奈良県の地野菜・伝統野菜 2

2023.02.27

大和きくな

大和きくなは、奈良県在来の春菊の品種です。大きくて切れ込みが深い葉と、やさしい香りが特徴です。食感がやわらかいので、生でサラダにして食べてもおいしく、クセも少ないので食べやすいです。鍋料理やお浸し、ごま和え、天ぷらなどももちろん合います。

軟白ずいき

「軟白ずいき」は、昭和の初め頃から奈良市狭川(さがわ)地区などで、えぐみの少ない赤茎の里芋の茎を、さらに柔らかくアクの少ない茎にするため、草丈の低いうちから葉柄を新聞紙等で包んで光を遮り、軟化栽培した純白のずいきです。ごま酢和えなどにして食べることが多いです。

味間いも (あじまいも)

郷土料理「いもぼた」  画像提供 : 農水省

「味間いも」は戦前より磯城郡田原本町味間地区で栽培されてきた里芋の一種です。親芋、小芋の両方を食べることが出来ます。一般的な里芋よりも大きく、きめ細かい肉質で、ねっとりとろける食感です。奈良県の郷土料理に、里芋を混ぜて炊いたぼた餅「いもぼた」があります。餅米が貴重だったので、里芋の粘りを利用した昔の人の知恵です。

大和いも (やまといも)

御所市櫛羅(くじら)葛城山麓で育った「大和いも」(御所いも) は、肉質が緻密でとても粘りが強く、濃厚でまろやかな味わいです。すり鉢で丁寧におろし、卵と白味噌汁を加えすり混ぜた「とろろ汁」にしてよく食べられます。親芋の下に子芋が出来、地元では「孝行いも」と呼ばれ、おせち料理の煮物に使われていました。

宇陀金ごぼう

明治初期から宇陀市で盛んに栽培され「大和」や「宇陀」の名で知られたごぼうで、肉質が柔らく、香りが高いのが特徴です。雲母を多く含んだ土壌で栽培されるため、光を当てるとさらにキラキラと光ることから「金ごぼう」と名付けられました。縁起物として正月のおせちに珍重されています。長いもので1m30cmほどもあり、一般的なごぼうと比較するとかなり太いものもあります。太い方がより肉質が柔らかくなると言われ、肉詰めなどにして食べます。細いものはカリカリ食感を楽しめます。

祝だいこん

四十日大根から選抜された直径3センチくらいの細い大根です。「雑煮大根」とも呼ばれているように、円満を意味する輪切りの祝だいこんと、人参、里芋と角を削ぎ落とした豆腐を白みそで仕立てる関西の雑煮に欠かせない食材です。具材は全て角がないように輪切りや丸のまま使います。

筒井れんこん

大和郡山市にあった筒井城の城跡やその周辺では、土質が柔らかく地下水も豊富な湿地帯だったので、古くかられんこんが栽培されてきました。甘みがありシャキシャキとした食感れんこんです。筒井城は織田信長の後ろ盾を得て、宿敵の松永久秀を破り大和国を平定した筒井順慶の居城です。その後、一国一城の方針から、順慶は郡山城へ移りましたが、今も「筒井順慶城趾」の石碑があります。

下北春まな

明治時代より、吉野郡下北山村では、「下北春まな」と呼ばれる漬け菜を自家野菜として栽培してきました。大ぶりの丸い葉は切れ込みがなく肉厚で、やわらかな口当たりです。ほのかな苦味と濃い旨味が特徴です。冬の厳しい寒さと、朝霜、寒暖の差など、下北山村の気候でしか栽培できない野菜と言われています。地元ではイノシシの肉を使った「ぼたん鍋」のほか、高菜ではなく、塩漬けにした下北春まなでご飯を包む「めはり寿司」は郷土料理として親しまれてきました。

片平あかね

「片平あかね」は太さ2~3センチで、根の先まで鮮やかな赤色で、細い大根のような形をしていますが、カブの一種です。三重県との境に位置する山辺郡山添村にある片平地区で古くから栽培されてきました。果肉の色は表皮近くは赤く、中は部分的に赤いですが、基本的には白色です。甘酢漬けにすると根の芯まで鮮やかな赤色に染まります。「片平あかね」という名前は片平地区で栽培されたものしか使えません。他の地域で栽培されたものは「飛鳥あかね」と呼ばれます。

黄金まくわ

奈良県は平安時代からマクワウリの産地として知られていたとされ、奈良県農事試験場で昭和11年に育成された「黄1号」が基準品種となり、全国に種が供給されました。果肉は白く、さっぱりとした甘さでサクっとした食感です。

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