食べることが出来ます。
【なだろうレッドメロン】
皮が薄い、赤肉メロンです。 皮が薄いので果肉が多く、お得感満載のメロンです。 糖度が高くジューシーで、なめらかな口あたりです。
【タイガーメロン】
タイガーメロンは「メロン」という名前は付いていますが、追熟しない果実です。滋賀県の「虎まくわ」と似ていますが、「タイガーメロン」はマクワウリと西洋メロンの交配なので、別物となります。味はプリンスメロンに近い味です。
【ころたん】ミニメロン
「ころたん」は家庭菜園向けネットメロンです。 果肉は緑色で果皮は完熟すると黄色になります。 まるで砂糖のように甘く、とても美味しいです。
【レイソルメロン】 神奈川
一般的なメロンに比べて少し小ぶりな黄色の白肉メロンです。黄色のメロンと言えば キンショーメロン などが有名ですが、キンショーメロンに比べ甘く感じます。スッキリとした甘さで果肉はサクサクした部分とトロッとした部分があります。
【新芳露メロン(しんほうろメロン)】 京都
丹後地方の限られた農家さんしか生産していない為、あまり出回ることがなく『幻のメロン』と呼ばれています。
香りが豊かで甘くとろける食感。全く繊維を感じません。甘みは強いのに、すっきりしています。また食べたいメロンです。
【エルソルメロン】 茨城産
“エルソル”はスペイン語で「太陽」。 JA茨城旭村 が作付けを2018年から行い、2021年から出荷された待望の新品種。
糖度が17.8度もありましたが、しつこくないさわやかな甘みで、スッキリとした後味でした。
【優香メロン(ユウカメロン)】
香りがとてもいいことから優香と名付けられました。熟すと表皮が緑色から黄色に変わり香りが強くなります。果肉は緑色で、種が少ないです。果肉が硬そうに見えるのですが、柔らかくジューシーでとてつもなく甘いです。
【パパイヤメロン】 長崎産
見た目がパパイヤに似ているのでパパイヤメロンです。九州ではよく食べられているそうです。
果肉の歯ざわりが良く、瓜の食感に似た「シャキっ」とした食感ですが、甘味が強く、とてもジューシーです。
メロン王国・茨城県のメロンリレー
オトメメロン(4月中旬~5月下旬)
春に一番早く実る品種です。ジューシーで上品な甘さです。
小さいので“乙女”メロンだと思われている方もいらっしゃるのでは? 僕もそう思っていました(笑)
【オトメメロン】は茨城県のオリジナル品種で、大島種苗店とタキイ種苗が開発されたので Oshima Takii Original Melon の頭文字を取り「OTOME(オトメ)」です。
イバラキング(4月下旬~6月下旬)
10年以上の歳月を掛け開発した茨城県オリジナル品種。
きめ細かくなめらかな肉質で、とてもジューシーです。 甘すぎない上品な甘さと香りなので、くどくなく、さっぱりしています。
アンデスメロン(4月下旬~6月下旬)
緑色の定番、肉厚で香り豊か、コクのある甘さです。
クインシーメロン(5月上旬~7月上旬)
赤肉の定番、まろやかな甘さです。
タカミメロン(6月上旬~7月上旬)
縦長の形、果肉が締まり、緑色が濃いメロンです。爽やかな甘さです。
アールスメロン(8月上旬~11月上旬)
豊かな味と香り、とろけるような口あたりで、高級メロンの代名詞。
産地視察
2020年6月20日
茨城県鉾田市へメロン(イバラキング、アールスメロン)の生産現場を見学しました。
糖度計で糖度を測ったり、収穫すぐのメロンと食べ頃のメロンの食べ比べをしたりさせて頂きました。食べ頃のメロンもいいですが、収穫すぐのメロンもフレッシュで美味しかったです。また、立体栽培で栽培されているアールスメロンは1本のつるに1つのメロンしか付けないので、美味しさも甘さも詰まっています。
メロンは漢字で
メロンは漢字で書くと「舐瓜」と書きます。メロンはスイカやキュウリと同じように、瓜の仲間として分類されているために、漢字で当て字を作るときには舐瓜という言葉を生み出しました。舐めてしまうくらい美味しい瓜です。
もともとこの「舐瓜」は「てんか」と呼び、「てんか」とは岐阜県真桑村が名産地の「まくわうり」のことを指します。昔はメロンではなく、甘さが控えめで水分が多いまくわうり(真桑瓜)が主流でした。僕は毎年、まくわうり(金俵まくわうり、銀泉まくわうり)を栽培しています。
マスクメロンの「マスク」の意味
マスクメロンの「マスク」の意味は、ムスクの香りに似ているからです。海外から日本へ持ち込まれた際に「ムスクメロン」が「マスクメロン」になりました。
※香水を使用されている方はご存じだと思いますが、ムスクっていうのは、オスのジャコウジカのお腹からの分泌物の匂いです。
アンデスメロンの原産国
小ぶりなメロンで人気のメロン「アンデスメロン」の原産国は日本です。
南米のアンデス山脈をイメージしがちになりますが、アンデスメロンは、日本の種苗会社であるサカタのタネが開発した品種です。
名前の由来は、病気に強く栽培しやすいことから、作って安心、売って安心、買って安心ということで、「安心ですメロン」という名前にする予定でしたが、これを略して「アンデスメロン」となりました。
メロンの果肉の色
メロンの果肉(食べている部分)の色は、黄緑色、白色、オレンジ色があります。
ハネジューメロンやホームランメロンが白、夕張メロンがオレンジ色(赤)です。
食べ頃のサイン
メロンの食べ頃は出荷されてから1週間~2週間前ぐらいが最適な時期の目安になっています。
メロンのツルを見て、ツルが枯れはじめたら食べ頃のメロンだと判断します。ツルが青々としていて元気いっぱいの時は、まだ実が硬い状態です。ツルのほとんどがしおれていて、根元の部分が若干黄緑色のまま残っている時が「食べごろ」です。ツルが完全に枯れていて、メロンの表皮もくすんだ色になっている時は「熟れすぎ」です。
ツルがないメロンを選ぶ場合は、「熟すといい匂いがするのでそれで判断」「買ったメロンのおしりの真ん中ではなく、おしりのまわりを押して少しへこむとOK」です。もしメロンを少し振ってみて水の音がしたならば、それは熟れすぎているメロンの証拠です。
【番外編】メロン漬け
キュウリのようなイメージですが、キュウリに比べ青臭さはなく、果肉がち密なので、キュウリよりもシャキシャキしています。 食べた後にほのかに甘さがあり、 ご飯によく合います。銀座のイバラキセンスで買いました。