野菜の切り方で料理にアクセントを
2021.08.04
野菜を用途に合わせていろいろな形に包丁で切るということは、特別なことでも何でもなく、ごく一般的に行われていることです。
かぼちゃや芋類のようにかたいものは、力が入りやすいように「押し切り」で包丁を奥に押すようにして切ります。真下に切ろうとするのは、力任せで食材を切ることとなり、食材の断面がつぶれてしまいます。
逆にやわらかいものは、食材が崩れやすいので、包丁を手前に引く「切り引き」で切ります。
包丁は基本的に食材に対して「押す」または「引く」で切りますが、それは食材の持つ繊維を崩さない様にしているからです。しかし、野菜によってはその繊維を断ち切ることで、野菜の味の感じ方が少し変わったりします。
目次
繊維に沿って切るか、繊維を断ち切るようにして切るか
繊維に沿って切る場合と、繊維を断ち切るようにして切る場合の大きな違いは何か。
繊維に沿って切ることで歯ごたえを残し、食感を楽しむことができます。
繊維を断ち切ると、やわらかな食感になり、火の通りも早くなります。しかし繊維に沿って入っているアクが繊維を断ち切ることで流出するので、苦味を感じたりします。
・繊維に沿って切る
→歯ごたえ、歯触りがよい
・繊維を断ち切るようにして切る
→柔らかく仕上げる
タマネギ
タマネギを切った時に目が痛くなるのは「硫化アリル」という成分が原因です。この硫化アリルは揮発性が高く、タマネギの辛みの要因でもあります。
タマネギの繊維の向きは分かりやすいですね。この繊維の向きに沿って切るのか(縦切り)、繊維を断ち切って切るのか(横切り)で辛みの感じ方が変わります。
繊維の向きに沿って切る(縦切り)は、繊維に沿っているのであまり細胞を壊しません。そのため硫化アリルが抜ける量も少なく、切った瞬間の辛み成分の発生が少ないです。しかし、食べる時に口の中でタマネギを噛み細胞を壊すので、その時に辛み成分が出てきます。タマネギには繊維が残っているので、食べた時に「シャキシャキ」と感じます。
逆に、繊維を断ち切って切る(横切り)の場合、タマネギの繊維に対して垂直に切るので多くの細胞が壊され、辛み成分が多く流出します。辛み成分が抜けるので、生食で食べる際に食べやすくなります。(水にさらす必要はありません。空気に触れると辛みが抜けやすくなります。) 繊維を切っているので、食感は柔らかくなります。
切った時にタマネギが濡れているのは、切れた繊維から水分が出ているからです。早く火を通したい場合、繊維を断ち切るようにして下さい。
・じっくり炒めて甘みを出したい
→繊維の向きに沿って切る(縦切り)
・サラダ
→繊維を断ち切って切る(横切り)
ピーマン
ピーマンが苦手な理由は大きく分けると2つです。1つは苦味、もう1つは食感です。
繊維の向きに沿って切る(縦切り)は繊維に沿っているため、あまり細胞を壊さないので、苦味や臭みを感じにくくなります。繊維が残っているので、食感はシャキシャキとしています。
シャキシャキとした食感が苦手な方は、ピザに乗っているような輪切りにするとシャキシャキ感がなくなり、柔らかく感じることができます。
ピーマンの苦み成分は油に溶ける性質があるので、油通しや油を使った調理をすると苦味が少なくなります。
・苦味が苦手
→繊維の向きに沿って切る(縦切り)
・シャキシャキ感が苦手
→繊維を断ち切って切る(横切り)
ニンジン
ニンジンの繊維の向きは上から下に向いています。繊維の向きに沿って切るとシャキシャキとした食感です。繊維を断ち切って切ると柔らかく、味が染みやすくなります。また繊維が壊れることで甘みが出て来ます。ニンジンをおろしてドレッシングなどにすると、ニンジンの甘さが際立ちます。
ニンジンは料理によっていろいろな切り方をします。例えばカレーやシチューには乱切り、豚汁にはいちょう切り、サラダには千切り、ミートソースにはみじん切りです。各家庭でも切り方は様々だと思いますが、我が家ではカレーの場合、ジャガイモは角切りですが、ニンジンは乱切りにします。乱切りにすることでニンジンの表面積が増え、早く煮えるので、味も染みやすいからです。
・短冊切り、細切り、千切り
→繊維の向きに沿って切るのでシャキシャキ感を活かす
・輪切り、半月切り、いちょう切り
→繊維を断ち切っているのでやわらかい食感
・乱切り
→繊維を断ち切り、断面積が多いので味が染み込みやすい
・すりおろす
→甘さMAX