滋賀県の地野菜・伝統野菜 2

2023.02.19

山田ねずみ大根

「山田ねずみ大根」は草津市北山田地区に古くから伝わる大根です。京都の「白上がり京大根」が近江に伝わり、土着したといわれています。下ぶくれで根の先が細く伸びている姿がネズミのように見えることからこの名前が付きました。真っ白できめが細かく、 よく締まって軟らかい肉質が特徴です。“ねずみ大根”と名前がつくものは他にもあり、大抵は辛み大根ですが、「山田ねずみ大根」は辛みが少ないので、サラダにも合います。漬物にするとパリっとした食感が人気です。

下田なす

湖南市の下田地区で明治以前から栽培されている小なすです。特筆すべきは薄い皮と、水分たっぷりのやわらかな実です。“リンゴのような”と表現されるようにフルーティーで甘みのある味です。アクが少なく、生でも食べることが出来ます。浅漬けなどの漬物にされるのが一般的ですが、地元ではからし漬にして食べられるようです。

杉谷なすび

杉谷なすびは、滋賀県の南東、甲賀市甲南町の杉谷地区でのみ栽培されている濃い紫色のなすです。巾着状にすじが入るのが特徴で、ヘタには鋭く長いトゲがあります。皮は薄く柔らかです。肉質は緻密で甘みがあるため、煮崩れせず油とよく合い、とろけるような味わいになります。田楽や揚げなす、煮物など、どんな料理にも幅広く合います。

杉谷とうがらし

甲賀市甲南町杉谷地区で江戸時代から栽培されている在来種の「トウガラシ」です。万願寺とうがらしよりも少し小ぶりで、先がぐにゃっと曲がっています。「トウガラシ」なのですが辛さはなく、ほのかに甘みがあります。皮が薄く果肉が柔らかで、クセもなく生で食べることが出来るため、サラダなどに利用されます。もちろん加熱調理しても美味しくいただけます。

水口かんぴょう (みなくちかんぴょう)

古く桃山時代から栽培されてきたといわれています。江戸時代に歌川広重が描いた有名な版画「東海道五十三次 水口宿」で、かんぴょうを干している風景が描かれ、水口かんぴょうは一躍有名になりました。諸説ありますが、1600年ごろ水口岡山城主の長束正家が農家に作らせ、その後下野国壬生(栃木県)に伝わったとされています。かんぴょうは、巻き寿司の具だけでなく、ゴマ和えや煮物などさまざまな料理で食べられています。

鮎河菜

甲賀市土山町鮎河(あゆかわ)地区だけで平安時代から栽培されているといわれている野菜です。地元の人は「鮎河」を“あいが”と呼ぶようです。鮎河菜は菜花のようですが、蕾、茎、葉のすべての部分が食べることができます。葉は菜花よりも大きく、苦味はありません。トウ立ちした茎は甘く、生でも美味しいです。一般的にはお浸し、天ぷらで食べることが多いですが、地元では塩漬けにして食べられています。

豊浦ねぎ (といらねぎ)

近江八幡市安土町下豊浦地区で江戸時代から栽培されている九条系の青ねぎです。形はやや細めで、根元の白い部分が長く少し曲がっています。繊維が柔らかいですが、シャキシャキ歯ごたえがよいねぎです。葉がしっかりしているから煮込んでも煮崩れせず、すき焼き、水炊きなど鍋ものに合います。

秦荘のやまいも (はたしょうのやまいも)

元禄時代に伊勢参りのお土産としてこの地に持ち帰られた「伊勢いも」が愛知郡愛荘町(旧秦荘町)周辺で根づき、独特のやまいもとなりました。全体に黒っぽく、ゴツゴツした棒状のやまいもです。旧秦荘町内でも、安孫子、北八木、東出の3地域だけで栽培され、ごくわずかな時期だけに出回る希少なやまいもです。すりおろすと箸で持ちあがるほど粘りが強く、まろやかな舌触りで、甘くて味が濃いのが特徴です。

伊吹大根

伊吹山麓に古くから伝わる辛味大根です。首の部分、葉柄ともに赤紫色を帯び、根部は太く短いです。先端がねずみの尾のように細長いことから地元では「ねずみ大根」とも呼んでいました。「伊吹大根」は辛みが強く、そばの薬味として江戸時代から食べられてきました。辛味が強いだけでなく、甘み成分もバランスよく含まれています。水分が少なく肉質はよく締まっているため、煮込んでも煮崩れせず甘くなります。

坂本菊

比叡山の開祖・最澄が平安時代に唐から薬用として持ち帰ったと伝わる「坂本菊」。坂本菊は直径約3センチの中に、32枚の花びらが筒状になっている貴重な菊です。延暦寺の門前町で、最澄の生誕地である坂本地区(滋賀県大津市)でしか栽培することができないといわれています。独特の歯ごたえがあり、お浸しや酢の物にして食べるとおいしいです。

弥平とうがらし

滋賀県湖南市に100年以上前から伝わる伝統野菜「弥平とうがらし」は、滋賀県湖南市下田の弥平さんという人がこの地域に持ち帰り、下田の土壌で育てることで他にはない鮮やかなオレンジ色の激辛とうがらしになったといわれます。タカノツメの2倍の辛さでありながら、清涼感があるとうがらしです。

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