目次
パクチーを選ぶ
旬のパクチーは苦みが少なく茎に甘みがあります
葉の色が鮮やかでみずみずしく、緑色が鮮やかなもの、茎があまり太くないものを選びます。葉が黄色っぽくなってきたら、鮮度が落ちた証拠です。根付きのままのものがあればその方が日持ちしやすいのでおススメです。岡山県のパクチーは通称「OKAPAKU」と呼ばれていて、マイルドな風味で食べやすくなっています。沖縄県与那国島は日本最南端のパクチー生産地で、与那国方言で「クシティ」と呼ばれています。旬は 11~1 月で、本土のパクチーよりも青臭さや苦味がマイルドで食べやすいのが特徴です。葉は刻んだり、ちぎったりして、ドレッシングや和え物などに使用します。茎は細かく刻み、トッピングや炒めもの、汁物の風味づけなどに使用します。根は軽くつぶし、スープやカレーなどの煮込み料理に使用します。
パクチー、コリアンダー、シャンツァイは同じもの
パクチーというのはタイ語で、英語ではコリアンダー、中国語では香菜(シャンツァイ)と呼ばれています。違う野菜ではなく、呼び名が異なるだけです。中国、タイ、ベトナム、中東、メキ シコなど、スパイスの効いた料理に欠かせない香味野菜です。暑い国の香味野菜というイメージが強いですが、地中海東部が原産でパクチーの発芽に最適な温度は 18~25℃、暑いのが苦手で、気温が高すぎると育たないそうです。生の葉や茎だけでなく、根も食用として使用し、種子もスパイスとして利用されます。熟した種子には柑橘系の香りに似た芳香があり、インドや日本ではカレー(カレー粉)に欠かせないスパイスとして利用されています。古代ギリシャでは、種子は「薬」扱いでした。
美容・健康ブームで注目。栄養価がスゴイ
パクチーには、ビタミン B1、ビタミン B2、ビタミン C、ビタミン E、βカロテンなど、さまざまな種類のビタミンがバランス良く含まれています。葉には強力な消化促進作用、食欲増進効果があり、夏バテに有効です。豊富に含まれるβカロテンは、パクチー約 50g の摂取でβカロテンの一日の必要量を満たします。ビタミン類がたっぷりとバランス良く含まれていますので、疲労回復やアンチエイジングに効果的です。ガンなどの原因になる活性酸素の体内増加を抑える効果もあり、抗酸化作用に非常に優れています。最近特に注目されているのが「デトックス(水銀を排出する)効果」です。その場合、生より、加熱したほうがデトックス効果は高いようです。
パクチーを保存する
香りも薄れるので 2〜3 日以内に早めに食べましょう
パクチーは乾燥すると風味が落ちるので、フレッシュな状態で使用します。乾燥しないよう濡れた新聞紙などに包みビニールやポリの袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れます。パクチーも寝かせておくと、上に伸びようとする働きで茎が曲がり、栄養がなくなっていきますので、出来るだけ立てて保存しましょう。根付きのものは水を入れたグラスなどに差しておけば室内で活かしておくことができます。
元々はベトナムが発祥の生春巻き。ライスペーパーでパクチーの香りを包み込み、チリソースをつけて食べるのが定番です。
根がついているパクチーを使用すると根から良いダシがとれます。葉は食べる直前に入れると良いですよ。
タイ料理の春雨のサラダ「ヤムウンセン」は冷たい料理のイメージですが、本場タイでは温かい温菜で出てきます。
デトックス効果とアンチエイジング効果の期待できるパクチーを使った鍋は、アクセントとしても最高の食材です。
パクチーの豆知識
パクチーが苦手な人は、種子を香辛料として使ってみましょう
パクチーと言えば、葉を使うイメージが強いです。中華料理をはじめとしてタイ料理、インド料理などではおなじみです。西洋料理では、種子の部分を乾燥スパイスとして肉料理に使用し、粉末にしたものをパンや菓子類に使用します。香辛料として使われていますが、葉はほとんど使用しません。
世界各国で昔からありました
世界的には非常に歴史が古く、古代エジプトで紀元前 1500 年頃には、調理や医療に使われていたと言われます。古代ギリシャやローマでは、主に薬草として、腹痛・めまい・関節炎の治療などに用いられ、古代インドでは肉類の保存料やスパイス、安眠剤として、また中国では、消化器系のトラブルに対して生薬として使われていました。日本には平安時代の書物にも記載があり、平安時代にすでに中国から渡来していました。「古仁之(コニシ)」という名前で呼ばれていたようです。しかし香りが強すぎたためか、獣肉食をしなかった日本ではあまり必要とされず、その後は定着しなかったようです。江戸時代の新井白石の著書には食用としてではなく、薬用としての記載があります。パクチーの葉の独特の香りが苦手な方でも、香辛料のコリアンダーは穏やかな香りなのでそこまで抵抗はないかな…って思います。