三重県の地野菜・伝統野菜

2023.02.06

三重なばな

主に桑名市長島町、木曽岬町、松阪市で栽培されている西洋アブラナの茎葉です。県北部は江戸時代から菜種油を採るためアブラナの栽培が盛んでした。「江戸の灯りは伊勢の菜種でもつ」」と言われていたほどの大産地でした。芯や若芽を捨てずに「摘み菜」として食用していたのが始まりといわれています。ほのかな苦味がありますが、みずみずしくてやわらかい三重なばなは、お浸し、炒め物、汁物など何にでも合います。

伊勢いも

伊勢いも 圃場

伊勢いもは、現在の多気町津田地区を中心に江戸時代中頃から栽培されるつくねいもの一種です。津田芋、松阪芋などとも呼ばれてきました。親芋を頭上に頂くように子芋が大きく育つところから「親孝行芋」と呼ばれ、祝い事の縁起ものとして重宝されています。すり鉢をひっくり返しても落ちない位のもっちりとした強い粘りがありますが、滑らかな口あたりでとても美味しいです。

芸濃ずいき(げいのうずいき)

芸濃ずいき 収穫風景

ずいきは「いもがら」とも呼ばれ、エグミが少ない里芋(八頭)の葉柄を使います。首の部分が赤色になっているものを「赤ずいき」と呼びます。芸濃地区では、50年以上も前から特産品「芸濃ずいき」として栽培されており、みずみずしくシャキシャキした食感と、見た目の美しさにこだわる京料理の食材として人気があり、9割は京都へ出荷されます。

きんこ(さつまいも)

さつまいもの「隼人」を煮て切り、天日で干した「きんこ」は、志摩の海女さんや漁師さんたちのおやつとして、親しまれてきました。隼人芋は、外見は白いですが、カロテンをたくさん含むため、鮮やかな紅色をしており、カロテンと繊維質に富んでいます。志摩の水産物で「なまこ」が有名で、なまこを天日乾燥させたものを“きんこ”と呼び、そのきんこに似ているところから名付けられました。素朴であっさりとした甘味と、もっちりとやわらかい食感です。

たかな

めはり寿司

たかな 収穫風景

三重県と和歌山県にまたがる紀州地域で、室町時代から栽培されてきたという高菜です。熊野市では五郷町・飛鳥町を中心に葉の表面が鮮やかな赤紫色の「赤大葉たかな」と、旧紀和町で栽培される緑色の「青大葉たかな」の2種類が栽培されています。塩漬けにすると、どちらも透明感のある緑色になります。東紀州地域の郷土料理「めはりずし」は、「目を見張るほど大きい」や「目を見張るほど美味しい」ということから名付けられた、温かいご飯をたかな漬の葉で包んだおにぎりです。

松阪赤菜

松阪赤菜 収穫風景

松阪赤菜をふりかけにしたものをご飯に混ぜ、おにぎりに。

1580年(天正8)頃に蒲生氏郷が近江(現在の滋賀県)の日野から松阪に入城する際に、日野菜の種を持ち込んで植えたのがはじまりとされています。江戸時代の国学者、本居宣長も食したという記録が残っています。根と葉柄、葉脈が赤く、漬け物にした時に鮮やかな紅色になるのが、日野菜とは大きく異なるところです。また、葉の部分は日野菜に比べ繊維っぽく無いので食べやすく美味しいです。一時栽培が途絶えましたが平成12年から復活しました。

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