目次
ゴボウを選ぶ
ゴボウは出来るだけ土つきのものを買いましょう。
ゴボウは皮に香りがあり、洗ったり切ったりすると栄養素や水分がぬけやすくなるので、選ぶ時は土付きのほうが風味もよく、日持ちもします。また、土付きを買うならゴボウは皮付きで料理したほうが香り、栄養ともにアップします。使う分だけ土を落として使う様にすると、最後まで鮮度が維持しやすいです。
まっすぐで太さが均一なものを。
弾力があり、なるべく太さが均一で、先端が緩やかに細くなっているものがよいゴボウです。触ってみて表面がかたくしまっているものを選びましょう。水分が抜けてしまったものは、みずみずしさやハリが失われ、触るとグニャッとした感触になります。細かい根(ひげ根)がでていない物もおいしいゴボウです。栄養が豊富な土で育つと細かい根が少なく育ちます。
切り口をチェック。ス(空洞)が入っていないものを。
表面にひび割れや黒ずみがあったり、先端がしおれているもの、縦に亀裂の入ったものは鮮度が落ちている証拠です。持ってみて軽いゴボウは水分が抜けてス(空洞)が入っている可能性があります。一般的なゴボウは、太くなると中にス(空洞)ができやすくなりますが、堀川ゴボウや入間ゴボウ、大浦ゴボウなどの品種では太くてずっしりしたものが良いです。
ゴボウを保存する
ゴボウは根っこの部分ですから、土に覆われている方が長持ちします。土がついているゴボウは土が水分調節をしてくれるので、土を落としてしまうとどんどん乾燥が進んでしまい、ついたままで保存しておくのが一番良いです。少し湿らせた新聞紙にくるみ立てた状態で常温保存します。洗いゴボウや新ゴボウはラップに包んで野菜室へ。
出来るだけ早く使いきるようにしましょう!!
アクの主成分ポリフェノールは抗酸化作用に優れた成分なので、水にさらし過ぎないのがポイント。
ゴボウを水洗いし、皮ごとささがきにした後、日当りの良い場所で天日干しに。水分がなくなるまで焙煎し、粉々になる位パリパリになったらゴボウ茶の完成。
ゴボウは上側と下側で食感や香りが異なります。水分が少なく硬めで香りが強い上側は煮物や天ぷら、炊込みご飯に。下側は水分が多く食感がシャキシャキしているので和え物やきんぴら、サラダに。
乾燥ごぼう。乾燥ゴボウは水分がなくなる分、うまみやコクがアップしてさらにおいしくなり、簡単に保存できます。
ゴボウの豆知識
薬草として使っていた中国から伝来
ゴボウは古く(平安時代頃)薬草として使われていた中国から伝来したと云われています。漢語の「牛蒡」が語源です。日本では「キタキス」「ウマフブキ」と呼ばれていました。
ゴボウの食物繊維は 2 種類ある
ゴボウに多く含まれるポリフェノールの一つ「クロロゲン酸」をご存知でしょうか。クロロゲン酸には、脂肪の蓄積を予防する効果や、肝臓の代謝を助ける働き、老化を予防する効果があります。ゴボウの中でも特にポリフェノールを多く含むのが皮の部分だと言われていますので、泥つきゴボウがおススメです。しかし、料理では捨てられたり、水や酢水につけることで栄養素が失われてしまうことも多いので、皮の部分の栄養も丸ごと摂れるゴボウ茶も良いです。ゴボウには抗酸化作用の強いポリフェノールの一種であるタンニン、サポニン、クロロゲン酸、イヌリンなども多く含まれています。ゴボウの特徴である食物繊維ですが、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の 2 種類両方が含まれています。食物繊維は善玉菌に必要な栄養素ですが、ゴボウは乳酸菌やビフィズス菌に必要なオリゴ糖も豊富に含まれています。
水溶性食物繊維「イヌリン」
水溶性食物繊維「イヌリン」は、水に溶けやすい性質を持つ食物繊維です。便の水分量を増やし、柔らかくする効果が期待できます。また血糖値の上昇を抑える、善玉菌を増やし腸内環境を整える、血中に含まれる脂肪を低減するなどの作用があるといわれています。イヌリンは乳酸菌のエサとなり腸内環境を整えるので、味噌など乳酸菌を含む食材との食べ合わせが良いです。
不溶性食物繊維「リグニン」
不溶性食物繊維の「リグニン」はコレステロールを低下させる効果や腸の働きを活発にする作用があるといわれています。切り口からたくさん発生し、時間が経つと増えるので、「ささがき」や「千切り」などにした後、しばらくしてから調理するのがおすすめです。またリグニンは、肉類と一緒に調理すると効果が高まるので「ごぼうと牛肉の柳川風」はピッタリです。
ゴボウのポリフェノールには、においを消す効果があります。だから肉や魚と一緒に料理すると臭みがゴボウのポリフェノールのおかげで減ります。
