目次
大根を選ぶ
一本丸ごと買う場合は、まず葉を見て、持った時にずっしりと重い物を選ぼう
葉がみずみずしく、放射線状に広がっているものがおすすめです。葉の付け根の真ん中部分には花を咲かせる芽がありますが、芽が伸びているものは成長のし過ぎた大根です。葉をカットして売っている場合、カットされた下の部分の切り口に水気があって、乾燥していないものを選びます。上部の青色部分が濃い緑ですと食感が悪いことがあります。下部の白い部分は、まっすぐ伸びていてハリとツヤがあり真っ白なものが上質です。適切な水でしっかりと栽培されたものはひげ根の数も少なく表面も滑らかです。「ひげ根の穴」が真っ直ぐに並んでいる大根は生育条件が良い大根です。
カット大根の場合、目的によって選び分けて買いましょう
大根のどの部分でも、切り口がみずみずしくてきめ細かいものを選ぶのが鉄則です。大根は冬には甘くなり、夏には辛味が強くなります。旬である冬の大根は特に甘みが増しますが、一番甘みがあるといわれるのは葉元部分です。葉に近いほど甘くなり、同時に繊維の関係で歯ごたえがあります。シャキシャキ感があるという事で、漬物やサラダに向いています。大根おろしにする為に買う場合(薬味にしたい時)は、とんがった細い方を買うようにしましょう。真ん中の部分は、いちばん柔らかく、辛みと甘みのバランスが絶妙です。厚切りにして、煮物にしたり、おでんに入れたりと、オールマイティーな部分です。
大根の葉は捨てないで
大根の葉は緑黄色野菜です。大根の根は淡色野菜ですが、葉は緑黄色野菜に分類されます。葉の部分には、βカロテン・ビタミンC・ビタミンK、葉酸といったビタミンや、カルシウム、カリウムなどのミネラルを含んでいます。β-カロテン(ビタミンA)は体を酸化や老化から守ってくれる抗酸化ビタミンで、動脈硬化の予防効果のある葉酸、骨の形成にかかわるカルシウムやマグネシウム、貧血予防のための鉄分、高血圧の除圧作用のあるカリウムも豊富に含まれます。カルシウムの量も小松菜に匹敵するほどで、最も身近な健康食材でもある「ほうれん草」と比較するとビタミンCが約 5.5 倍、鉄分は約 1.5 倍、カルシウムは約 5.3 倍も含んでいます。
葉はふりかけにして食べるのがおススメ
葉に含まれているβカロテン、ビタミンE、ビタミンKは脂溶性なので、大根を加熱調理しても減少しません。むしろ油を使って調理することで吸収率がよくなるので、ふりかけなどにするのがおすすめです。
大根が辛いかどうか分かるポイント
大根の「ひげ根の穴」 「ひげ根の穴」が真っ直ぐ一列にに並んでいるのは辛味が少ない大根で、 「ひげ根の穴」が斜めにらせん状になっているのは辛味が強い大根です。 大根は通常まっすぐに伸びますが、土壌が固いとドリルみたいにねじれ、成長過程でストレスを受けているので辛いといわれています。
大根を保存する
大根の葉はスグに切り分ける
大根は葉や茎がついていると水分が失われ、しなびやすいので、買ってすぐに付け根近くから葉を切り落とし、根の部分と分けて保存します。葉は切り口のところにキッチンペーパーを巻き、ビニール袋に入れて立てた状態で保存します。根の部分は、ラップでくるむか、濡れた新聞紙で包んでナイロン袋に入れ冷蔵庫に入れてください。大根おろしにして小分けにしたり、固めにゆでてからなら冷凍保存もできます。乾燥させて切り干し大根にする方法もあります。
紅くるり大根。
外皮だけでなく中の果肉も鮮やかな紅色をした赤大根です。
黒丸大根。
ヨーロッパから入ってきた黒い大根の品種です。ラディッシュの一種です。
紅しぐれ大根。
外皮の部分が紫色です。この色素はアントシアニンで、抗酸化作用があります。
紅芯大根。
中が鮮やかな紅色をしている大根です。
大根の豆知識
大根の歴史
