宮城県の野菜・果物
2023.02.01
宮城県は東北地方の中部にあり、西の県境一帯は標高1000m以上の奥羽山脈が連なっていますが、中央部から太平洋岸にかけては標高100m以下の仙台平野が広がっています。北上川、鳴瀬川、名取川、阿武隈川などからが運んだ堆積によって生まれた肥沃な仙台平野は、古くより稲作や野菜の栽培に適している地域です。古くから受け継がれている野菜もたくさんあります。
協 力 : 宮城県農政部 食産業振興課
画像協力 : 宮城県
せり
宮城県の「せり」は、江戸時代から栽培されている特産品の一つで、生産量は全国でもトップクラスです。せりは競うように伸びる姿から「競り」と名づけられたせりは、豊富な地下水が湧き出る名取市上余田地区、下余田地区で主に生産され「仙台せり」というブランド名で、石巻市河北で生産されるせりは「河北せり」というブランド名で出荷されています。「せり鍋」が有名ですが、酢味噌和え、天ぷらにしても美味しいです。
パプリカ
パプリカは輸入品のイメージが強いですが、宮城県の生産量は全国1位です。宮城県は東日本大震災で津波による甚大な被害を受け、復興のため施設園芸の先進国、オランダの最新鋭の設備を導入し、パプリカ栽培が始まりました。温室内で養液栽培を行ない、徹底した栽培管理で国産パプリカを生産しています。宮城県は比較的夏が涼しく冬が温暖なためパプリカ栽培に適しています。
大豆
宮城県は北海道に次ぐ大豆の産地です。収穫量も全国第2位を誇ります。昔から宮城には大豆をすり潰したペーストを味噌汁に入れた「呉汁」や、「ずんだ」など大豆(枝豆)を使った郷土料理が多くあります。大豆の目(へそ)が白いことから名付けられた「ミヤギシロメ」という味や香りが優れている宮城県発祥の在来種は、極大粒で和菓子、煮豆、豆腐や味噌の原料として多く利用されています。
米
『シャリ=ササニシキ』というくらい日本を代表する品種の「ササニシキ」、うまみ、粘り、ツヤ、香りのバランスがよい「ひとめぼれ」、そしてもちもち感を実現した「だて正夢」、玄米=かたいの常識をひっくり返した「金のいぶき」。「金のいぶき」は柔らかく粘りのある炊き上がりのもっちり感、玄米ならではの胚芽のぷちぷち食感を楽しむことが出来ます。
いちご
宮城県は東北屈指のいちごの生産量を誇ります。冬が比較的暖かく夏が涼しい気候を活かした県内随一の産地である亘理町・山元町は、東日本大震災の津波で栽培施設の9割以上が壊滅する甚大な被害を受けましたが、その後、新たな「いちご団地」の建設で復興に取り組み、最新鋭の高設ベンチ・養液栽培で、さまざまな品種のいちご生産を行っています。
「もういっこ」は宮城県オリジナル品種です。大粒で果肉がしっかりしていて食べ応えがあり、すっきりとした爽やかな甘味が魅力です。つい“もう一個”手を伸ばしたくなるいちごです。「にこにこベリー」は、「もういっこ」と「とちおとめ」を掛け合わせた宮城県オリジナル品種です。酸味と甘みのバランスが良く、熟しても果肉はしっかりしています。皆が笑顔になる「にこにこベリー」です。
いちじく
世界では、特にヨーロッパや中東ではドライフルーツにして食べることが多い「いちじく」。日本では完熟したいちじくを生で食べるのが一般的ですが、宮城県では甘露煮にするのが一般的です。寒い地域では完熟させるのが難しいことから、未熟でも美味しく食べられる調理法として甘露煮が一般的になったといわれています。未熟果を甘露煮にすることが多いですが、“完熟ギリギリで収穫したいちじくの甘露煮”ぜひ食べてみて下さい。
ちぢみほうれんそう
全国的に栽培されている「ちぢみほうれんそう」は東松島市(矢本地区)が発祥といわれています。露地で栽培しているほうれんそうは寒さに当たるので、凍らないように水分を減らし糖度を蓄えていきます。寒締め栽培といわれる方法です。一般的なほうれんそうの葉はつるつるしていますが、ちぢみほうれんそうの葉はギュッと縮んだようになっています。また、葉の厚さは厚くなり、地面に張り付くように横に平べったく育ちます。寒さに耐え、甘さと栄養分を蓄積しているのです。