ゴボウと言えば、きんぴらごぼう
きんぴらは漢字だと「金平」と書きます。これは江戸時代初期に流行した浄瑠璃の 1 つ「金平浄瑠璃」の主人公、坂田金平(さかたのきんぴら)の名からとったものです。坂田金平の人気が高まるにつれ、千切りゴボウの甘く炒め煮したものを「きんぴらごぼう」と呼ぶようになりました。
こんな話も・・・木の根
太平洋戦争中、日本人も食べるものがほぼない中でしたが、欧米人捕虜にはきちんとした食事を提供しようと、ゴボウを食事に出した。欧米人からするとゴボウは「木の根」だと思い、木の根を食べることを強要され虐待されたとし、戦後日本兵が戦犯として裁かれたこともあった。
マジックテープ発明のきっかけ
マジックテープとは、株式会社クラレの商標で、正式には「面ファスナー」といいます。日本では面ファスナーよりマジックテープのほうが知られていますが、スイス人によって発明されました。1941年、スイス人のジョルジュ・デ・メストラル氏が犬とアルプスを登山していた時に、ゴボウの実が犬の毛に付いていました。付いたものを取ろうとしてもなかなか取れませんでした。犬にくっついていた実をよく観察すると先がカギ状になっていることから、マジックテープの発明につながったといわれています。
※ゴボウの実は、先をカギ状にすることで動物などにくっついて分布域を広めたいと進化したのです。
国内で栽培されるゴボウの 9 割以上は滝野川ゴボウの系統と云われています。
滝野川ゴボウとは、武蔵国豊島郡滝野川村(現在の東京都北区滝野川付近)で栽培と品種改良が行われ、味のよさから全国に広まったゴボウです。
新ゴボウとは初夏頃に収穫された若取りのゴボウです。生長の途中なので、繊維が柔らかくて、優しく上品な香りがします。柳川鍋やサラダによく合います。
漬物でおなじみの山ゴボウは、栽培したモリアザミというアザミの一種で、その根がゴボウに形が似ていることからヤマゴボウと呼ばれるようになりました。
京都・聚楽第の堀に埋めたゴミの中に、食べ残しのゴボウが捨てられていたものが大きく育ったことから年越ゴボウの栽培が始められたと云われています。
おせち料理にゴボウを使う理由は、ゴボウは薬効に優れた食材で、力強く大地に根付くということから「健康」の願いが込められています。また細く長いゴボウは長寿につながる縁起物としても考えられています。たたきゴボウは味が染み込みやすいように、ゴボウの繊維を叩いて潰すのがポイントです。
伊勢崎ごぼう【夏ごぼう京香(きょうか)】 【秋ごぼう甘久郎(かんくろう)】
夏ごぼう京香の糖度は16、秋ごぼう甘久郎の糖度は18もあります。糖度が高いということが必ずしも舌で感じる「甘い」ということではないですが、この数字はとても高いです。
高糖度の理由は、3年は畑を休ませるので連作をしないこと。サンゴの化石やカニの殻などを使用した肥料で微生物を増やしているので、土がふかふかだということです。ごぼうを収穫したら冷蔵庫で10日間寝かせ、ごぼうに含まれているイヌリンをフラクトオリゴ糖に変化させているとのことです。
秋ごぼう甘久郎は9月下旬に収穫し、11月まで大型冷蔵庫で低温熟成させるようです。そうすることでごぼうに含まれる多糖類のイヌリンがフラクトオリゴ糖に変わり、甘くなるとのことです。
【常盤(ときわ)ごぼう】 信州の伝統野菜
常盤ごぼうの特徴は、千曲川の河川敷の肥沃な土壌で栽培されているので、スが入りにくくアクが少ないことです。江戸の滝野川村の「赤茎ごぼう」がこの地に伝わり、常盤ごぼうになったらしいです。煮るととても柔らかくなるので、「丸煮」がおススメです。
【はたごんぼ】和歌山
和歌山県の北部、高野山の麓にある橋本市西畑地区で江戸時代から食べられていたゴボウです。 「はたごんぼ」の「はた」は西畑の「はた」、ゴボウの「ごんぼ」です。 太いゴボウなので硬そうに見えますが、実際は柔らかく、すごく香りもいいゴボウです。
【大浦太ごぼう】千葉伝統野菜
見た目は樹の根のような形ですが、日本一おいしいとも言われるごぼうです。見た目は硬そうですが、一般的なごぼうに比べると繊維質は少なめで、肉質はやわらかく、煮物が定番です。芯部の空洞に肉や野菜など詰めて煮ても美味しいです!
滝野川ごぼう 土の入っていた袋を利用して土の深さを確保し、滝野川ごぼうを栽培してみました。 ごぼう特有の香りや味が濃く食べごたえもあるので、国内で栽培されるごぼうの9割以上は、滝野川ごぼうの系統と云われています。
皮をむかずに、丸めたアルミホイルで泥を落とすようにこするのがおススメです。皮にあるカリウム、イヌリンをはじめ栄養の損失を少なくできます!