大きな根を意味する大根(おおね)から、大根と名付けられたと云われています。エジプトでは紀元前から栽培されていたと考えられています。日本には奈良時代には伝わっており、「古事記」や、「日本書紀(720 年)」にも記されています。
※古事記では清白(すずしろ)の名で記載されています。
大根の本当の色は白ではない
大根の本当の色は白ではなく、無色透明です。大根の表面には無数の小さな穴が開いていて、その穴の 1 つ 1 つがデコボコしていてここに光が当たると乱反射が起こり、人の目に届くまでに白い色として見えています。
焼き魚に大根おろしは食べ合わせ◎
「イソチオシアネート」という辛味成分
大根おろしの辛さは「イソチオシアネート」という辛味成分です。このイソチオシアネートには血液をさらさらにする作用、解毒作用などが期待でき、生の状態で食べると効力が強く発揮されます。また生の状態の大根に含まれている「ジアスターゼ」には消化を助ける役割があり、胃炎やアレルギー疾患の予防・改善にもなる成分が含まれます。ジアスターゼは熱に弱く空気に触れると効果が低下するので、食べる直前に大根をすりおろすようにしましょう。焼き魚や焼肉に大根おろしが添えられるのは味だけではなく、体にもいいのです。
大根をサラダで(生食で)食べても辛みを感じません。 同じ生の状態で食べているのに、どうして大根おろしにすると辛みを感じるのか?
大根はすりおろされ、細胞が壊れると化学反応が起き、イソチオシアネートを発生します。イソチオシアネートは揮発性なので、大根をおろして5分程度で辛さはピークとなりますが、その後辛さは減少します。30分もするとほぼ辛みは抜けている状態です。
大根おろしは皮も一緒にすりおろすのがおススメ
イソチオシアネートは大根の皮に近い外側ほど含有量が多いので、大根おろしの際は、皮も一緒にするのがおススメです。生の状態で強い効力を発揮する大根の殺菌作用ですが、熱に弱いです。しかし加熱するとイソチオシアネートの辛味が低下し、逆に抗酸化作用が強くなります。食物繊維(ペクチン)は熱に強いので、加熱後も腸内環境の改善やデトックス効果が期待できます。切り干し大根にすると、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、マンガン、ナイアシンの含有量が増えます。
いつも食べている野菜の、捨てられがちな部分を使ってみましょう
大根で窓ガラスや鏡をこすると曇りが取れてピカピカになります。
大根には消化を助ける「ジアスターゼ」という消化酵素があり、タンパク質やデンプンを分解するので、水垢等を溶かし出す効果があります。特に葉の近くには、「ジアスターゼ」が豊富に含まれているので、ヘタ部分でこするのがおススメです。短い葉っぱの部分を持ち手にすると、簡単にこすることが出来ます。
また大根の「ジアスターゼ」には漂白効果もあるので、白い壁などが黄ばんでいる時は、大根のしぼり汁で壁を拭くと効果を発揮します。
美味しくするひと手間
大根を食べた時に“苦い”と感じたことがあるかもしれません。それは大根に含まれるアクのせいです。大根のアクはクロロゲン酸と呼ばれるポリフェノールの一種で、コーヒーなどにも含まれるもので、抗酸化作用や、脂肪の蓄積を抑える効果があると言われています。
最近の大根は品種改良もされ、アクが少ないものもありますが、気になる方はアク抜きをしましょう。
米のとぎ汁で下ゆでする
米のとぎ汁には米ぬかが含まれており、ビタミンやデンプン等の成分がたくさん含まれ、大根をとぎ汁で茹でるとこれらの成分が大根の中に入っていきます。
また、とぎ汁にある糠の成分が大根から出たアクを包み込み、大根の中に再び戻るのを防ぎます。→大根本来の甘みも引き立たす。
とぎ汁のデンプンで大根の形が崩れにくくなります(大根の真ん中が凹むのを防ぐ)。
