秋田県の地野菜・伝統野菜 1

2023.01.09

協  力 : 秋田県農林水産部農業経済課販売戦略室
画像協力 : 秋田県
       秋田県観光文化スポーツ部 観光振興課

ひろっこ

秋田の春と言えば「ひろっこ」をイメージされる方も多いのではないでしょうか。ひろっこは、雪を掘り起こして収穫したアサツキの若芽のことです。雪の下で太陽の光に当たらないので白っぽく曲がり、先のほうは少し黄色です。代表的な調理法としては、さっと湯がき酢味噌で和えて食べる「酢味噌和え」ですが、炒めて食べても美味しいです。アサツキはネギに似ていますが、ネギとは別種類の野菜です。

秋田さしびろ

「秋田さしびろ」は由利本荘市や秋田市で栽培されている青い葉が特徴の九条ネギ系です。九条ネギ系なので、葉が柔らかく、葉の内部にぬめりがあります。越冬性が高く、春雪解けしてからの成長が早いので秋田に春を告げる野菜の一つ。3月~5月に流通しますが、収穫後数日で葉が黄色く変色するので、地元を中心に流通します。酢味噌和えや貝焼き(かやき)に入れて食べます。

仁井田菜(青菜)

秋田市近郊の仁井田地域で昔から栽培されてきた越冬性の高いツケナの一種です。露地で栽培されているため、雪解け後に成長します。寒さに耐えるため(凍ってしまわないよう)に糖を溜めるので苦みもありますが、甘くもある野菜です。お浸しや炒め物などで食べます。

亀の助ねぎ

「亀の助ねぎ」は旧大曲市の在来種で「下仁田ねぎ」を少し長くしたような一本ネギです。石橋ごぼうの種を継承している石橋家で代々育成されたネギで、秋に収穫せずに越冬させ、春に収穫して食べるネギです。冬の寒さを乗り越える春ネギは硬くなるものが多いですが、「亀の助ねぎ」は軟らかく甘みが強いのが特徴です。

秋田ふき

「秋田ふき」は茎の太さは3~6cmほど、茎の長さ1.5~2mくらい、葉も1~1.5mくらいの幅のある大型のふきで、秋田市仁井田地区と鹿角市で栽培されています。秋田市仁井田地区では江戸時代から栽培されていて、6月のフキ刈りは市の風物詩になっています。空洞が大きいのも特徴で、一般的なふきよりも少しかためなので、砂糖漬けや佃煮など加工されることが多いです。

じゅんさい

世界じゅんさい摘み採り選手権大会

じゅんさい鍋

「じゅんさい」は淡水の沼に生息する水草の一種です。秋田県三種町はじゅんさいの生産量が日本一で、じゅんさいは一粒一粒手作業で摘み取られます。茎からでてくる新芽はツルッとした食感のゼリー状のヌメリで覆われており、プリプリした茎や芽の歯ごたえとのマッチでとても美味しいです。酢の物やお吸い物で食べるのは定番ですが、秋田では鍋に入れて食べる「じゅんさい鍋」も名物です。

阿仁ふき

北秋田市阿仁や能代市で栽培されている「ふき」です。マタギの里「阿仁」で栽培されていることから、この名前になりました。一般的なふき(水ふき、山ふき)に比べ大きく、葉柄の赤みがほとんどないのが特徴です。繊維、苦味も少なく、見た目もきれいな淡緑色です。サクサクとした食感は水煮にしても健在です。「阿仁ふき」を元に育成された「こまち笠」もあります。

五葉豆

秋田県で栽培される在来種の枝豆で、秋田県オリジナルの枝豆「あきた香り五葉」のベースになりました。「五葉豆」という名前は小葉数が五枚 (一般的には三枚) あるのでこの名前が付きました。表面の細かい毛は茶色、豆の色は黒、緑、茶とありますが、香りと甘みが強い黒豆の代表品種です。黒豆として有名な「丹波黒」は東北地方では環境的に栽培が難しいので、この五葉豆が栽培されています。

八木にんにく

「八木にんにく」は、江戸時代から横手市増田町の八木地区で栽培されてきた希少な品種です。八木地区は皆瀬川に面し、砂が多く水はけの良い土壌のために美味しいニンニクが育ちますが、ほとんどが自家消費用に栽培されているため、地元のスーパーや朝市等でしか手に入りません。一般的なニンニクよりも大玉で甘みがあり、赤みがかっている外皮が特徴です。6月、本格収穫前の若い青ニンニクは辛みが少なく甘味が強いので、地元では味噌をつけて丸かじりして食べられます。八木にんにくは葉の部分も柔らかいので、刻んで炒め物などにも合います。

関口なす

「関口なす」は江戸時代の文献にも記録が残る丸ナスで、湯沢市関口地区で古くから栽培されてきました。直径4~5㎝程の卵型でヘタの境目がくっきり白いのが特徴です。皮が薄く果肉は締まっているので、パリッと食感が良く、甘みがあります。旬は一般的なナスより少し遅く、9~10月頃「秋ナス」の季節に旬を迎えます。漬物が一般的ですが、ポン酢での揚げびたしも美味しかったです。長期保存用の「なすのこうじ漬け」にも使われているナスです。

仙北丸なす

「仙北丸なす」は、大仙市神岡地域で栽培されてきた鮮やかな紺色の在来種の丸ナスです。果皮、果肉がしっかりしているので、煮崩れると困るような煮物や蒸しナスに最適です。もちろん炒め物にも合います。ひとまわり小さいうちに収穫して、玄米と麹で漬ける「なすのふかし漬け」に用いられます。甘みが強く、渋みやえぐみは弱いです。

新処(あらどころ)なす

なすの花ずし

「新処なす」は、横手市十文字町新処地区で栽培されている巾着型のナスです。水分が少なく、皮が薄いため漬物に向いているので「なすの花ずし」に使用されるナスです。「なすの花ずし」は“すし”と名前が付いていますが寿司ではなく、県南地域伝統の漬け物で、ナスの中に食用菊、唐辛子、餅米を詰めて麹に漬け込んだものです。漬け床に米をつかう事から“すし”と言います。果肉はギュッと締まっているので、煮ても焼いても煮崩れしにくいです。

沼山だいこん

横手市沼山地区で受け継がれてきた在来品種のダイコンです。栽培に手間がかかること、集落の高齢化などの理由で2004年に一度は途絶えてしまいましたが、2018年から復活しました。上部が緑色をした青首大根で、一般的な大根に比べて水分が少なく、肉質がかためで締まっているので「いぶりがっこ」に最適なダイコンと言われています。煮ても焼いても美味しく、加熱するとホクホクとなるダイコンです。

ちょろぎ

甘酢漬け

「ちょろぎ」は湯沢市皆瀬地区で栽培されています。おせち料理で黒豆と一緒に、甘酢漬けにしたちょろぎが盛りつけられていることが多いのでご存じの人も多いかも知れません。シソ科の宿根草で地下茎の先が肥大したもので、古くから「長老喜」「長老木」などの縁起の良い漢字で表すことが多いので、お祝いの席のおめでたい食材として用いられてきました。ちなみに黒豆と一緒に添えられているのは「まめで達者で、長生きを喜ぶ」という意味からです。

関連する記事