白く煮あがる。
大根にとぎ汁の香りが付くので、真水でもう一度茹でる必要がある。
いろいろな大根
【横川つばめ大根】 元々鹿児島の在来品種大根です。
「播種から収穫までが,飛んでいるツバメのように早いから」つばめ大根と名付けられました。 煮物に最適な大根です。
【山内家伝来大根】(高知)
根が曲がっていて、葉が大きく柔らかいのが特徴です。 「山内家伝来野菜」の山内家とは、土佐藩藩主、山内一豊公です。 生まれの尾張から土佐に野菜を持ち込んだとされ、愛知の伝統野菜「方領だいこん」にとてもよく似ています。 葉の旨みが濃く、とても美味しい大根です。
【祝だいこん】奈良(大和の伝統野菜)
細くて短いので、間引きした青首大根みたいですが、これは別名「雑煮大根」とも呼ばれている大根で、角が出来ない(角が立たない)よう輪切りのままお椀の中に入る大きさになっています。
【小田切赤首地大根】長野市
長野市小田切地区で代々受け継がれてきた大根です。かたい大根なので、長野では漬け物用として利用されることが多いようです。
【松館しぼり大根】秋田
松館(まつだて)しぼり大根は、大根の中で日本一辛い大根と言われています。
【山田ねずみ大根】近江の伝統野菜
やや下ぶくれで、細い根が伸びているのが「ねずみ」に似ていることからねずみ大根と言われています。首の部分まで真っ白で、皮が薄いです。緻密で締まりがあり、パリッとした歯触りの大根です。
【苅部大根(かるべだいこん)】
横浜の苅部農園といえば、やっぱりこれです。10年かけて品種改良したオリジナル野菜「苅部(かるべ)大根」(葉元が赤い大根)です。受験生のみなさん、「受かるべ大根」食べて合格してください!
【洲島フルーツ紅大根】 山形
「洲島(すのしま)フルーツ紅大根」は、見た目は「紅くるり大根」と似ていて、外皮が全部紅色で、中の果肉も紅色です。果肉はみずみずしさと柔らかさがあり、“フルーツ紅大根”という名前の通り糖度7度もある大根です。
【沼山大根】秋田
秋田県横手市沼山地区で受け継がれてきた在来品種の大根です。元々は #いぶりがっこ にする大根だったようですが、煮ても焼いても美味しい大根です。肉質が非常に硬い大根ですが、加熱するとホクホクとなる大根です。
【三浦大根】神奈川
中ぶくれが特徴の三浦大根は、肉質がち密で柔らかいので、煮物やおでんがとっても合いますよ。
【亀戸大根】東京
大根はビタミンCが豊富ですが、中でも亀戸大根は一般的な大根の2倍のビタミンCがあります。亀戸大根は葉が大きく柔らかいので、葉も一緒に食べます。葉はビタミン類やミネラルが豊富な緑黄色野菜です。
【赤根大根 】 長野
信州伝統野菜の赤根大根は、見た目が大根に似ているので「大根」の名が付いていますが、本当は「かぶ」です。肉質が柔らかいので甘酢漬けにしました。赤根大根は別名、清内路蕪(せいないじかぶ)とも呼ばれます。産地の清内路村は、長野県下伊那郡の西部に存在した村で、2009年3月31日、同郡阿智村に編入されて消滅しましたが、清内路きゅうり 清内路黄いも 清内路にんにく など伝統野菜が多くある地域です。
【桜島大根】
繊維質が少なく、肉質はち密です。煮崩れしにくいので、煮物に最適ですが、生で食べても辛みが無く、ほんのりと甘味があります。これはふるさと納税の返礼品として届きました。重さは10㎏ちょうどでした。
家庭菜園
大根の試し掘り。
今年栽培しているのは「源助大根」(集合写真:右)「山田ねずみ大根」(集合写真:中)「方領大根」(集合写真:左)です。方領大根は大きくなると勾玉のように曲がります。宮重大根 とともに日本二大大根の1つです。源助大根はおでん、ブリ大根など煮物に最適な美味しい大根です。 2020年12月
窓ガラスや鏡の曇りを取り除くことができます!